体温と代謝をつなぐ神経体液性因子の心不全病態生理への関わりと治療応用
Project/Area Number |
23K07563
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
名越 智古 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (60408432)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ナトリウム利尿ペプチド / エネルギー代謝 / インスリン抵抗性 / 生体温度制御 / T1AM / 体温 / 甲状腺ホルモン |
Outline of Research at the Start |
甲状腺ホルモンT3の代謝産物T1AMとNa利尿ペプチド(NP)は共に重症心不全で増加し、生体温度調節とエネルギー代謝制御に携わるが、心不全の病態におけるT1AM上昇の意義や役割、NPとの関わり合いは未知である。生体においてT1AMは低温効果を、NPは低温感受性に保温効果を発揮するが、その意義を全身の体温と心臓含めた局所の組織温とに分けて検討する。一方、両者は共に脂肪組織を介して抗肥満効果を発揮しインスリン抵抗性(IR)を改善する。本研究では、IRを基盤とする心不全の病態における生体温度調節とエネルギー代謝制御に着目し、T1AM-NP連関の意義と役割を基礎と臨床の両面から明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
インスリン抵抗性(IR)状態ではナトリウム利尿ペプチド(NP)のストレス応答の低反応性が示唆されており、本研究課題ではそれをT1AMが代償しうるか検討する。 本年度はIRが上昇する急性冠症候群(ACS)虚血発作急性期においてNPがどのような神経体液性因子と関連するか検討した。自施設の心臓カテーテルデータベースを用い、急性冠症候群の虚血発作急性期の血漿BNP値と各種神経体液性因子のレベルを検討したところ、代表的なストレス応答ホルモンであるACTHと負の相関あることが分かった。BNPがACTHを負に制御する事象は、ACTHとコルチゾールとの関係性を凌駕するほどtightであった。この関係はACS治療後、虚血発作緩解期のデータでは認められなかった。ACS虚血発作急性期のみ、ストレス応答で上昇したACTHをBNPが緩和している可能性が示唆された。現在、同データベースを用いて、ACS急性期の心負荷に伴うBNP上昇度合いが、肥満の程度で変化するか検討し、既にそれを示唆する結果が出始めている。 一方、肥満/IRモデルにおいて、心臓組織/心筋細胞で何が起こっているのかについても検討を行った。我々は既に報告されている近位尿細管や血管内皮だけでなく、心筋細胞にも尿酸トランスポーターであるURAT1が発現していることを証明した。高脂肪食負荷マウスに選択的URAT1阻害薬を内服投与したところ、心組織の線維化や炎症が有意に改善し、心機能低下が緩和されることが分かった。IRの象徴であるメタボリックシンドロームにおいて心筋細胞に影響を及ぼしうる様々な因子のうち、パルミチン酸のみが心筋URAT1発現を有意に上昇させ、その結果、心筋細胞内に炎症、酸化ストレスが生じることがわかった。今後は同モデルの心臓組織にT1AMが与える影響について検討を重ねていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肥満/IR状態下で、心臓組織に何が起こっているのか、さらに、究極のIR状態であるACS虚血発作急性期にNPは神経体液性因子をどのように制御しているか、については明らかになってきた。さらに、ACS急性期の心負荷に伴うBNP上昇度合いが、肥満の程度で変化する可能性を心臓カテーテルデータベースを用い解析し、NP低反応性について臨床的に検討し、結果が出始めている。 T1AMに関しては、主にin vivoマウスモデルでの検討を開始しており、至適投与量を設定したうえで、全身投与により体温が低下することを確認した。また熱中症モデルとして、保温シートを巻いたチャンバー内に加湿器とヒートランプを設置し、高温多湿環境を作り、T1AM投与の有無によるマウス直腸温の変化を検討した。現在、心肺停止寸前の状態を誘導するプロトコール設定を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
T1AMの生体温度低下作用に着目し、熱中症に限らず様々な炎症性疾患において治療効果を発揮する可能性について検討していく。また、虚血などの心筋細胞傷害に対し、特に肥満/IR状態においてT1AMが保護的に働くのかも同時に検討する。 一方、心臓カテーテルデータベースを用い、NPのストレス応答に影響を及ぼす因子についても検討する。具体的には、心負荷に伴うBNP上昇度合いが、肥満の程度で変化するか、共分散構造解析を含めた各種統計手法を用い解明する。NP低反応性が証明された場合、これを動物モデルで応用し、T1AMがNP低反応性の病態において有効性を示すか検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)