Project/Area Number |
23K20580
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Project/Area Number (Other) |
21H00676 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
大橋 洋一 学習院大学, 法務研究科, 教授 (10192519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勢一 智子 西南学院大学, 法学部, 教授 (00309866)
大脇 成昭 九州大学, 法学研究院, 教授 (30336200)
原田 大樹 京都大学, 法学研究科, 教授 (90404029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 都市法 / 災害法 / 土砂災害 / リスク法 / 都市法学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、①都市法の新しい体系として二元主義モデルを打ち出し、②都市法を指導する新しい法原則として予防原則、協働原則、透明性原則、持続可能性原則に着目し、加えて、③現代都市法で用いられる新しい手法として誘導型手法の法的性格を解明し、④災害対策として都市法が変容している現象を分析する。⑤都市法と災害法の交錯場面に着目した上で、リスク管理法学として現代都市法の確立を図る。⑥都市計画マスタープランのような非拘束型計画や協議会、協定などを活用して都市マネジメントを実現する仕組みを開拓する。 本研究の成果は、2024年に大橋洋一『都市法』として有斐閣から出版し、これを契機に更に議論を深める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、都市法制における災害リスクへの対応を主要課題としている。とりわけ、都市法制と災害法制とが交錯する場面に焦点を当てた研究を進める。例えば、都市法制がこれまで数多くの開発行為を規律し、都市部で平坦地として開発するために多くの盛土がなされてきた一方で、都市周辺部では山間地や山の麓まで都市化を進めた結果として、開発地の近隣居住者が土砂災害の被害(特に盛土に起因する災害)に遭う例が全国で多発している。このように、現代では土砂災害法と都市法は密接に関わっている。 現代の災害法制では、復旧をメインとした対応から災害予防へと実務や研究の重点がシフトしており、一般的な法原則として予防主義の観点が一層重要性を増している。行政手法としては、情報提供を通じて、市民と行政機関の情報共有を進め、地域の防災能力を向上するなど、情報コミュニケーションプロセスとして都市法・災害法を把握し、発展させる必要がある。 加えて、都市法では、区域設定を前提とした各種命令などの規制手法に加え、誘導手法、情報提供手法、組織措置などを組み合わせて、多重防御の観点から、施策が展開されている。こうした事情に鑑みると、各種行為手法を広く対象とした全体像の解明が不可欠である。このほか、計画、協議会などを活用して、総合調整を図るメカニズムが都市法分野では急速に発展している。 上記のような新たな法制度や法原則の進展に照準を合わせて、本研究は、災害法学との融合により都市法学を抜本的に改革し、法律学における新領域の確立を目指す。こうした取り組みは、災害法といった分野の開拓に資するほか、都市法の抱える現代的課題への対応方策を提供し、喫緊の政策課題への対応手段を行政実務に提示する意義を併せて有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都市法研究として、都市法制全体を対象とした体系書(『都市法』)の執筆を精力的に進めてきた結果、既に原稿提出、校正作業を終え、2024年6月末には公刊の見込みとなった。近年、都市法分野における体系書は極めて少なく、絶版ないし改訂が古いものが占めている状況下で、本研究を基盤に最新の体系書が刊行されることとなる。同書は、法律学の研究者や実務家のみならず、都市工学の研究者にとっても参照価値の高い研究を提示することができるものと考える。 他方で、災害法との関連では、2021年7月に静岡県熱海市で発生した土砂災害事例を研究対象として、国土交通省都市局都市安全課にヒアリング調査を実施したほか、各地方公共団体が制定した土砂条例の分析を進め、同省の研究会に参加した。さらに、法案作成への関与として、衆議院国土交通委員会に政府参考人として参加し、「宅地造成及び特定盛土等規制法」(いわゆる盛土規制法)の法案について意見を述べる機会を有した。 併行して、災害法で初めてとなる体系的な学術書を編集企画し、出版を実現した。この企画には、編者として大橋洋一が参加して土砂災害にかかる章を担当したほか、執筆者には本研究に参加している大脇成昭、原田大樹の両教授が加わっている。 2023年度には、大橋が広島県盛土等防災対策アドバイザーに就任し、盛土規制法の施行で先進的な取り組みを進める同県において、実務上の問題への対応を同県担当者と協議した。 上記のほか、2023年度にはドイツの研究者とは定期的にオンラインで連絡を採り、海外調査を進めてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降には、第1に、規制行政の前提となる区域指定の分析に研究の重点を置く。盛土規制法の制定を受け、各都道府県で規制区域指定が進められ、中でも土砂災害対策で先進的な取り組みを続ける広島県が全国で初めて区域指定を実現したことから、その行政過程を実証分析する。大橋が広島県の防災アドバイザーに2023度から就任したことから、広島県の実務担当者とも密接なコンタクトをとり、意見交換の機会をもつ。 第2に、これまでの都市法研究の集大成として2024年6月には有斐閣から『都市法』を単著で公刊する。これは、現時点において都市法分野における代表的研究書となる。同書公刊を機会に、本研究の研究成果公表として、著書を本研究費を用いて買い上げ、全国の都市法研究者に配布して、意見交換の機会をもつ。法律学者に限定せず、工学系の都市計画研究者にも広く配布し、学際的な議論を喚起したい。 第3に、比較法研究に関しては、コンスタンツ大学法学部のハンス・クリスティアン・レール教授や、ハイデルベルク大学のシュミット・アスマン教授と密接な連絡をとり、意見交換やヒアリング調査を実施する。2024年3月に東京で実施したレール教授との意見交換を基礎に、それを発展させるべく、同教授と定期的にオンライン会議を継続し、ドイツ都市法の理解を深めたい。とくに、広域調整の仕組みについて議論を深める予定である。 研究分担者との関連では、近時、行政法のグローバル化の研究を深めている原田大樹教授と連携をとり、都市法分野に応じた比較法研究のあり方を議論し、避難法制などソフトな行政手法を分析している大脇成昭教授とは、誘導政策、ソフト対策に重点を置くほか、災害復旧についても意見交換する。また、勢一智子教授とは、都市法と環境法の交錯といった観点から、アセスメント制度のほか現代的仕組みにかかる問題点の描出に努める。
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