Project/Area Number |
23K19515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0901:Oncology and related fields
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
内匠 陽平 大分大学, 医学部, 助教 (30986485)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 融合遺伝子 / 分子標的薬耐性 / エヌトレクチニブ / HER3 / 初期耐性 / NTRK/ALK/ROS1 |
Outline of Research at the Start |
NTRK/ALK/ROS1融合遺伝子を有する進行・再発固形癌に対する分子標的薬であるエヌトレクチニブの有効性が示され臨床応用されている。しかし、融合遺伝子を有しているにも関わらず約半数は十分な治療効果が得られない。初期より治療耐性となる機序は明らかにされておらず、機序を解明し、耐性機序に合わせた併用療法を開発することにより奏功率の向上が期待される。本研究では、NTRK/ALK/ROS1融合遺伝子を有する細胞株を用い、エヌトレクチニブ対するHER3の発がんと治療耐性メカニズムへの役割を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
分子標的薬は殺細胞性抗癌剤と比較して、標的遺伝子異常を有する対象には高い有効性を認める。NTRK/ALK/ROS1融合遺伝子を有する進行・再発固形癌に対する分子標的薬であるエヌトレクチニブの有効性が示され臨床応用されている。しかし、奏効率は56%と、融合遺伝子を有しているにも関わらず約半数は十分な治療効果が得られない。これら初期より治療耐性となる機序は明らかにされておらず、機序を解明し、耐性機序に合わせた併用療法を開発することは奏功率の向上が期待される。これら融合遺伝子のシグナル伝達経路は、ErbBファミリーのシグナル伝達経路と密接なクロストークを有しており、上皮細胞の癌化、NTRK/ALK/ROS1阻害剤に対する耐性に大きな影響を与えていることが予想される。中でも、ErbBファミリーの一つであるHER3は、HER1,2,4とヘテロダイマーを形成してシグナル伝達に関わっているが、単独ではキナーゼドメインを有しないため、癌における役割は十分に解明されていなかった。近年、HER3を標的とした治療が開発され、臨床でもその有効性が明らかにされつつある。 本研究では、NTRK/ALK/ROS1融合遺伝子を有する細胞株を用い、エヌトレクチニブ対するHER3の発がんと治療耐性メカニズムへの役割を解明する。 現時点では、(1)上皮間葉移行:薬剤添加に伴うEMT、幹細胞マーカーのウエスタンブロットを行ったが、KM12SM細胞株ではEMTや幹細胞マーカーにエヌトレクチニブの暴露に伴う変化は認めなかった。(2)腫瘍もしくは周囲組織からのリガンド分泌:HER3のリガンドであるneuregulinの腫瘍細胞または癌関連線維芽細胞などの腫瘍微小環境からの分泌をELISAで定量したが、腫瘍細胞および癌関連線維芽細胞からのneuregulinの有意な分泌は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NTRK/ALK/ROS1融合遺伝子陽性固形癌のTKI治療耐性におけるHER3発現の意義を検討する。HER3がエヌトレクチニブ耐性細胞を誘導する機序を解明するため、融合遺伝子陽性細胞株を用い、(1)上皮間葉移行:薬剤添加に伴うEMT、幹細胞マーカーのウエスタンブロットを行ったが、KM12SM細胞株ではEMTや幹細胞マーカーにエヌトレクチニブの暴露に伴う変化は認めなかった。(2)腫瘍もしくは周囲組織からのリガンド分泌:HER3のリガンドであるneuregulinの腫瘍細胞または癌関連線維芽細胞などの腫瘍微小環境からの分泌をELISAで定量したが、腫瘍細胞および癌関連線維芽細胞からのneuregulinの有意な分泌は認めなかった。まだ、本研究の目的であるHER3のが耐性細胞を誘導する機序の同定には至っていない。併用療法の有効性の検証では、in vitroにおいて、抗HER2作用を持つ薬剤との併用療法の検討において、一定の併用効果を認めており、in vivoを含むさらなる検討を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
TRK/ALK/ROS1融合遺伝子陽性固形癌の発癌、進展におけるHER3の意義と、HER3がTKI治療に対する耐性に与える機序を明らかにすることを目的とする。本研究により、融合遺伝子陽性固形癌の発癌、進展メカニズムが明らかされ、併用療法など治療の開発が促進し、稀少癌の予後が改善することが期待される。来年は、本年の結果をもとに、in vivoでの実験などを進める。
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