Project/Area Number |
23K15762
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 佳樹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00807795)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 精子無力症 / 機能未知遺伝子 / モデルマウス / 男性不妊 / ゲノム編集 |
Outline of Research at the Start |
対象とするGm614は幅広い生物種で保存されており主に精巣で発現するが、その機能は不明である。Gm614 KOにより雄が交配不可能になり、その精子を観察すると屈曲してほとんど運動性がないことが分かった。Gm614の欠損が精子の運動性低下と関係する可能性を確かめるため複数の欠失変異体を作製したところ、全ての雄マウスで精子の屈曲と精子無力症様の形質を認めた。この時点で唯一のGm614についての文献では脾臓で転写因子として働くことが示唆されていた。そこで精巣における機能未知の遺伝子Gm614がどのようにして精子の形態および運動性を変化させるのかを明らかにすることとした。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者はごく最近、魚類から哺乳類まで進化的によく保存されているX染色体上の新規・機能未知遺伝子Gm614について、Gm614ノックアウトマウスで精子尾部が曲がり運動性を失うこと、完全な雄性不妊となることを発見した。このマウスでは、精子頭部から尾部まで構造異常は見られず、また精子数も野生型と差がなく成長曲線も正常なため、新規の精子無力症モデルマウスとして有用と考えられた。 Gm614遺伝子は前述の通り幅広い生物種でよく保存されており、ヒトにおいてもマウスと同様にX染色体上に位置している。一方、これまで精巣での発現を確かめた報告はなく、もちろんその機能を解析した研究報告もない。そこで本研究では精巣における機能未知の遺伝子Gm614がどのようにして精子の運動性を変化させるのか、そのメカニズムを明らかにする。具体的には以下の3項目について明らかにする。すなわち①特異的な発現組織はあるか、特に精巣内ではどこに局在するか、②Gm614の発現低下に伴って、発現量が変化する遺伝子はあるか、③Gm614自体、あるいは下流の遺伝子群がどのように精子の形態および運動性をどのように変化させるのか、である。 今年度は①に関して全身組織の網羅的探索からGm614発現組織を複数見いだした。そのうち最も発現が多いのは精巣であることを確認した。精巣内での発現につき、精子が発現しているのか支持細胞が発現しているのかを調べるためデジタルPCRを用いた解析を併用し、恐らく精子、精原細胞にmRNAが豊富なことを見いだした。②に関してGm614ノックアウトの精巣でRNA-seqを行い、発現低下した3遺伝子についてそれぞれノックアウトマウスを作製、繁殖中である。③に関しては未着手である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的3点のうち①特異的な発現組織はあるか、特に精巣内ではどこに局在するか、②Gm614の発現低下に伴って、発現量が変化する遺伝子はあるか、に関して概ね順調に解析が進んでいる。一方で発現タンパクが捕らえられていない点が重要であるが、これについて現在多角的な検討を行っており、研究の展開としてはむしろ好ましいと考えている。次年度の報告で詳細を記す。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、研究計画に盛り込んだ以上の変異マウスを複数系統樹立することが出来た。変異体はどれも同様に精子の運動性低下を示しているが、特定の変異でのみごくわずかに受精能を獲得することを発見した。この変異が遺伝子産物の機能に及ぼす影響を目下解析している。また運動性低下を詳細に観察する中で、特定のパラメータが変化していることを見いだした。これを自動解析するシステムを構築したいと考えているが、この点はヒト臨床にも応用可能になる可能性を持っている。遺伝子産物の具体的機能について、申請時点のような転写因子としての機能低下ではない可能性が示唆される観察結果を得ている。現在は遺伝子産物が持つ機能につき新たな観点から解析を進めており、確信が持てる結果が得られた時点で、論文化する予定である。
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