Project/Area Number |
23K12986
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
難波 隆弥 京都産業大学, 理学部, 准教授 (20843981)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | ランダムウォーク / 拡散過程 / 集団遺伝学 / Trotterの収束定理 / 一般化二項定理 / 非整数二項分布 / Bernstein作用素 / 極限定理 / 離散幾何解析 / 離散群 / 確率過程 |
Outline of Research at the Start |
離散空間上のランダムウォークに関する極限定理は、対称性等のランダムウォークの性質のみならず、離散空間が持つ幾何学的性質によっても影響を受けることが知られている。さらにランダムウォークのある種の極限として捉えられる確率過程もまた、ランダムウォークの性質や空間の幾何学的性質により影響を受ける。本研究課題では、離散空間のや極限に現れる確率過程の性質に注目して、ランダムウォークの様々な極限定理を調べる。そして、極限定理を様々な数学が交差する豊かな主題として展開することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はランダムウォークに関わるいくつかの問題に取り組み、主に以下の(1), (2), (3)の結果を得た。 (1) 多次元Bernstein作用素の反復に関する極限定理について平野貴稔氏と共同研究を行った。突然変異の効果を取り込んだ新しい多次元Bernstein作用素を定義し、その反復の極限に突然変異の効果に対応するドリフトつきWright-Fisher過程が捉えられた。またその収束レートも明らかにした。さらに次元と反復回数をともに無限大にすることで、測度値確率過程であるFleming-Viot過程を捉えた。これらの研究成果は論文の形に整理され現在投稿中である。 (2) 青山崇洋氏と共同研究を行い、集団遺伝学でよく研究されているMoranモデルを用いて連続関数の空間に作用するある線形作用素を定義し、これが連続関数を一様近似することを示した。さらにその反復の極限としてWright-Fisher過程を捉えた。本研究は既存の数理モデルから関数を近似する性質をもつ線形作用素が構成できることを指摘している。 (3) 新古典不等式の一般化としてHara-Hinoが得た一般化二項定理を用いて自然に定義される離散確率分布について、日野正訓氏と共同研究を行った。この確率分布は二項分布の非整数版とみなせるので非整数二項分布と名付け、モーメントの具体的表示や極限定理(中心極限定理, 少数の法則)等の基本的な性質を調べた。加えて、非整数二項分布に付随する非整数Bernstein作用素を導入し、これが連続関数を一様近似することおよび反復の極限定理を得た。 これらはいずれも当初の研究計画に挙げた研究とは方向性が異なるが、前研究課題中に得ることができたTrotterの半群収束定理の精密化の適用例を模索する中で急速に進展した内容である。また、(2), (3)についても現在論文を執筆中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に得た研究成果はいずれもはじめに掲げた研究計画に挙げた研究とは方向性が異なるものの、Bernstein作用素等の関数を近似する性質を有する線形作用素の反復の極限定理に関連する結果をいくつか得ることができた点は特筆に値すると考える。また、今回の研究で得られた非整数二項分布は確率論、確率過程論への様々な応用を考える上で基礎的な研究になることが期待できる。上記より、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) Moranモデルより定まる線形作用素の研究の続きとして、一般化Moranモデルとよばれる数理モデルに対応する線形作用素の性質を引き続き調べる予定である。一般化Moranモデルのある種のスケール極限として、集団遺伝学に現れるジャンプ過程が捉えられるという既存の結果を参考に、作用素の反復とジャンプ過程の間の新たな関係を探りたい。 (2) 非整数二項分布の少数の法則を示す中で、その極限に非整数Poisson分布とよぶべき離散確率分布を見出している。非整数Poisson分布に関してはまだ基本的な性質を調べ切るに至っていないため、継続して調べる予定である。また非整数版確率分布の確率過程論への応用についても考えたい。 (3) 本来の研究計画にも掲げている可解群Solの上のランダムウォークの極限定理についても調べたい。特に、現在思いついているSol上のランダムウォークの空間スケールの取り方を利用して大数の法則の証明を厳密に行うことを目指す。
|