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タンパク質膜透過装置による分泌モニター因子VemPの翻訳アレスト解除の調節メカニズム

Research Project

Project/Area Number 23K05694
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

森 博幸  京都大学, 医生物学研究所, 准教授 (10243271)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
KeywordsVemP / SecD/F / PpiD/YfgM / タンパク質膜透過 / SecY / PMF / 翻訳アレスト / PpiD
Outline of Research at the Start

ビブリオ菌が持つ分泌モニター因子VemPは、菌のタンパク質膜透過の能力をモニターし、この働きが低下した場合に、働きを助ける役割を持つSecD/F2というタンパク質を作り出すことで、菌のタンパク質膜透過の能力を高く維持する役割を持ちます。その場合、菌のタンパク質膜透過の能力に応じてVemPタンパク質の合成が停止したり再開したりすることが知られていますが、どのようにして合成の停止や再開がなされているのかは良くわかっていません。この研究では、その機構を明らかにすることを目指しています。

Outline of Annual Research Achievements

ビブリオ属細菌が持つ分泌モニター因子VemPは、細菌のタンパク質膜透過能を自身の分泌能として感知し、膜透過能が低下した際には、自身の翻訳を安定に停止させる(翻訳アレスト)ことで同一オペロン下流に存在するsecD2/secF2の発現を制御し膜透過能を維持する。一方、膜透過能の回復に応じて翻訳アレストが速やかに解除される事で初めてこのフィードバック制御が可能となるが、翻訳アレスト解除の分子機構については不明な点が多く残されている。我々は、VemPの翻訳アレスト解除はSecY/E/G膜透過装置上で生じる事、SecD/Fの機能に加えてペリプラズムに大きな機能ドメインを持つ膜結合型分子シャペロン複合体PpiD/YfgMも重要な役割を果たす事などをこれまで明らかにしてきたが、各trans因子のアレスト解除における具体的な役割は良く解っていない。
本年度はVemP分子内の翻訳アレストに関わるcis因子の同定を介してこの問題に取り組んだ。1)SecY/E/G tranaloconの中心因子SecYがVemPの翻訳アレスト解除に関与する事を生化学的解析より明らかにした。2)翻訳アレスト状態にあるVemP新生鎖とSecY間の相互作用をSecY, VemP分子内に導入したCys残基を介したdi-sulfide実験により明らかにし、翻訳停止時には、VemP新生鎖はSecYチャネルの特定の部位で安定に停止していることを見出した。3) SecYとの相互作用に関わるVemP分子内のcis領域を遺伝学的生化学的解析により同定し、この領域の疎水性度が、VemP鎖の翻訳停止能の維持に重要な役割を持つことを明らかにした。4)系統的な変異解析から、VemPの翻訳アレスト解除に関わる新たなcis因子も同定しその特徴を網羅的な変異解析により明らかにした。これらの成果は今後の分子機構解明の材料として期待できる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

VemPの翻訳アレスト解除がSecY/E/G上で起こることは以前の研究から明らかとなっていたものの、その分子機構の理解は必ずしも十分ではなかった。その最大の理由は、翻訳アレスト状態にあるVemP新生鎖がSecYチャネルの中でどのような位置関係にあるのかが不明な点にあった。
本研究において、SecY, VemP内にmono-Cys残基を持つ変異体を同時に過剰発現した変異体株を組み合わせた系統的なin vivo生化学実験により、翻訳停止状態にあるVemP鎖とSecYチャネル間の相互作用様式をアミノ酸残基レベルの空間分解能で明確に示すことができ、大きなブレイクスルーとなった。またこの成果に基づいて、翻訳アレストの維持制御に関わるVemP分子内の新たなcis領域の候補部位の選定が容易となり、以下に示すようにcis因子の同定にも成功した。
VemPの翻訳アレストの程度を簡便に評価する新しいレポーターシステムvemP-bla系を構築しその有用性を示すと共に、この系を用いた変異解析により多くの成果を得た。1)新たなcis elementの同定に成功し、このcis領域とSecYチャネル内の特定エレメントの間の疎水性相互作用が適切な翻訳アレストの維持に必要であることを明らかにした。2)VemP分子内の系統的かつ網羅的な変異解析により更に別のcis因子の同定にも成功した。3)同定した各cisエレメントが各々個別の役割を持つことを示唆する結果も得た。これらの成果に基づき、「VemP翻訳アレスト解除の分子機構に関する作業仮説」を提案できる状況となった。現在、これらの研究成果を論文に取りまとめるべく執筆作業を進めているところである。
以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究結果により、翻訳途上状態にあるVemPがどのような機構でSecYチャネルの中で停止しているのかについて、有力な作業仮説を提唱する事に成功した。しかしながら、「停止状態にあるVemP翻訳停止鎖の膜透過がどのような機構で再開するのか?」、「翻訳停止解除の引き金になるのは何なのか?」については未だ不明のままである。我々は、本研究で新たに見出したcis elementとtrans因子間の相互作用が翻訳アレスト解除の鍵となると考えており、今後はその相互作用に焦点を当てて研究を進めていく予定である。
具体的には、このモチーフの周辺と近接する細胞内因子をin vivo光架橋実験により明らかにする計画である。以前、VemP抗体を用いた同様の解析において、このcis領域に近接する細胞内因子の同定に失敗している。これは、VemP分子内の標的領域が、抗体のエピトープ領域と重複している結果、VemP抗体を用いた免疫沈降法 (IP)が上手く機能しなかったためと考えられる。そこで、VemP分子内の別の部位に挿入したタグ配列を持つVemP誘導体(既に構築済みであり、野生型VemPと同様の性質を持つことを検証済み)と、タグ配列に対する抗体を用いて同様のIP実験を進めることによりこの問題を克服できるものと期待している。架橋産物が検出できた際には、候補となるtrans因子に対する抗体を用いた解析を通して、相互作用因子を同定する予定である。因子の特定に成功した後は、cis-element, trans因子間の相互作用様式をin vitro実験により検証する事で、より詳細な分子機構の解明に繋げたいと計画している。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 分泌モニター因子VemPの翻訳アレスト解除の制御機構2024

    • Author(s)
      森 博幸
    • Organizer
      国立遺伝学研究所研究会「微生物の細胞複製システムから紐解く生命のデザイン
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Invited
  • [Presentation] ペリプラズムシャペロンPpiDに依存する膜透過基質タンパク質の探索2023

    • Author(s)
      山田 高暉、田中 雄太、秋山 芳展、森 博幸
    • Organizer
      第19回21世紀大腸菌研究会
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2023-04-13   Modified: 2024-12-25  

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