Project/Area Number |
23K19283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0601:Agricultural chemistry and related fields
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
千菅 太一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80980870)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 祖先型設計法 / ポリケチド合成酵素 / タンパク質間相互作用 / クロスリンク / 結晶構造解析 / 単粒子解析 / X線結晶構造解析 |
Outline of Research at the Start |
モジュール型ポリケチド合成酵素 (modular PKS) は抗生物質ポリケチド化合物の生合成に関わり、ポリケチド化合物の構造多様性に寄与する重要な酵素である。これまでに機能解析が精力的に進められているものの、その機能に関していくつか未解明な点が残されている。申請者も実験科学を駆使してその課題解決に取り組んできたが、modular PKSの多様な動的構造を持つ性質により構造解析が困難を極めていた。そこで本研究では、情報科学的手法の1つである祖先型設計法をmodular PKSに初めて適用し、modular PKSの機能および構造に関する未解明課題の解決を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、モジュール型PKSに祖先型設計法を適用することで、その構造解析を容易とする新規手法の開発を目指す。本研究申請期間内では、これまで機能解析を進めてきたローディングモジュール (KSQ-AT-ACP) をモデルタンパク質として検討に取り組む。 本年度は、ASRでデザインした祖先型AT (AncAT) ドメインとATドメインを置き換えたKSQ-AncATキメラタンパク質の調製検討に注力して研究を推進した。12種類のAncAT1~12をデザインし、このうちAncAT1、AncAT2を融合したキメラタンパク質の可溶性や酵素活性を分析した。大腸菌異種発現を検討した結果、KSQ-AncAT2が可溶性タンパク質としてよく得られた。KSQ-AncAT2の各ドメインの酵素活性分析の結果、AncAT2ドメインは天然型ATドメインと同様なアシル基転移活性を示し、キメラタンパク質KSQドメインは天然型タンパク質KSQドメインと同程度の脱炭酸活性を示した。 キメラタンパク質のX線結晶構造解析を検討した結果、KSQ-AncAT2の結晶構造を分解能2.0オングストロームで決定することに成功した。天然型タンパク質結晶構造の分解能2.6オングストロームを上回ったことから、AncAT2ドメインの融合が結晶構造分解能を向上させたことが示唆される。 次に、KSQ-AncAT2キメラタンパク質を用い、天然型タンパク質では十分な分解能の結晶構造が得られなかったKSQ-ACPクロスリンク複合体の分解能向上を目指した。まず、キメラタンパク質を用いた場合でのクロスリンク複合体の調製を検討した。その結果、天然型タンパク質の場合と同様な条件で、ACP=KSQ-AncAT2複合体 ("=" はクロスリンクによる架橋を表す) を得ることに成功した。現在、本クロスリンク複合体の結晶構造解析に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、AncATドメインを融合したキメラタンパク質の調製、およびその酵素活性の分析に注力した。ASRでデザインした12種類のAncATのうち、AncAT2を融合したKSQ-AncAT2キメラタンパク質の調製に成功した。また、KSQ-AncAT2の各ドメインは天然型タンパク質と同程度の酵素活性を保持していることも明らかとなり、祖先型ドメインの融合はローディングモジュールの酵素機能に大きな影響を与えないことが分かった。さらに、KSQ-AncAT2の結晶構造解析は天然型タンパク質の分解能を上回る構造を与え、祖先型ドメインの融合が結晶構造分解能の向上に寄与することが示唆された。 来年度の研究計画に先駆けて、KSQ-AncAT2キメラタンパク質を用いたKSQ-ACPクロスリンク複合体の調製検討にも取り組んだ。その結果、キメラタンパク質のクロスリンク複合体の調製に成功し、さらにその結晶化の検討にも取り組んでいる。 上述のように、研究計画において、本年度実施予定であった祖先型ドメインを融合したキメラタンパク質の調製、およびその機能構造解析を完了できている。さらに来年度の研究計画に先駆けて、キメラタンパク質を用いたクロスリンク複合体の調製、およびその結晶構造解析の検討に取り組むことができていることから、おおむね順調に研究が進行したと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
既に調製できているACP=KSQ-AncAT2複合体のX線結晶構造解析に取り組み、天然型タンパク質クロスリンク複合体の分解能を上回る結晶構造を得ることを目指す。分解能が向上したKSQ-ACPクロスリンク複合体の結晶構造をもとに、KSQとACPのタンパク質間相互作用様式がより精密に観察できることが期待される。また、キメラタンパク質クロスリンク複合体の結晶化が困難であった場合、クライオ電子顕微鏡での単粒子解析にも取り組むことを計画している。単粒子解析の予備的な検討に取り組んでおり、キメラタンパク質クロスリンク複合体の粒子を観察することに成功している。引き続き、キメラタンパク質クロスリンク複合体の構造解析をX線結晶構造解析・単粒子解析の両輪で推進していく予定である。
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