Project/Area Number |
23K12730
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
花井 渉 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60783107)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 課題解決型学習 / PBL / イギリス / 教育実践 / 教育評価 / 後期中等教育 |
Outline of Research at the Start |
近年、OECDを始めとする国際機関等において、2030年以降の予測不可能な世界を生き抜くために必要な能力、スキルを含むコンピテンシーの再検討やそれらのコンピテンシーを育成するためのカリキュラムの開発が進められている。日本においても、近年学習指導要領の改訂が行われ、高校教育において、総合的な探究の時間、地歴探究や理数探究等、「探究学習」の導入が進められているものの、その導入状況は学校ごとに異なり、授業実践や評価の課題を抱える学校も少なくない。 本研究ではイギリスを事例に、課題解決型学習の導入をめぐる政策動向、授業実践やそれを担う教員の養成の実態について明らかにし、日本への示唆を得たいと考えている。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、イギリス(主にイングランド)の後期中等教育におけるグローバル・コンピテンシーを育成する課題解決型学習(Problem-based Learning:PBL)について、その政策、授業実践や教員養成制度の実態と課題を明らかにすることである。 初年度となる本年度は、イギリスの後期中等教育におけるPBLに関する政策文書の分析から、これまでのイギリスの資格試験制度の中で、PBLをめぐってどのような議論が行われ、現行の制度に至ったのかについて、主に文献研究を通じて明らかにした。それを通じて、イギリスの資格試験制度におけるPBLの位置づけや課題について明らかにした。 特にイギリスでは、伝統的に大学進学を目指す生徒は、中等教育段階ではGCSEやGCE-Aレベルと呼ばれるアカデミックな資格試験を受け、大学側もそれを前提に入学要件を設定し、選抜を行なってきた。一方で、コンピテンシーについては、イギリスではこれまでキー・スキル(Key Skills)として定義され、主に職業教育分野において身につける能力・スキルとして扱われてきた。また、近年では、そのキー・スキルから機能的スキル(Functional Skills)へと変化し、職業教育の強化策として、Tレベルの開発・導入が進められている。このように、イギリスにおけるPBLの実践は、アカデミックな教育ではなく、主に職業スキルの育成の一環として、主に職業教育分野において実践されていることが明らかになった。それにより、イギリスでは教育の「機能別分化」が推進されていると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、イギリスの後期中等教育におけるPBLに関する政策文書の分析から、これまでのイギリスの資格試験制度の中で、PBLをめぐってどのような議論が行われ、現行の制度に至ったのかについて、主に文献研究を通じて明らかにした。それを通じて、イギリスの資格試験制度におけるPBLの位置づけや課題について明らかにした。その研究成果については、第59回日本比較教育学会において「イギリスの中等教育におけるコンピテンシー・ベースの教育の位置づけ―デアリング報告以降の教育政策・改革動向を中心に―」と題して発表を行なった。 また、当初の計画では、予備調査として、日本の高校における探究型学習の実践と評価の現状と課題について、特に福井県内における高校への訪問調査を行なう予定であった。この予備調査については、2024年2月~3月にかけて実施する予定であったが、2024年1月の能登半島地震の発災に伴い、福井県内での調査の受け入れが困難な状況となった。そのため、この予備調査については、次年度(2025年度)に計画的に実施することにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、まず昨年度実施することができなかった予備調査として、福井県内の高校を訪問し、探究学習やPBLの実践と評価に関する授業観察や教員へのインタビュー調査を実施する。 また、イギリスの後期中等教育段階におけるPBLの授業実践と評価について、現地の学校への訪問調査を行なう。具体的には、授業におけるPBLの実践を参観し、そこで生まれた疑問等について、教員へのインタビューを行ない、イギリスにおけるPBLの授業実践の実態と課題を明らかにする。 学校訪問調査では、PBLの実践において使用されている教材、教員の声かけや介入の仕方・頻度、教員が授業実践の中で何を意識しているのか、授業準備の方法、他教員との連携、校内研修制度等について明らかにする。現在、ロンドン等の都市の学校(2~3校)と地方の学校(2~3校)への訪問調査を考えている。
|