Project/Area Number |
23K17101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鄭 傚民 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定研究員 (70867069)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | セマウル / ウガンダ / ODA / 援助 / アフリカ / 韓国 |
Outline of Research at the Start |
韓国で1970年代から推進されたセマウル運動は、韓国の代表的な開発経験のモデルとして盛んに途上国への移転が試みられている。援助による同運動の移転は受入国政府と村落住民が主体となり、それぞれ費用を負担し、プロジェクト後もその活動の持続を目指していることから、資源・利益の公平な分配は住民のモチベーションに影響する重要な要因と考えられる。本研究はアフリカでも特に活発にセマウル運動の移転が試みられているウガンダに注目し、同運動の事業実施村落の住民間の資源・利益の分配の偏りにおける課題と課題解決のためのウガンダ政府による介入を明らかにすることで、セマウル運動の途上国への移転がもたらす帰結を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は韓国の代表的な開発経験モデルとされるセマウル運動の途上国への移転に注目する。セマウル運動は各村落で住民が開発事業を選定、実行する下からのアプローチであると同時に、政府が管理・支援を行う上からのアプローチという複合性を持つ農村開発手法である。アフリカでも特に活発に援助を通じたセマウル運動の移転が試みられているウガンダに注目し、援助による同運動の事業実施村落の住民間の資源・利益の分配の偏りにおける課題とその解決のためのドナー及びウガンダ政府による介入を明らかにすることを目指す。 2023年度には文献による調査及び現地調査を行った。その結果、以下のことを明らかになった。第一に韓国のセマウル運動の援助事業は政府内に実施組織が多数であり、途上国でも各自の組織が援助プロジェクトを実施している。第二に現在ウガンダで行われているセマウルプロジェクトではドナー及び現地政府はプロジェクトの実行における支援をしているものの、その範囲は限定的で収入向上のための事業の詳細な意思決定のレベルまで介入しないことが明らかになった。第三に、プロジェクト実施地域の住民により選定された多数の開発事業のうち、収益向上のための共同耕作事業に注目し、そのあり方を検討した。その結果、住民はセマウルの共同耕作のためのグループを構成し、多数決の会議体制により事業実施における意思決定を行っていることが明らかになった。以上をまとめるとウガンダのセマウル運動はドナー及び政府が一部支援、評価に関わっている。特にドナーは現地の関係者に研修を提供することで、セマウルの基本精神を移転を目指していた。一方、農村開発事業の実施はドナー及び政府がその詳細まで介入せず、住民による組織に委ねている。従って、資源・利益の分配の課題を明らかにするために、今後は住民組織による事業実施の意思決定に更に注目する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査及び現地調査は当初の計画に従い実施した。韓国及びウガンダの政策文献などを検討し、現地調査を行った。研究開始から援助によるセマウルプロジェクトに関する政策文書、実施計画を分析した上で、ウガンダにおける現地調査では調査地及び事業を選定し、ドナー及び現地政府の関与、そして現地の住民によるこれまでのセマウル運動の実施のあり方及び背景を明らかにした。 文献調査の結果をまとめ、国内学会での発表も行った。以上のことから研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度にもウガンダで現地調査を実施する。具体的には労働の分配、販売ルート、収益の配分の構造などを現地住民レベルの意思決定に注目し、調査を行う計画である。この過程を通じて、現地のセマウル事業がどのように実行され、それは韓国のセマウルから「移転」された部分が存在するのかを明らかにする。また、住民間の労働及び資源・利益の配分における課題の詳細を検討する。 調査の結果をまとめ、国内学会及び海外の学会で発表を行う。学会発表で専門家のコメントを受け、英語の学術誌の投稿・掲載を目指す。
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