| Project/Area Number |
23K04841
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 35010:Polymer chemistry-related
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
盛満 裕真 九州大学, 工学研究院, 助教 (60961696)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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| Keywords | セグメント運動 / 固体界面 / 高分子一本鎖 / 原子間力顕微鏡 / 接着 / 活性化エネルギー / ポリスチレン / 直接観察 / ダイナミクス / 吸着・接着 |
| Outline of Research at the Start |
高分子鎖のセグメント運動は、ガラス転移温度など高分子材料の重要な物性の決定因子での一つである。これまで、セグメント運動は、凝集体内における周囲の分子鎖との協同運動と共に観測され議論されてきた。つまり、凝集状態の影響がセグメント運動の議論に介在し一本鎖のセグメント運動の描像やダイナミクスは不明瞭であった。本課題では、原子間力顕微鏡を用いて、基板上の孤立高分子鎖を直接観察することを試みる。画像処理・数値解析に基づき、一本鎖のセグメント運動の視覚的理解とダイナミクスの解明を行う。界面やバルクにおける分子鎖運動性との相関を詳細に議論し階層的な高分子構造物性の理解を目指す。
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| Outline of Annual Research Achievements |
高分子複合材料の力学特性は、固体フィラーとの接触界面における高分子鎖の熱運動と密接に関係している。界面に存在する高分子鎖は、バルク中の鎖に比べて熱運動が抑制されており、その抑制の程度は界面相互作用の強さに依存する。このような界面鎖の熱運動を制御する手法として、固体と強く相互作用するユニットを導入したランダムコポリマーの利用が検討されている。しかし、異なる界面相互作用を有するユニットの存在が、界面鎖のコンフォメーションおよび熱運動に及ぼす影響については、依然として十分に理解されていない。
本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、固体基板上における孤立高分子鎖の形態およびその経時変化を直接観察することで、固体界面における高分子鎖のダイナミクスを解明することを目的とした。本年度は、アルミナ基板と接触したポリ(スチレン-r-ビニルカテコール)(P(S-r-VCa))鎖のダイナミクスをAFMにより直接観察した。各温度における分子鎖の高さ揺らぎから、緩和時間を抽出した。各位置における緩和時間の温度依存性から活性化エネルギーの算出に成功した。
さらに、初年度に明らかにした孤立PS鎖のダイナミクスと比較することで、異なる界面相互作用を持つユニットの存在が界面鎖のセグメント運動に与える影響について議論を行った。これらの研究成果は、すでに複数の学会で発表しており、現在、トップジャーナルへの投稿準備を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題申請時の以下二つの目標の①および②について、おおよその研究が完了したため、おおむね順調に進展していると判断した。 ①最もダイナミクスの知見が多い合成高分子として、ポリスチレン(PS)鎖を用い検討を行う。各セグメントにおける緩和時間を抽出し、温度依存を検討する。 緩和マップを作成し、バルクや界面における協同的セグメント運動と比較し、ダイナミクスを議論する。 ②続いて、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、およびPS-r-PMMAランダム共重合体について同様の議論を行う。側鎖やシークエンスなどの一次構造の違いが、セグメント運動に与える効果を解明する。また、それらのセグメント運動の違いが、界面やバルクの協同的セグメント運動、ガラス転移や力学特性に及ぼす影響を明らかにする。 ②について、上記のとおり、当初は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、およびPS-r-PMMAについての検討を考えていた。しかしながら、水中接着特性が高い高分子材料として、カテコール基を側鎖に持つ、ポリ(ビニルカテコール)(PVCa)が注目されているという社会的背景から、ポリ(スチレン-r-ビニルカテコール)(P(S-r-VCa))について、研究を行った。材料は変わったものの、「側鎖やシークエンスなどの一次構造の違いが、セグメント運動に与える効果を解明する。」という当初のコンセプトに変更はない。そのため、本課題における学術的な価値を保ったまま、社会的価値を高めることができたと考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでに、課題申請時に掲げた二つの目標(①および②)については、概ね研究を完了した。そこで最終年度は、複数の界面鎖から構成される「界面層のダイナミクス」に焦点を当てて検討を行う。
界面層においては、対象とする分子鎖の周囲に他の鎖のセグメントが存在しており、各セグメントはそれらと協同して運動する必要がある。このような協同的な運動性は、高分子物性において極めて重要な物理現象の一つであるガラス転移挙動の主要因とされている。しかしながら、協同運動性の有無がセグメント運動に及ぼす具体的な影響については、これまで十分に解明されてこなかった。
したがって最終年度は、これまでの1年目・2年目で確立した観察および解析手法を活用し、「界面層のダイナミクス」を詳細に検討する。これまでに明らかにした「孤立鎖のダイナミクス」と比較・検討を行うことで、協同運動性の有無がセグメント運動に与える影響を明らかにすることを目指す。
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