Development of phage technology to precise control of intestinal microbiota disturbance for novel drug discovery
Project/Area Number |
23K18394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 58:Society medicine, nursing, and related fields
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
宮永 一彦 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40323810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 龍洙 自治医科大学, 医学部, 教授 (50306932)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | バクテリオファージ / 腸内細菌叢 / 精密制御 / 病原菌 / 多重感染度 / 生態学的多様性 |
Outline of Research at the Start |
近年、腸内細菌叢の撹乱と疾患との関連性が明らかになってきている。しかし、抗菌薬、プロバイオティクスなどに見られるように、細菌叢における外乱因子自身、もしくは外乱因子により優占化した細菌種を選択的に取り除く技術はまだなく、細菌叢の精密制御技術の開発が望まれている。 バクテリオファージの宿主特異性を利用した標的細菌の殺菌は、他の共生細菌に影響を与えずに腸内細菌叢の精密な制御を行う方法の一つの可能性を有している。 本申請では、生物学的安全性を備えた非複製性ファージによる腸内細菌叢における病原菌の除去および食事誘導型疾患に関与する細菌種の制御技術の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、腸内細菌叢の撹乱と疾患との関連性が明らかになってきている。しかし、抗菌薬、プロバイオティクスなどに見られるように、細菌叢における外乱因子自身、もしくは外乱因子により優占化した細菌種を選択的に取り除く技術はまだなく、細菌叢の精密制御技術の開発が望まれている。 バクテリオファージ(ファージ)の宿主特異性を利用した標的細菌の殺菌は、他の共生細菌に影響を与えずに腸内細菌叢の精密な制御を行う方法の一つの可能性を有している。本申請では、生物学的安全性を備えた非複製性ファージによる腸内細菌叢における病原菌の除去および食事誘導型疾患に関与する細菌種の制御技術の確立を目指す。 まず、生活習慣病として食事誘導型の肥満に焦点を当て、肥満関連細菌として報告がある腸内嫌気性菌に感染するファージを附属病院排水中より単離した。分離したファージの標的細菌に対する溶菌能および、ファージ添加による複合微生物系への影響を評価した。薬剤耐性菌同様、ファージ耐性菌も培養後期で出現したが、ファージ耐性菌に感染可能なファージを新たに取得し、野生型ファージと混合したファージカクテルを添加することにより、標的細菌のファージ耐性菌の出現を抑えることが可能となった。更に、in vitro実験において、複合微生物系として健常な実験マウス由来の糞便を用い、糞便懸濁液に標的細菌を混合した系に、ファージを添加したところ、標的細菌あたりのファージ数(多重感染度[MOI])を高くすることで、標的細菌を顕著に減少させることが可能であった。また、in vivo実験では、SPFマウスに肥満細菌を複数回経口投与し、その後、ファージ溶液を経口投与したところ、緩衝液を投与した対照群では糞便中の肥満細菌が前後でほとんど変化しなかったのに対し、ファージ投与群では投与後に顕著に減少した。動物実験においても本ファージが標的細菌を溶菌することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、生物学的安全性を備えた非複製性ファージによる腸内細菌叢における病原菌の除去および生態学的多様性の改善を目指している。現時点では、環境水中より単離した野生型溶菌ファージを用いており、これらは標的細菌を宿主とすることで、複製が可能である。現在までに、マウス糞便懸濁液を用いたin vitro実験、およびマウスによるin vivo実験において、標的細菌を混合もしくは投与した複合微生物系において、野生型ファージを加えることで、標的細菌が減少することを明らかとした。更に、メタ16S rRNA遺伝子解析に基づく菌叢解析により、標的細菌以外の腸内細菌叢はほとんど変化していないことが示された。これらの結果より、ファージにより周囲の腸内細菌に影響を与えることなく、標的細菌を制御することが可能であることを示した。 一方、野生型ファージは宿主の溶菌と同時に、自らを宿主細菌内で複製を行うことが可能である。そのため、複合微生物系内や動物内において、非特異的吸着や胃酸、消化酵素などの影響により、ファージ濃度の減少も考えられるが、宿主感染後に自らを増やすことができるため、宿主の制御に効果が見られている可能性がある。しかしながら、生物学的安全性を確実に担保するには、非複製性ファージにおいても殺菌効果を示すことを明らかにしなければならない。現在、野生型ファージの全ゲノム配列解析を行っているところであり、ゲノム配列を明らかにした後に、本ファージのパッケージング部位を欠損させ、パッケージングに関与する酵素をプラスミド等で補うことで、宿主認識能および宿主殺菌能を変化させずに、非複製性ファージの作製を試みる予定である。また、現在はファージによる腸内細菌叢中の標的細菌の除去を目的としており、動物の表現型への影響はまだ調べていない。今後、表現型についても評価を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、野生型ファージを用いて腸内細菌叢中の標的細菌の制御を試みている。しかしながら、本申請内容にもある、非複製型ファージによる標的細菌の制御についてはまだ検討していない。そこで、まず、野生型ファージのゲノム解析を行う。次に、異なる種類のファージゲノムを比較し、カクテル化に最適な種類を選定する。更に、それらのゲノム情報に基づき、非複製型ファージの作製も行う予定である。 また、対象とした肥満細菌は、複数回の経口投与によって動物実験で用いたSPFマウスの腸内から検出されるようになったが、投与を停止した場合、3日後にはファージを用いない対照群でも検出限界以下となった。本菌はマウス腸内からウォッシュアウトしてしまい、腸内に定着しにくい可能性があることが示された。今後、抗生物質による腸内細菌のリセット後に標的細菌を投与するなど、定着性を増加させる条件も検討する。定着性を増加させることにより、ファージ添加と非添加の対照群の差がより顕著になると考えられ、ファージによる腸内からの標的細菌の除去、腸内細菌叢の制御について、更に解析を進める予定である。また、腸内細菌叢の変化がもたらす表現型(肥満やその他の疾病)への影響も明らかにしたいと考えており、今後、動物実験において、腸内細菌叢変化や標的細菌濃度変化など微生物学的解析のみならず、組織学的解析、生理学的解析、免疫学的解析、などについても検討する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)