Project/Area Number |
23K14098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
朱 夏希 岡山理科大学, 獣医学部, 助手 (50907649)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | α2アドレナリン受容体 / 悪性腫瘍 / 遺伝子発現解析 / 免疫組織化学 / 定量RT-PCR / 腫瘍 / 麻酔 / デクスメデトミジン / アチパメゾール |
Outline of Research at the Start |
近年、α2アドレナリン受容体(α2AR)が人の悪性腫瘍で発現し、そのシグナルは腫瘍細胞増殖を左右する重要な因子であることが見出された。本研究は、外科手術で摘出されたイヌの症例由来の腫瘍組織におけるα2ARの発現を解析し、さらに様々な実験研究によりイヌの腫瘍増殖におけるα2ARシグナルの影響を遺伝子、タンパク質および機能レベルで証明する。さらに、獣医療の特色として臨床的にα2AR拮抗薬が使用できる強みを生かし、α2AR拮抗薬が腫瘍に与える影響を臨床研究で検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本学獣医学教育病院における臨床例由来の腫瘍バンク検体を用いて、イヌの悪性腫瘍組織におけるα2アドレナリン受容体(α2AR)サブタイプ(ADRA2A, ADRA2B, ADRA2C)の発現解析を行なった。当初の仮説の通り、本来α2ARの発現が乏しい上皮系を由来とするいくつかの悪性腫瘍(がん)において、脳や血管といったα2AR発現が豊富な組織と比べても、同等あるいはそれ以上の遺伝子(mRNA)発現を認めた。また、血管肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫といった非上皮性腫瘍では、ADRA2AおよびADRA2Cの比較的高いmRNA発現を認めた。同一のがん種の中でも、例えば肺腺がんにおいてα2ARのmRNA発現が高いものと低いものが混在するなど、症例によって発現パターンが多様であった。 さらに、任意のタンパク質を組織切片上で検出する免疫組織化学(IHC)的解析により、腫瘍組織の中でがん細胞そのものにタンパク質レベルでα2ARが発現していることを確認した。IHCでは、α2ARの陽性像は全てのがん細胞に均一ではなく、一部のがん細胞集団においてまだら状に陽性を示す、不均一な発現パターンが確認された。また、このα2AR陽性のがん細胞は、陰性のものに比較して形態的に未分化で、細胞密度の高い傾向が認められた。 本研究の結果は、イヌの悪性腫瘍においても人と同様にα2ARの発現が認められることを明らかにし、その抗腫瘍戦略においてα2ARシグナルの影響を考慮する重要性を示唆した。また、がん組織の中でも細胞形態によってα2ARの発現パターンが異なることから、腫瘍分化の程度など、がん細胞性状とα2AR発現の関係性について検討する余地を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた臨床検体を用いた腫瘍におけるα2ARのmRNA発現解析およびIHC解析について、環境整備や条件検討は完了し、解析は問題なく進行している。一方で、IHCにおける結果が当初の予想とは異なり、がん細胞集団よってα2ARがまだら状に陽性を示した結果が得られた。これについて、非特異や実験失宜の可能性の排除するため、慎重な再実験および条件検討を繰り返したため、当初2023年度に予定していた検体数に到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
未了の腫瘍検体について、mRNA発現解析およびIHC解析を完了させる。その次に、当初の予定どおり、α2ARを安定発現させた腫瘍細胞株を用いて、α2ARと腫瘍細胞増殖の関係性を検証する実験を推し進める。一方で、当初の予想に反して、IHCの結果から、腫瘍組織内で分化の程度とα2AR発現に関連があるという仮説が得られた。サイトケラチンなど腫瘍マーカーや、PCNAやKi67など細胞増殖マーカーとの多重染色により、この仮説の検証も進めていく。
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