Project/Area Number |
23K09139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57020:Oral pathobiological science-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田端 厚之 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (10432767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大倉 一人 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (00242850)
友安 俊文 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (20323404)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | ストレプトリジンS / レンサ球菌 / 病原性 / 溶血毒素 / アンギノーサス |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ヒト口腔常在性の日和見レンサ球菌であるアンギノーサス群レンサ球菌のβ溶血株が産生するペプチド溶血毒素であるストレプトリジンS(SLS)の構造的な特徴に注目し、SLSの作用により惹起される細胞応答反応について、ヒト病原菌であるA群レンサ球菌由来のSLSと比較しながら詳細に解析する。その検討結果に基づいて、アンギノーサス群レンサ球菌が産生するSLSの分子ダイナミズムを明らかにし、SLS依存的なβ溶血性アンギノーサス群レンサ球菌の潜在的なヒトに対する真の病原性について検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
アンギノーサス群レンサ球菌が産生するストレプトリジンS(SLS)に特徴的な分子ダイナミズムについて、令和5年度は、これまでの研究において明らかにしてきたSLS依存的なヒト口腔扁平上皮癌細胞株HSC-2に対する作用と細胞応答を更に詳細に検討すべく、SLS依存的な細胞障害を起点とした細胞応答反応の分子メカニズムの全容解明を目指して研究を実施した。具体的には、各種細胞内リン酸化シグナル伝達経路阻害剤の存在条件下において、ヒト血清アルブミン共存下で安定化したSLSの作用に依存的な細胞内カルシウムイオン濃度の上昇から最初期遺伝子群(IEGs)やサイトカイン(IL-8等)のコード遺伝子の発現亢進を、リアルタイムPCRにより遺伝子発現レベルで相対的に検討した。その結果、PI3K/AKT経路がこれらの遺伝子発現亢進に関与していることを示唆する結果が得られた。また、翻訳産物レベルでも検討を行うために、抗体アレイを用いたSLSの作用依存的なサイトカインの産生に関して検討した。その結果、細胞内におけるIL-8等の産生亢進が確認された。以上の結果より、口腔内から血中移行したアンギノーサス群レンサ球菌が産生するSLSは標的細胞に対して細胞膜傷害を生じさせるが、それに対して細胞はPI3K/AKT経路を介してIEGsやサイトカイン遺伝子の発現を亢進させ、IL-8等を産生することによって免疫担当細胞を炎症部位へ遊走させていることが示唆され、この知見はヒト口腔内常在性の日和見レンサ球菌におけるSLS依存的な病原性を検討する上で重要な知見である。なお、SLSの安定化に寄与する生体分子との相互作用については、既に明らかにしているヒト血清アルブミンによるSLSの安定化効果について、その要因となるSLSとヒト血清アルブミンとの分子間相互作用を明らかにすべく検討を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、日和見病原性のアンギノーサス群レンサ球菌が産生するSLSのヒトに対する病原性について明らかにすることを目的として、ヒト咽頭口腔内常在性の日和見病原菌であるアンギノーサス群レンサ球菌が産生するSLSの作用により標的細胞内に惹起される応答反応の分子メカニズムを明らかにすること、そして、ヒト病原菌であるA群レンサ球菌が産生するSLSとの構造的な相違に着目してアンギノーサス群レンサ球菌由来のSLSに特徴的な分子ダイナミズムを明らかにすることを目指して研究を進めている。令和5年度の研究は当初の計画に従って進めることができ、研究の成果も順調に蓄積されていることより、現在までの進捗状況として「(2)おおむね順調に進展している。」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、これまで順調に進展していることより、当初の計画に従って遂行していく。令和6年度は、アンギノーサス群レンサ球菌に特徴的なSLSの構造と機能を明らかにすることを目指して研究を行う。具体的には、アンギノーサス群レンサ球菌とA群レンサ球菌の成熟型SLSのアミノ酸配列情報を参考にして、分子C末側に確認されるアミノ酸配列が異なる領域に注目し、それらを構成するアミノ酸配列に変異を導入、あるいは欠失させたSLSの変異体を産生するアンギノーサス群レンサ球菌(S. anginosus subsp. anginosus)由来の遺伝子変異株を作製する。作製した遺伝子変異株の溶血特性を評価すると共に、S被検株から産生されたSLS変異体を含む培養上清に対する細胞の応答反応を確認し、SLS分子内のN末側保存ユニットの重要性やC末側配列多様域の必要性や機能を検討する。
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