Project/Area Number |
23K20028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
1101:Environmental analyses and evaluation, environmental conservation measure and related fields
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
小串 祥子 摂南大学, 薬学部, 助教 (30982350)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | カドミウム / 胎盤 / 環境化学物質 / 毒性発現機序 / エピジェネティクス |
Outline of Research at the Start |
環境中には様々な汚染物質が存在しており、新規化学物質が次々と作り出されている。その中にはエピジェネティックな変化を誘発して子どもの発達に悪影響を与える"エピ変異原"も含まれると考えられる。近年、規制当局にもエピジェネティクスを意識した安全性評価を行う動きが広がっているが、検出系の煩雑さや高コストから、十分に評価されていない状況である。 本研究では、エピ変異原であるカドミウムが胎盤細胞に影響を与える分子機序を、特にエピゲノム変異に注目して解明し、胎盤毒性を示す他の環境中エピ変異原との比較を行うことで、胎盤分化・機能に悪影響を与えるエピ変異原スクリーニングに活用しうるバイオマーカーの同定を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒト胎盤は、細胞性栄養膜細胞(CT)が絨毛外性栄養膜細胞(EVT)や合胞体性栄養膜細胞(ST)に分化し、EVTが母体子宮側に遊走・浸潤することで形成されるが、EVT様の細胞株として広く用いられているHTR-8/SVneo細胞を用いて、カドミウム(Cd)曝露がEVTの遊走能および浸潤能を低下させることを明らかにした。また、その影響は曝露期間が長いほど顕著に表れ、ヒトの胎盤形成にかかる期間(1カ月)と同じ期間曝露し続けることで、高い人の血中濃度としてあり得る濃度程度でも見られることがわかった。そして、それが長期曝露によってCdが細胞内に蓄積されることで起こるのではないかと考え、2、8、32日間Cd処理したHTR-8/SVneo細胞のCd蓄積量とCd輸送に関わるトランスポーターの発現量を調べた。その結果、Cd蓄積量は処理濃度に伴って増加した。しかしながら、処理期間に関係なく、同じ濃度のCdで処理した群ではCd蓄積量は同程度であった。トランスポーターの発現に関しては、ZIP8とDMT1の発現量は低かった。一方、ZIP14は、それに比較すると発現量は高かったが、いずれのトランスポーターについても処理期間による発現量変化は認められなかった。これらの結果から、Cdは処理期間が長いほどEVTの遊走・浸潤の機能を低下させるが、それは細胞内へのCd取り込みの変化や、Cd蓄積量の増加に起因するものではないと考えられる。そこで、同細胞サンプルを用いてRNA-seqを行い、遺伝子発現変化を網羅的に解析したところ、長期間のCd処理によって、AKTを活性化することが知られている遺伝子の発現量が変化していることを見出した。ウェスタンブロッティングの結果でも、Cd処理細胞ではpAKT量が減少したことから、CdはPI3K/Aktシグナル伝達経路の阻害を介してEVT機能に影響を与えていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CdのEVT機能への影響が明らかになり、現在はその作用機序解明を進めているが、作用点と思われる経路が概ね特定できたことから、順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
遊走および浸潤には、いくつかの経路が関わっていることが知られており、PI3K/Aktシグナル伝達経路はその一つである。RNA-seqおよびウェスタンブロッティングの結果から、CdはPI3K/Aktシグナル伝達経路の阻害を介してEVT遊走や浸潤に影響を与えている可能性が考えられるが、その他の経路への影響評価や、RNA-seqデータのさらなる解析を進めている。また、Cd以外のエピ変異原としてビスフェノールAやヒ素などについても、CTの分化やST・EVT機能への影響とその作用点について検討中であり、そちらも同時に進めていくことで、Cdの作用機序との共通点を探る。
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