Project/Area Number |
23K03956
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
岡田 浩 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30324495)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 窒化物半導体 / 集積回路技術 / イオン注入 / 絶縁膜形成技術 / 集積回路 / モノリシック集積 |
Outline of Research at the Start |
パワーエレクトロニクス応用だけでなく、高温、放射線環境など過酷環境において安定なデバイス動作を可能にする魅力的な物性を有するGaNなどの窒化物半導体のエレクトロニクス応用に向けた技術開発や実証実験を行う。シリコンで培われてきた集積回路技術の窒化物半導体ヘテロ構造に応用し、窒化物半導体の優位性を発揮したモノリシック集積回路による新しいエレクトロニクスを拓く技術の開発と実証を行う。本研究の成果は、これまで未開拓だった窒化物半導体集積回路によるハードエレクトロニクスの開拓や、これを応用した幅広い分野への応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、集積回路に必要な静電容量などの受動部品の形成の検討について取り組んだ。2層ポリシリコンを用いた静電容量形成を行い、リソグラフィーおよびドライエッチング技術を用いて、設計容量に対して概ね5%以内で実現できることを確認した。この工程を窒化物半導体に適用する上では、層間絶縁膜や、工程における素子への熱的影響を避ける必要がある。従来手法であるプラズマCVDによるSiO2層間絶縁膜の高速成膜技術に着目したが、膜中に固定電荷が多く含まれるなどの問題が顕在化した。そこで、研究代表者が開発している低ダメージなシリコン系絶縁膜形成技術を組み合わせた新たなプロセスを提案した。この手法はゲート絶縁膜形成に検討を進めているものであるが、受動部品形成にも応用が可能であり、受動部品形成に必要な高温プロセスへの適用可能性について検証を進めている。 次に、イオン注入技術による窒化物半導体ヘテロ構造の伝導度変調についても検討を行った。空乏状態のAlGaN/GaNヘテロ・エピ構造に10の13乗から15乗毎平方センチメートルのSiイオン注入、熱処理後の電気的特性評価から3桁の抵抗変化が観測され、伝導度制御が可能であることを見出した。 さらに、窒化物半導体集積回路で想定される、Nチャネルのトランジスタのみを用いた集積回路設計についても検討した。超音波モーターを駆動する周波数可変型の発振回路および分周回路などの信号処理回路をNチャネルトランジスタのみを用いて設計し、シリコン集積回路技術を用いて検証した。実際に試作したウエハーで発振動作や分周回路動作を確認した。設計に用いた素子パラメータの妥当性に由来する設計と動作値の齟齬はあるが、窒化物半導体集積回路に展開する上で重要な指針を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に取り組む課題について着手した。計画段階では窒化物半導体基盤上への集積回路の受動部品形成に幾つかのアプローチを想定していた。層間絶縁膜形成に、従来のプラズマCVD技術を用いるアプローチでは、高速成膜が可能であるが、容量-電圧(C-V)特性評価から絶縁幕中に多量の固定電荷が含まれ、10V近い電圧シフトが観測されるなど、集積回路応用上に問題が生じることを確認した。別のアプローチとしてゲート絶縁膜形成に向けて進めている、独自開発技術である気体状態原子支援化学気相堆積法による絶縁膜形成では、固定電荷の影響が少なく、良好な絶縁特性が得られる。受動素子形成に向けた基底原子支援化学気相堆積法に焦点を当てて検討を進めることとした。異なる手法を比較することで互いの得失を明らかにし、研究計画にフィードバックすることができた。 イオン注入の検討では、イオン注入量制御による電気特性検討に用いるエピタキシャル基板の評価や、注入量変化調査の範囲設定について基礎知見を得るところから開始し、基本方針の妥当性を確認できた。 目標とする集積回路の基本動作確認をシリコン基板上で試作し、評価を行った。集積回路は、設計段階においてさまざまなパラメータが必要であり、作製プロセスによってパラメータは影響を受けるため、テスト素子などからこうしたパラメータをフィードバックする。今回の試作と評価を通して、設計回路の基本動作の確認により、設計の妥当性を得ることができたことと同時に、パラメータをフィードバックする手法を会得することができた。これは窒化物半導体に本手法を適用する上で重要な知見である。以上から研究全体としては、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に従って研究を進める。受動素子について作製評価を進めるとともに、熱処理温度などを変えて実験条件が素子に与える影響について探索を行う。集積回路作製プロセスでは複数の工程を組み合わせるため、こうした知見を得ることは工程設計や問題が生じた時の解決に極めて重要である。 イオン注入工程を取り入れたトランジスタを窒化物半導体エピタキシャル層を用いて作製して評価する。絶縁ゲート構造のトランジスタの動作には、ゲート絶縁膜形成が重要な工程である。シリコン系絶縁膜の組成制御や界面構造や作製条件が及ぼす影響に注目した検討を進める。x線光電子分光や容量-電圧(C-V)特性、電流-電圧特性評価など構造評価と電気的特性評価を組み合わせ、窒化物半導体集積回路に向けた絶縁ゲート構造を開発するとともに、界面特性を左右する機構を探求する。 同時に、シリコンウェハで作製・評価した集積回路デバイスの分析を行い、設計パラメータへフィードバックする。これを進めつつ、作製工程を分割して窒化物半導体への適用を進めていく。
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