ワイドギャップ半導体デバイスシミュレーションのための物性物理モデル構築
Project/Area Number |
23K03944
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 敦史 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60449428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨谷 茂隆 奈良先端科学技術大学院大学, データ駆動型サイエンス創造センター, 教授 (40867016)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 窒化物半導体 / キャリアダイナミクス / 価電子帯 / 混晶 / 光物性 / シミュレータ / キャリア拡散 / ワイドキャップ半導体 / デバイスシミュレーション / 物性物理 |
Outline of Research at the Start |
窒化物半導体はLEDやパワーデバイスの材料として用いられ、脱炭素社会実現に不可欠な材料である。しかし、現状ではその物性の理解が不十分であり、デバイスシミュレーションによる設計が十分できない状況にある。本研究では、シミュレーションの結果に大きな影響を与えるバンド構造・電子状態やキャリアダイナミクスについて理論的・実験的に解明し、包括的な理論モデルの構築とそれに基づく物性パラメータの決定を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、窒化物半導体デバイスの正確なシミュレーションを実現するために、混晶窒化物半導体におけるキャリアダイナミクス、状態密度、価電子帯構造とその歪みによる変化などについて実験を重ね、そのすべての現象を説明する包括的な理論モデルの構築とそれに基づく物性パラメータの決定を行うことを目的としている。 2023年度は、混晶組成や欠陥密度が系統的に異なるInGaN量子井戸の試料シリーズにおいて、光音響・発光同時計測や時間分解PL測定を様々な励起強度や温度で行い、そこから輻射再結合速度と非輻射再結合速度のキャリア密度依存性、温度依存性を明らかにし、理論モデル構築の材料を得た。この中で、Si基板上InGaN量子井戸のように励起光を吸収する基板に対しては、この手法がうまく適用できないことを明らかになり、その対応策として光音響測定を高周波で行えばよいことを発案し、その実用性をデモ実験で示すことができた。 また、InGaN量子井戸内におけるキャリア拡散長の測定も行った。過去の報告では、このキャリア拡散長が文献によって大きくバラついている。この原因は発光の再吸収・再発光過程にあると考え、この効果が極力影響しない測定手法を考案し、実際に実験を行った。そして、InGaN量子井戸のキャリア拡散長がキャリア密度によって特異的に変化することを見出した。 さらに、InGaN量子井戸に連続的に応力を印加し、c面内に異方性歪みを導入することにより価電子帯を変化させ、それにより偏光特性の変化を測定することに成功した。このデータの解析により、InGaNの変形ポテンシャルの値とそのIn組成依存性について知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の山口の研究は比較的順調に進んでいるが、分担者の冨谷は2023年7月に奈良先端大に移ったため、研究室移転や研究室立ち上げの期間、本申請に関する研究活動がほぼできない状態が続き、研究に遅れが生じている。このため、当初予算では初年度に購入予定だったGPUマシーンの購入を2年目の年度に後ろ倒しすることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
InGaN量子井戸の光学特性や電子状態に関するデータは様々な観点から用意できつつある。さらなる光学実験により材料となるデータを蓄積し、同時に、データサイエンスを用いた帰納的な解析を行うのと同時に、物理的な考察に基づいて理論モデルを構築し、それと実際の実験結果を比較する従来手法にアプローチを組み合わせていきたい。そして、2年度に購入する「光デバイスのシミュレーションソフト」を使いながら、その中で使っている理論モデルや物性パラメータを見直し、モデルが根本的におかしい場合には、改善するための教育を行いたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(17 results)