間葉系幹細胞の機能を制御するコンドロイチン硫酸の構造
Project/Area Number |
23K05661
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
幡野 その子 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助教 (40434625)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | コンドロイチン硫酸 / 間葉系幹細胞 / 分化能 / 自己複製能 / 再生医療 / 構造ー機能連関 |
Outline of Research at the Start |
組織の修復・再生には培養した間葉系幹細胞細胞が利用されているが、培養の過程で細胞の性質が変わるなど様々な問題が生じている。これらを解決するための培養基材の開発が進められているが、間葉系幹細胞の機能を制御するには至っていない。申請者はこれまでにコンドロイチン硫酸によって操作した微小環境が間葉系幹細胞の機能に影響したという結果を得ている。また申請者らは糖鎖長と硫酸基修飾部位を規定されたコンドロイチン硫酸を合成する技術を有しているため、多様な微小環境を構築することができる。本研究では、各種コンドロイチン硫酸を用いて操作した微小環境により間葉系幹細胞の機能を制御し、その制御機構を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞は自己複製能と分化能を有した多能性幹細胞のひとつで、再生医療の細胞供給源として期待されている。既に組織の修復・再生には培養した間葉系幹細胞細胞が利用されているが、培養の過程で細胞の性質が変わることや細胞集団のバラツキが生じることが問題となっている。安定的に間葉系幹細胞を得るために様々な培養基材や培地などの開発が進められていることから、申請者は細胞外マトリックス成分であるコンドロイチン硫酸を利用できると考えた。コンドロイチン硫酸はグルクロン酸(GlcAC)とN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)の二糖単位が数十回繰り返し連なった直鎖上の糖鎖で、硫酸基の修飾を受けて多様な構造をとる。主な二糖構造は、非硫酸化単位(CH)、GalNAc残基C-4位(CSA)およびC-6位(CSC)の一硫酸化単位、GalNAcC-4位とC-6位の二硫酸化単位(CSE)、GlcAC-2位とGalNAcC-6位の二硫酸化単位(CSD)、およびGlcAC-2位とGalNAcC-4位とC-6位の三硫酸化単位(TriS)となっている。このような硫酸化度の違いや糖鎖長の違いに応じて相互作用する生理活性因子の種類や機能を細胞外で調整することによって、細胞の挙動を制御すると考えられている。 間葉系幹細胞は培養液や添加された生理活性因子によって、軟骨細胞、骨芽細胞、脂肪細胞などに分化する多分化能が知られている。これまでのところ本研究では、コンドロイチン硫酸量を減少させた間葉系幹細胞を用いて分化誘導実験を行ったところ、どの方向に対しても野生型に比べて分化が遅延していたことがわかった。今後、本研究では各種コンドロイチン硫酸を用いて操作した細胞外微小環境により間葉系幹細胞の機能を制御し、その制御機構を明らかにする予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間葉系幹細胞は軟骨細胞、骨細胞、脂肪細胞など様々な方向に分化するが、その際に各分化の方向性に適した生理活性因子が必要である。この時、最適な細胞外微小環境を構築することによってより安定的な分化誘導を促すことは重要である。現在は最適な細胞外微小環境を見出すため、生体内コンドロイチン硫酸量の違う3種類の遺伝子改変マウス由来の間葉系幹細胞を用いて自己複製能、分化能の相違を解析している。これらマウスはコンドロイチン硫酸合成酵素の遺伝子を改変したもので、生体内のコンドロイチン硫酸量はそれぞれ野生型の約80%, 50%, 30%となっている。6週齢のマウスの大腿骨、脛骨および骨髄から血球系以外の細胞を採取し、特定の細胞表面マーカーで間葉系幹細胞を選別した後分化誘導を行う。この際、実験に必要な一定数の細胞を揃えることと分化誘導に一定の時間が掛かるため、結果を得るのに長い時間を要する。このような状況下でも安定して細胞が得られているので、現段階では概ね順調であるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目標は各種コンドロイチン硫酸を用いて操作した細胞外微小環境により間葉系幹細胞の機能を制御し、その制御機構を明らかにすることである。そのためには現在行なっている遺伝子改変マウスを用いた実験から、間葉系幹細胞の自己複製能と分化能の促進に適した細胞の状態および細胞外環境を特定する。得られた結果を基に、私達の研究室に揃っている各種コンドロイチン硫酸を培養基材として用いて、間葉系幹細胞の自己複製能と分化能を促進する細胞外微小環境整える。その後、ヒト間葉系幹細胞を用いて整えた細胞外微小環境が有効かどうかを検証する。コンドロイチン硫酸は動物種によって硫酸化の違いが多少存在するが、構造的に大きな相違がないため、そのまま利用することは可能である。この時、ヒト間葉系幹細胞に不都合な反応が現れた場合、硫酸化度の違うコンドロイチン硫酸に置き換えるなど微調整によって克服できると考える。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)