Project/Area Number |
23K18703
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0103:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
陳 斯雅 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 博士研究員 (20982284)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 陶磁器 / 窯跡資料 / 窯業生産技術 / 技術の成立・伝播過程 / 地域間交流 |
Outline of Research at the Start |
6世紀には、中国華北の陶磁器生産技術が南方より大幅に遅れていた状況は一転し、唐宋時代の飛躍的向上の技術的基礎が築かれた。窯跡資料は単なる生産技術の評価指標ではなく、地域間の文化的・政治的な交流関係を解明するうえで格好の資料である。最も重要な東アジア窯業生産地域の一つである黄河流域については、その製作技術が飛躍的に発展した段階の具体像を解明することが、東アジア窯業の生産技術についての発展過程の歴史像の構築、および北朝後期における漢民族と北方民族の文化的融合・変遷の解明に対して、ブレイクスルーをもたらす可能性があるものとして位置づけることができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、窯跡遺構、窯道具や未製品などの生産に関連した遺構・遺物の分析から系譜を解明することに重点をおき、主に以下の2点について研究を進めた。 まず、報告書から窯跡の製品特徴、窯址・工房跡の構造、および窯道具の種類、様式、セット関係などの情報を収集した。窯跡から出土した製品の器形特徴と既に編年が構築された消費地の出土品と比較し、窯跡年代の再検討を行った。さらに、都城地域に位置する曹村窯跡や青斉地域の寨里窯跡へ赴き、中国社会科学院考古研究所ギョウ城隊、山東大学歴史文化学院との共同研究を行った。報告書に記載されていない未製品・窯道具の情報を実測・撮影して補足し、特に窯道具の製作・使用痕跡、未製品の製作痕跡を記録した。一部の重要なものについては、三次元計測を実施した。既存の報告書から得られる情報と現地調査により収集された情報を統合して窯業製作技術のデータベースを作成した。 さらに、窯跡の地層関係および消費地の出土品から構築された編年成果を参考にして、曹村窯跡を中心とするギョウ城地域や寨里窯跡の窯跡遺構・窯道具類の様式の系譜を明らかにした。さらに、その2つの窯跡の未製品の製作痕跡から、一部の器類の焼成技術に関しての窯詰め方法を復元した。 このように、陶磁器製作技術の中心である焼成技術に関する遺構・遺物の系譜を明確にすることで、中国華北地域の新たな陶磁器製作技術の成立・展開過程と地域間交流の様相を具体的に描き出すことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、以下の2点を研究の目的とする。1)6世紀中国北部における陶磁器の窯業資料の系譜を、主な窯跡遺構と窯道具の検討から明らかにする。2)陶磁器製作技術の受容・伝播の状況から、地域間の文化的・政治的な交流の実態を解明する。 初年度は、既存の報告書から得られる情報と現地調査により収集された情報を統合して窯業製作技術のデータベースを作成し、主要な窯跡遺構・窯道具類の様式の系譜を明らかにした。特に、詳細な発掘調査が行われた都城の曹村窯跡、および華北地域で最初に青磁を生産したとされる寨里窯跡の現地調査から、貴重な資料を得た。これまでの公表資料が少ない状況を緩和し、窯業の生産技術に対する検討が進められた。さらに、未製品と窯道具の両方の製作痕跡を重視し、一部の器類の窯詰め方法が復元できた。すでに実施した整理作業と現地調査により、陶磁器製作技術の成立・展開過程から、地域間交流に至る諸問題の解明に対する良好な基礎が構築されている。そのため、今年度の研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、各窯跡の窯跡遺構・窯道具の様式・技術の系譜を比較して、製作技術の成立・展開過程を捉える。まず、ギョウ城地域における相州窯跡、およびその周辺の白河窯跡やケイ窯跡の現地調査を行い、窯業製作技術のデータベースを補充する。さらに、多面的な研究手法を用いて製作技術の具体像の解明を続ける。最後に、各窯跡製品の胎土・釉色の理化学分析の研究成果を踏まえて、各窯跡における窯跡遺構・窯道具の様式・技術の独自性と共通性を検討し、工人集団・技術系統の交流・伝播状況を明らかにする。 この段階では、最も重要な東アジア窯業生産地域の一つである黄河流域について、その製作技術が飛躍的に発展した段階の具体像を解明することを目指す。漢文化と外来文化が融合した時期の文化的・政治的な交流の実態を全面的に把握することが可能となる。
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