Project/Area Number |
23K15151
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
齋藤 悠司 山形大学, 医学部, 客員研究員 (00838419)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | ITCH / DM心筋症 / TXNIP / IGF-1受容体 |
Outline of Research at the Start |
糖尿病患者は心不全の発症が多く、予後不良である。冠動脈疾患や高血圧を有しないにもかかわらず心不全を発症する糖尿病性心筋症が問題になっている。糖尿病性心筋症は、初期には拡張障害を示し、進展するに従い収縮障害を来す。膵β細胞機能障害によるインスリン分泌低下が心不全の表現型の変化に関係すると仮説を立てた。ITCHはタンパク質の機能調節や分解において重要な役割を担う。糖尿病性心筋症における心筋組織や膵組織におけるITCHの役割は検討されていない。糖尿病性心筋症において、心筋および膵組織におけるITCHの機能をin vitroおよびin vivoで検討する。ITCHを標的とした新たな治療法の開発を目指す
|
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者は心不全の発症が多く、しばしば予後不良となる。糖尿病患者の心不全は虚血性心疾患によるものが多いが、冠動脈疾患や高血圧を有しないにもかかわらず心不全を発症する糖尿病性心筋症が重要である。糖尿病性心筋症は、初期には拡張障害を示し、進展するに従い収縮障害を来す。そこで、膵β細胞機能の障害によるインスリン分泌低下が心不全の表現型の変化に関係すると仮説を立てた。心筋障害と膵β細胞障害に共通の機序を同定し介入することで糖尿病性心筋症の治療に結び付くと考えた。HECT型ユビキチン転移酵素ITCHはタンパク質の機能調節や分解において重要な役割を担う。ITCHは、標的蛋白質を分解することでチオレドキシンシステムやNKκB経路を制御し、酸化ストレスや炎症を鎮静化する。これまで、糖尿病性心筋症における心筋組織および膵組織におけるITCHの役割は検討されていない。本研究では、糖尿病性心筋症において、心筋および膵組織におけるITCHの機能をin vitroおよびin vivoで検討する。ITCHを標的とした遺伝子介入や薬物療法による新たな治療法の開発を目指す。 2023年は、細胞実験を中心に行った。H9C2細胞や新生仔ラット培養心筋において、ITCHがTRAF6やA20と相互作用し、NKκB経路を制御することに加えて、今回ITCHがInsulin like growth factor-1(IGF-1)受容体とPPXYモチーフを介して結合する知見を得た。更にITCHをノックダウンすると、IGF-1シグナル経路の下流であるAktのリン酸化が亢進した。動物実験は、高脂肪食とストレプトゾトシン腹腔内投与で糖尿病性心筋症モデルが既報通り再現できるか実験を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋特異的ITCH過剰発現マウスを有している。ITCHは、標的蛋白質のPPXY配列を認識し、ユビキチン化する。そこで、インスリンシグナルに関わる蛋白質のアミノ酸配列を調べた。インスリンシグナルではないが、IGF-1受容体にPPXY配列があることがわかった。そこで、免疫沈降法を行ったところ、ITCHとIGF-1受容体が直接相互作用する知見を得た。更に、心筋特異的過剰発現マウスでは、エンドソーム機能が亢進していた。免疫染色を行うと、初期エンドソーム周囲にITCHが局在していた。また、エンドソームの調節因子であるRabaptin-5の発現を調節していた。受容体のユビキチン化は、Internalizationに関与する。ITCHが、IGF-1受容体をユビキチン化し、エンドソームに取り込むことで、シグナル伝達を調節する可能性が示唆された。そこで、ITCHの機能を検討するために、心筋特異的過剰発現マウスの心組織をRNA-seqで解析する予定である。 高脂肪食とストレプトゾトシン腹腔内投与による糖尿病性心筋症モデルの作成を試みたが、既報通りの容量でストレプトゾトシンを投与したところ、マウスが1週間後に全て死亡した。他方、コントロール群ではマウスは生存しており、ストレプトゾトシンが過量であった恐れがある。そこで、既報よりも少ない容量で、糖尿病性心筋症モデルを作成中である。また、 膵β細胞特異的ITCH過剰発現マウスの作成に難渋している。 細胞実験は、心筋細胞における実験は順調に進んでいる。ラット膵β細胞株iGL細胞におけるITCHの機能は、まだ検討できておらず準備中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、高脂肪食とストレプトゾトシン腹腔内投与による糖尿病性心筋症モデルを再現する。その後、心筋特異的ITCH過剰発現マウスに、糖尿病性心筋症を誘導し、ITCHが心機能や予後に与える影響を野生型マウスと比較する。心筋組織における酸化ストレスや炎症をRNA-sequence解析を用いて検討する。心筋組織におけるチオレドキシンシステムやNFκB経路についても、ウエスタンブロット法やリアルタイムPCR法で評価する。IGF-1シグナル経路についても同様に検討する。 新生仔ラット心筋細胞培養を行う。ITCHをプラスミドベクターやsiRNAを用いて、ITCHの過剰発現やノックダウンを行う。これらの培養心筋を用い、高血糖刺激、TNFα刺激、酸化ストレス刺激を行い、ITCHが炎症、酸化ストレス、アポトーシス、ミトコンドリア障害、小胞体ストレスなどに与える影響を検討する。刺激を行った際に、ITCHがTXNIPやNFκB経路を構成するタンパクならびにIGF-1受容体との相互作用が変化するか詳細に検討する。膵β細胞特異的ITCH過剰発現マウスを作成する。心筋特異的ITCH過剰発現マウスと同様の検討を行っていく。その後、ITCH活性化薬や阻害薬による薬剤介入が糖尿病性心筋症に与える影響を検討していく。これまで心筋細胞や膵β細胞において、リチウムやクロミプラミンがITCHの発現や活性を調節するかは検討されていない。そこで我々は糖尿病性心筋症モデルマウスに対してこれらの薬剤を投与し、心機能や耐糖能ならびに生命予後に対する影響に関して解析を行う。 ラット膵β細胞株iGL細胞におけるITCHの機能解析を行う。同細胞に対してITCHを過剰発現またはノックダウンすることでインスリン分泌能が変化するか検討する。また、TNFα刺激を行い細胞死に与える影響を検討する。
|