Project/Area Number |
23K21802
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Project/Area Number (Other) |
21H03698 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中辻 享 甲南大学, 文学部, 教授 (60431649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 玲治 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (60378825)
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)
渡辺 一生 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (30533012)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
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Keywords | 土地利用・土地被覆 / 焼畑 / 航空写真 / 米軍偵察衛星写真 / ラオス / 土地利用 / 土地被覆 / SfM/MVS / オルソ幾何補正 / 山地 / SfM / オルソ補正 / 空中写真 |
Outline of Research at the Start |
航空写真は1930年代以降、世界各地で撮影されてきた。また、米軍偵察衛星写真は冷戦期に東側諸国を中心に撮影された。その高い解像度にもかかわらず、これらの写真は研究に十分利用されてこなかった。本研究はこれらの写真を活用し、広い面積の対象地域について、土地利用・土地被覆の長期的な変化を解明する手法を開発する。ラオスおよびカンボジアの対象地域について、写真画像の解析と現地調査を併せ用い、これを行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は全世界で20世紀初頭から繰り返し撮影されてきた航空写真の活用可能性を探ること、特に、東南アジアのラオスの山地を対象に、1940年代以降の土地利用・土地被覆を解明するためにそれを活かすことを目的としている。東南アジアの航空写真の活用をはかる際、障害となってきたのは、①航空写真の入手、②オルソ幾何補正、③土地利用・土地被覆判読の各段階である。2023年度は、特に①、②に関して、大きな進展をみた。 1に関しては、ラオス国立地図局において、放置された状態になっていた航空写真のフィルムをスキャンするため、ラオスまで持ち運ぶことができるような航空写真用のスキャナーを市販のものを改造して作成した。 2に関しては、SfM/MVS(Structure from Motion/Multi-View Stereo)技術を用いて、多数の航空写真から比較的短時間で広域のオルソモザイク画像を作成できることを実証した。中辻と渡辺が中心となり、写真測量ソフトであるMetashapeを用いて、1945年(88枚)、1959年(93枚)、1982年(19枚)の航空写真から実際にオルソモザイク画像を作成した。その結果、1945年のような古い航空写真からも水平方向のRMS誤差の平均が10-20m程度のオルソモザイクが作成できることが判明した。また、古い航空写真には斜め撮影のものも多いが、そうした写真からもオルソモザイク画像が作成できることも判明した。 SfM/MVS技術を用いて、航空写真から広域オルソモザイク画像を作成する試みは決して先例がないわけではない。しかし、そうした研究の多くは日本を含めた先進国を事例としたものが多かった。本研究は東南アジアを対象としている点に大きな意義がある。例えば、ラオスの1945年当時の土地利用・土地被覆を明確に示す地理資料は航空写真以外にない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、ラオスの1940年代以降の航空写真に関して、SfM/MVS技術を用いて、どの年代の航空写真からも精度の高いオルソモザイク画像を作成できることを実証した。これは東南アジアの土地利用・土地被覆研究の時代対象を1940年代にまで遡らせるための道を開いたという意味で、重要である。 2023年度はまた、研究対象地域を広げたという点でも成果があった。これまでの対象地域であるラオス北部ルアンパバーン県シェンヌン郡だけでなく、ボケオ県フエイサイ郡やカンボジア、キリロム地域の航空写真を収集、分析した。さらに、現地にも足を運び、今後の調査のための人脈を築くことができた。 しかし、航空写真に写る土地利用・土地被覆を自動的に判別する手順に関しては、研究を進めることができなかった。この点に関しては、写真測量やオブジェクトベース画像解析の専門家を招いてシンポジウムを開き、その方策を練る必要があると考える。とはいえ、ラオスで内戦が起きる前の1940年代の広域的な集落分布を明らかにすることなど、目視判読でできる研究も少なからずある。 以上の点を鑑みて、「おおむね順調に進行している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はまず、作成した航空写真用スキャナーを持参して、ラオスおよびワシントンDCに行き、対象地域に関する過去の航空写真をスキャンする。ラオス国立地図局およびアメリカ公文書記録管理局には、ラオスやカンボジアの古い航空写真が保管されている。対象地域に関して、多時点の航空写真を十分に収集しきれていないので、これを行う必要がある。また、収集した写真画像から、SfM/MVS技術により、オルソモザイク画像を作成する。 次に、対象地域に関して、写真画像の分析と現地での聞き取り調査から、過去の土地利用・土地被覆を明らかにする。特に、ラオス北部のボケオ県に関しては1930年代後半の調査に基づく焼畑民のモノグラフが残されている。これとすでに作成した1945年のオルソモザイク画像を対照させることで、当時の暮らしと土地利用・土地被覆をより明確にとらえることができる可能性がある。ボケオ県での現地調査では、住民から1940年代の状況に関して聞き取るほか、1950年代以降の暮らしと土地利用・土地被覆の変化に関しても聞き取る。 2024年度は科研の最終年度でもあるため、研究成果の発表にも力を入れる。すでに、中辻の単著の刊行が予定されている。それ以外にも、2023年度に作成したオルソモザイク画像に写る土地利用・土地被覆に関する分析を進め、その成果を学会で発表し、論文にまとめる。また、古い航空写真の利用可能性について関心を持つ多くの識者と意見交換をするため、写真測量やオブジェクトベース画像解析の専門家を招き、シンポジウムを開催する予定である。
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