Project/Area Number |
23K09682
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
古渡 意彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, グループリーダー (80391283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛武 敬 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 部長 (50450432)
山下 一太 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (90838715)
土方 保和 京都大学, 医学研究科, 研究員 (90954313)
中上 晃一 産業医科大学, 大学病院, 診療放射線技師 (90971721)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 逆行性線量推定 / 職業被ばく / 水晶体線量 / 皮膚等価線量 / 整形外科医 / 線量推定法 / 局所被ばく / 外部被ばく / 逆行性 |
Outline of Research at the Start |
整形外科領域の診断・治療において放射線の利用は不可欠であるが、患者のみならず整形外科医自身が被ばくする機会が多いため、白内障や手指の皮膚がんなどの放射線被ばくに起因する疾病が高い頻度で発症することが懸念される。しかしながら、これまで整形外科医らは個人線量計(ガラスバッジなど)を装着することが少なく、過去の眼の水晶体や手指の皮膚の被ばく線量は不明であることが多い。 そこで、本研究では、整形外科医らの眼の水晶体や手指の皮膚を含めた全身の被ばく線量を逆行性に推定する手法を新規に開発し、整形外科医の全キャリア期間での合理的な線量推定を達成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究機関内に整形外科医らの被ばく線量について、過去に遡って正しく再構築できる逆行性線量推定法を開発することである。逆行性線量推定を確実に行うため、体幹部線量のモニタリング結果がなされていない、又は線量測定結果が散逸した整形外科医らに対し、正確に被ばく線量を予測できるよう、診療手技別の線量算定法及び代表的な整形外科医師の設定とその線量推定手法を開発することが必要である。令和5年度は、診療手技別の線量算定に係る調査として、以下に示す基礎調査を行い着実に進捗した。診療手技別の被ばく線量算定では、術式ごとの手術室/検査室内の線量当量(率)の測定、一手技ごとの整形外科医の被ばく線量の算定、及びコンピュータシミュレーションを用いる整形外科医の線量の推定を組み合わせ、診療手技別被ばく線量を算定する。令和5年度は、①実際に整形外科医の被ばく線量を測定するための小型ガラス線量計について手指部70μm線量当量を正確に評価する手法の開発、②人体ファントムを用いるばく露試験による予備測定、③研究分担者の関連病院に所属する整形外科医に対する眼の水晶体及び末端部線量に係る予備測定、及び④最先端の数学ファントムであるメッシュファントムのモンテカルロ計算コードへの導入を行った。逆行性線量推定には、整形外科医の診療手技ごとの線量算定に加え、一年間あたりの診療手技回数、実施した診療手技の種類、キャリア、サブスペシャリティーを考慮した代表的な整形外科医師の設定が必要である。そのため、令和5年度は整形外科医のキャリア(年齢・経験)に応じた診療手技内容、その年間実施件数についての予備調査をすすめた。診療手技別での線量算定について、令和5年度は脊髄外科学会及び腰痛学会における医療従事者の眼の水晶体微小混濁調査での過去の被ばく線量聞き取り調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に整形外科医の被ばく線量を測定するための小型ガラス線量計について、整形外科医がばく露するエックス線エネルギー範囲(20 keV ~ 120 keV)に対する応答が妥当であることを確認するとともに、適切な校正定数を与えて手指部70μm線量当量を正確に評価する手法を開発した。さらに、人体模擬ファントムを用いて整形外科医の診療手技に応じた被ばく状況を模擬した照射試験を行い、一手技ごとに被ばく線量を測定可能であることを確認した。 研究分担者の関連病院に所属する整形外科医に対する予備測定では、後方椎体間固定術(TLIF/PLIF)等の手技を行う整形外科医を対象に被ばく線量評価を行い、一手技ごとに眼の水晶体及び手指末端部における線量当量を測定できることを確認できた。 逆行性線量推定に不可欠な代表的な整形外科医師構築のため、整形外科医に対し被ばく線量評価のためのアンケート調査を行った。脊髄外科学会及び腰痛学会における整形外科医の放射線被ばく検診において、脊椎外科医の約4割に白内障性変化、約3割に手部の慢性炎症性変化が観察された。結果は、所属科の違いによるプラクティスギャップがもたらす手部の直接被ばく機会との関連が示唆されるものであった。調査結果についてまとめ論文投稿を行っている。 診療手技別の整形外科医の被ばく線量を詳細に評価するためのシミュレーション計算環境について、眼の水晶体及び皮膚の放射線感受性の高い部位を正確に模擬した最先端のメッシュファントムを導入し、整形外科医が診療で用いるエックス線に対し眼の水晶体への等価線量を評価できるよう計算環境の整備を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、これまで個人線量計を装着して来なかった整形外科医の個人線量を過去に遡って推定(逆行性線量推定)する手法を開発する。 整形外科医の診療手技別の被ばく線量構築のため、研究分担者が関係構築済みの病院において整形外科医を対象に、整備を完了した小型ガラス線量計を用いた診療手技ごとの被ばく線量測定し、3ヶ月毎に被ばく線量を算定する。モンテカルロシミュレーションについては、研究分担者らの行う診療手技を模擬した体系を可能な限り詳細に構築し、診療手技ごとに受ける整形外科医の体幹部線量及び眼の水晶体線量の計算を継続する。診療手技ごとの整形外科医の被ばく線量については、手術室/検査室の空間線量率測定を行い、空間線量率と整形外科医の診療手技ごとの体幹部、眼の水晶体、及び手指の皮膚被ばく線量との関連性を評価する。 整形外科医の逆行性線量推定では、専門医取得前・取得後のサブスペシャリティー別に代表的な整形外科医像を設定して被ばく線量を推定するため、学会における整形外科医の被ばく線量調査を継続して行い、整形外科医の白内障性変化及び手部の慢性炎症性変化の観察を継続する。調査に際し、被ばく線量調査に参加した整形外科医について過去1年間の診療内容の詳細について、診療手技名、手技施行数、年齢、キャリア、サブスペシャリティー、防護装具着用状況、防護意識等に関する問診及びアンケート調査を実施する。
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