Project/Area Number |
23K16811
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
遠藤 輪 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 技術支援本部地域技術支援部食品技術センター, 研究員 (50880473)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 小腸微生物 / 胆汁酸 / 脂質消化 / バイオアクセシビリティ / 脂質吸収 / 混合ミセル |
Outline of Research at the Start |
脂溶性の栄養成分はミセルの状態で腸管から吸収され、生体内でエネルギー源や機能性成分として重要な役割を果たす。このため、生命活動の維持や健康の増進のために効率的に体内に吸収されることが求められる。一方、小腸の微生物が過増殖した際に脂質吸収不良が起こるケースがあるが、そのメカニズムは解明されていない。本研究では、小腸の微生物がどのようにして脂溶性成分の体内への吸収を妨げるのか、そのメカニズムの解明を試みる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
小腸微生物が過剰に増殖した際に見られる症状の1つに脂質吸収不良が挙げられるが、なぜ微生物が増えると脂質吸収が低下するのか明らかになっていない。栄養成分が体内に取り込まれるためには、その成分が消化酵素により吸収可能な形まで分解され、腸管上皮を透過することが必要である。本年度はこのうち消化の部分に着目し、微生物が脂質の消化性に及ぼす影響の解明を試みた。具体的には、(1)微生物による胆汁酸変換量のモニタリング、(2)胆汁酸組成による脂質消化性の解析の2点を実施した。 (1)では、固相抽出およびHPLC分析の条件を検討し、微生物培養液中の胆汁酸の定量を可能にした。その後、グリココール酸を添加した培地でEnterococcus faecalisを培養し、培養上清中の胆汁酸を分析したところ、経時的にグリココール酸がコール酸に変換されることが示された。このことから、少なくとも培養環境で見られるような菌体濃度まで増殖した際には、微生物の影響で胆汁酸組成が変化することが明らかになった。 また、(2)では、胆汁酸組成のみを変化させた人工消化液を用いてオリーブオイルの分解性を評価した。その結果、グリココール酸を用いた際にはコール酸を用いたときよりもオリーブオイルの分解速度が速いことが明らかになった。 以上より、微生物の作用によって胆汁酸が変換されると脂質の消化速度が低下する可能性が示唆された。本年度は培養環境での評価をおこなったので、次年度は、上記の現象が小腸で起こり得るのか、菌体濃度と内容物の小腸通過時間に着目した量的な評価に取り組む予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞を用いた腸管上皮の透過性アッセイや微生物による胆汁酸代謝の測定、脂質消化性の評価、ミセル性質の解析といった複数のアプローチで実験をおこなった。期待した成果が得られなかった実験も一部あるが、「研究実績の概要」に示した通り、微生物による脂溶性成分の吸収性低下を説明できるような結果が得られた。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
微生物濃度や小腸の通過時間などを実際に近い条件に設定し、どの程度の微生物が存在するときに脂質の消化性が低下し得るのか量的な関係性を明らかにする。
|