Project/Area Number |
23K11815
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
坂口 勝久 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (70468867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 達也 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40318100)
阪本 良弘 杏林大学, 医学部, 教授 (70343746)
小暮 正晴 杏林大学, 医学部, 助教 (20549224)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 細胞シート / 非アルコール性脂肪肝炎 / NASH / 風船様変性 / 肝細胞 / 薬剤モデル |
Outline of Research at the Start |
本研究は、風船様肝細胞を含む非アルコール性脂肪肝炎 (Non-alcoholic Steatohepatitis: NASH) 病態に極めて類似した組織構築を目指し、病態解明および創薬に寄与するモデルを創出する。申請者は、肝星細胞と肝細胞を共培養した細胞群をシート状に凝集させると、ヒトNASHに特異的とされる肝細胞の風船様変性をきたす手法を見出した。この手法を基に、実際のヒトNASH病態との比較、および薬剤試験を行い、ヒトNASH病態に極めて類似したモデルの構築および創薬基盤を創出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は細胞シート技術を用いて、風船様変性の特徴を有したin vitro ヒトNASH病態モデルを開発することである。非アルコール性脂肪肝疾患 (Non-alcoholic Fatty Liber Disease: NAFLD) / 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は世界的に罹患数が増加しており、近年NAFLD / NASHを背景とした肝硬変・肝細胞癌が急増している。この治療薬開発は急務といえるが、現時点でNASHに対する有効な治療薬は国内外ともに見つかっていない。その一因として、NASH研究においてはマウスを用いた動物モデルが主流であり、遺伝子改変や食餌誘発性など多様な方法が報告されているが、ヒトNASHの病態を完全に再現したモデルは開発されていない。 本研究では、細胞シート技術を用いると他のNASHモデルが実現できていないヒトNASHに特異的とされる肝細胞の風船様変性をきたす手法を見出した。2023年度では、ヒト初代肝細胞と肝星細胞の共培養シートによる風船様変性の再現性を確認し、遺伝子解析を行なった。また、オベチコール酸、ピオグリタゾン、フェノフィブラートの薬剤試験を行い、風船様変性の回復効果の検証を行なった。結果として、細胞シート化によって低酸素状態が生じ風船様変性が促進されていることが確認された。また薬剤試験よって、胆汁の排出を促進させるオベチコール酸の効果があることが示された。これらの結果から、細胞シートの風船様変性は病態モデルとしての有意性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで研究と同じく温度応答性培養皿(Cellseed)を用いてヒト初代肝細胞と肝星細胞の共培養シートを作製することができた。細胞シートは培養皿から剥離後、大きく収縮が進み3Dの厚みある組織体に変化する。したがって、「3D細胞シート化時に低酸素状態が発生し肝細胞障害をきたす」と仮説を立て、3D細胞シート化前後の培養細胞を採取し網羅的遺伝子解析を行った。その結果、仮説通り低酸素状態に陥っている遺伝子発現に大きな差異がみられた。 次に3D細胞シートを高グルコース・高脂肪酸環境下で7日間培養しBH化モデルを作製した。7日間培養したBH化モデル(風船様変性肝細胞)にNASH治療候補薬として治験中であるオベチコール酸、ピオグリタゾン、フェノフィブラートを7日間投与し、治療薬投与による変化を観察した。その結果、オベチコール酸投与でCYP7a1の上昇と胆汁酸分泌亢進、ピオグリタゾン投与でPPARgが上昇するといったヒトと同様の治療効果が確認された。 今回の実験もBH化モデル「肝細胞障害」としてBH化やミトコンドリアの形態異常、「脂肪変性」として肝細胞内の脂肪蓄積といった特徴が再現された。一方、本モデルは炎症細胞を培養に含まず、また線維化をきたすほど長期培養ができないことから「炎症・線維化」はマーカー測定による間接的評価としたが、炎症を示すCCL2、線維化マーカーのTGFbとSonic Hedgehog(SHH)はいずれも上昇傾向を示さなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、遺伝子解析を複数回行い、共培養細胞シートによって低酸素状態に陥り、ミトコンドリア障害を起こして肝障害・風船様変性を起こす仮説を立証する。また、NASHの候補薬剤を投与して各効果を確認し、薬剤モデルとしての有用性を確認する。
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