Project/Area Number |
23K13942
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 39030:Horticultural science-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石橋 美咲 京都大学, 農学研究科, 助教 (50845021)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
|
Keywords | イチゴ / 花芽分化 / 葉 / メタボローム / 質量分析 |
Outline of Research at the Start |
イチゴの花芽分化は、環境に応答して開花や収穫時期に影響する生理機構であり、適切な栽培管理のために簡便な判定・予測の系が望まれる。非破壊的に各個体の花芽分化を把握するには、安定的に供給可能な葉を対象に、環境応答に基づく代謝変動を理解する必要がある。本研究では、異なる環境応答性をもつイチゴ品種における花芽分化時の代謝物の動態を網羅的に比較し、花芽分化前後に葉で変動する代謝物の特定を目的とする。さらに選抜した代謝物をバイオマーカーとして、低侵襲分析が可能な質量分析による花芽分化の評価系の構築を試みる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
イチゴ苗の花芽誘導環境において、葉で生じる代謝変動を把握し、特徴的な代謝物をバイオマーカーとして利用するため、ノンターゲットメタボローム解析による代謝物の選抜と、PESI-MSによるハイスループットな検出系の検討を行なった。また、花芽分化サンプルを安定して獲得するため、人工気象下での実生栽培条件の検討を行なった。 ‘さがほのか’と‘よつぼし’について、夜冷短日処理による花芽誘導苗から継時的に若葉を採取した。CE-MSによってイオン性代謝物の網羅的な検出を行い、一部についてはMS/MSスペクトルから代謝物の構造を推定した。推定した代謝物について、多変量解析によって代謝物蓄積の継時変化および品種間差を比較した。二品種に共通または特異的に花芽分化期の前後で変動した代謝物を、数十種類選抜した。さらに、顕微鏡観察によって同サンプルの花芽分化状態を確認し、特に花芽分化後に蓄積量が増大した代謝物を選抜した。 候補代謝物のハイスループット検出系の検討として、PESI-MSによる分析条件の最適化を試みた。溶媒や分析時間を代謝物ごとに検討し、‘さがほのか’の若葉から一部の当該代謝物が安定して検出された。本条件で花芽誘導処理前後のサンプルの代謝物を比較し、CE-MSと同じ傾向であることを確認した。 さらに‘よつぼし’について、人工気象下における実生の発芽・生育条件を検討し、質量分析および遺伝子発現解析に必要なサイズに到達する条件を考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同一環境の複数品種に対して、共通または特異的に変動した代謝物を選抜できたことから、花芽分化時の環境応答に伴う代謝変動に品種間差があることが示唆された。一部の代謝物については、複数の質量分析計による分析結果で同様の傾向が確認され、より簡便な手法によって、代謝物を花芽分化時の環境応答を把握するバイオマーカーとして検出できる可能性が示唆された。一方で、今回選抜した代謝物は構造が推定可能なイオン性化合物のみであり、未同定のピークやイオン性化合物以外の候補について引き続き検討する必要がある。 人工気象下の栽培条件検討によって得られる実生は、代謝変動に関する遺伝子や花芽分化時の日長応答性に関わる遺伝子の解析に利用可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度選抜した代謝物に加え、引き続き未同定のピークの継時変化および品種間差を比較し、候補となるものについて構造推定を行う。また、花芽分化後に減少した代謝物のバイオマーカーとしての妥当性を考察する。 さらに、花芽誘導環境の年次変動性を確認するため、次年度においても同栽培地で若葉の採取を行い、選抜代謝物の変動を複数の質量分析計で確認する。 人工気象下で栽培する実生について、上述の選抜代謝物に関連する代謝経路遺伝子や日長応答関連遺伝子の発現解析を行うための条件を最適化する。
|