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Audio-visual poetics for the environmental pollutions: A research on the documentaries and expressions of "Kogai" films

Research Project

Project/Area Number 23K21885
Project/Area Number (Other) 22H00613 (2022-2023)
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Allocation TypeMulti-year Fund (2024)
Single-year Grants (2022-2023)
Section一般
Review Section Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
Research InstitutionFukuyama University (2023-2024)
Nagoya University (2022)

Principal Investigator

洞ヶ瀬 真人  福山大学, 人間文化学部, 准教授 (10774317)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 加島 正浩  富山高等専門学校, その他部局等, 助教 (00969149)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2024)
Budget Amount *help
¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Keywordsドキュメンタリー表象 / 映像記録 / 公害・環境問題 / エコロジー / 表象倫理 / ドキュメンタリー / 環境問題 / 公害 / 映像・表象倫理 / メディア史 / 記録 / 映像倫理 / 映像表象
Outline of Research at the Start

日本各地の公害事件に残る映像記録に着目し、記録物とその表現が、事件や犠牲者への倫理にどう役立ったのかを考察する。公害に取り組む表現者たちには、自らの主観から正しき行いを諭す方法以上に、汚染を受けた被害者や環境の映像記録を積み重ね、視る者の眼を地道に被害へ向けてゆく共通点がある。この即物的な「記録」への依拠は、人々の豊かさへの願望を自覚しつつ犠牲の苦しみにも寄り添う困難な課題に面した表現者たちにとって、自らの立場や論理をも超えて問題を描写する方途となっていたようにみえる。悪意なき人間生活が環境破壊を導く現代の問題に先駆けた公害の映像記録と表現を再考し、そこに今の環境問題にも役立つ示唆を求める。

Outline of Annual Research Achievements

研究分担者・加島正浩氏(富山高等専門学校)の協力の下、富山イタイイタイ病関連の調査を進展させることができた。イタイイタイ病資料館や公害発生源の神岡町でのフィールドワークなどを行い、イ病関連の近年のテレビ番組、現地鉱業所が制作していたPR映画などの所在や内容を確認することができた。特に、後者を公開していた資料館の展示などは、本研究にとって、公害事件に対する責任企業や鉱山業に支えられてきた人々の観点を考える上で貴重な資料となった。また、現地で今も続くイタイイタイ病研究会の活動内容や、会役員で、元北日本放送ディレクター・金澤敏子氏からの助言などから、イ病に関する当地の現況についても知見を深めた。特に金澤氏が現在とりくむ「ひとりがたり」講演(イ病被害者の代表的存在だった小松みよさんについて、当人になりかわるようにその苦しみを語り継ぐ)は、公害被害の記憶と記録をどう語りつぐかや、被害者の想いにどう寄り添うかという倫理的な問題を提起する内容で、本研究の主題に沿うものだった。2024年2月には、氏を熊本大学に招き、水俣病とイ病の二つの公害を交差させる観点で、その講演を一般公開で催した。また金澤氏や他の制作者が北日本放送に残したイ病関連ドキュメンタリーの調査なども行った。それらは明らかに、公害・環境問題を世間に伝える大きな意義を果たすものだったため、活動や映像表現の詳細について今後研究を深めてゆく。
他にも洞ヶ瀬は、これまでの研究に新しい観点をもたらすことを目的に、水俣病関連の映像作品を障害者ドキュメンタリーとして見直す研究を行った。また、NHKが1960ー70年代に制作した、公害による日本各地の漁業被害を描いた作品を精査し、海と暮らす漁民やその環境に映像表現がどう向き合っていたかについて研究を行った。加島氏は、公害記録と文学の観点で、イ病問題を扱った岩倉政治作品の研究を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、イタイイタイ病関連の研究について予定以上の進展があった。神岡町のフィールドワークや、イタイイタイ病研究会の活動などを通し、公害事件に関する現地での実情や、完全な解決には至っていないことを訴える地域活動などを知ることで、その歴史や映像などの記録物を新たな観点で調査する必要性も見えてきた。ドキュメンタリーに関しては、北日本放送以外の北陸放送局で制作された作品や、地域の活動団体が持つ関連映画などの所在が明らかになってきているため、それらの調査を継続的に進めたい。
一方で、前年度に調査目標とした四大公害以外の地域の記録に関しては、あまり調査が進まなかった。NHKアーカイブス学術利用トライアルを利用した、同局が集めた日本各地の公害問題ドキュメンタリーの調査・分析では、地域横断的な観点で、日本を囲むいくつかの海洋汚染について研究を進めることができた。しかし、資料アーカイブのある大阪・西淀川、岡山・水島などの調査が手つかずに残っている。今後は、北九州の環境ミュージアムや原発問題の映像拠点となっている仙台メディアテークなども含めて、調査区域の拡大に努めたい。
加えて、当初の予定としていた海外調査に未だとりくむことができていない。この点も明らかな研究の遅れである。イエール大学にある土本典昭資料だけでなく、アリゾナ大学に所蔵されるユージン・スミス関連資料について知見を得たため、これらの調査にも取りかかりたい。
また、前掲のNHKの調査では、1960年代のもので水俣病関連のこれまで知られていない映像記録も見つかった。この作品の詳細について目下調査を続けており、文献資料や聞き取りの調査を強化したいとも考えている。

Strategy for Future Research Activity

研究実績などで述べたように、研究計画の遅れだけでなく、調査の進展で新たに見えてきた課題も山積している。2024年度は、これに応じて以下のように研究を計画したい。
まず、新たな課題が見えてきた富山イタイイタイ病に関する調査とともに、瀬戸内海や北九州、大阪などの地域の公害記録に関する研究を今年度に持ち越し取り組みたい。これまでの調査では、北日本放送に学術調査を申し出、内部アーカイブのイタイイタイ病関連番組調査を行っている。これと同様に、公害や環境汚染の歴史を抱える地域の放送局には、そうした問題を扱った番組が局内アーカイブに残っていると思われる。上述地域の放送局にも学術調査を相談して調査対象を広げたい。
次に、未だ実施できていない海外調査を行う。水俣病のドキュメンタリストとして有名な土本典昭の資料を持つイエール大学への訪問調査に加え、水俣を写した世界的写真家ユージン・スミスの遺稿がアリゾナ大学で保管されていることが分かったため、その調査も計画に加える。
研究分担者である加島氏には、主に文学の観点からになるが、公害事件や原発などの環境問題の記録に関する研究を、特に北陸地域を中心に担ってもらう。加島氏は岩倉政治の研究を継続しつつ、新潟水俣病の記録や原発の環境問題に関する研究も計画している。
また、今年度も林(大西)緑子氏(名古屋大学)に研究協力者としての助力を仰ぐ。これまでに依頼した調査の中で、実写映像だけでなくアニメーションなどにも、公害や環境問題を扱いつつ、氏が専門とする動物倫理に深く関わる作品が多いことが見えてきた。本年度は、熊本大学文書館の映像資料なども対象に、公害・環境問題を描く映像記録のなかでの動物の扱いなどをに関する倫理研究を計画している。
調査結果について、分担者・協力者を集めた研究セミナーの開催や、学会発表、学術誌出版などを通して公表するよう努める。

Report

(2 results)
  • 2023 Annual Research Report
  • 2022 Annual Research Report
  • Research Products

    (9 results)

All 2024 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (7 results)

  • [Journal Article] 長時間ドキュメンタリーの倫理 ―犠牲に向き合う土本映画の体験とレヴィナス的時間倫理―2024

    • Author(s)
      洞ヶ瀬 真人
    • Journal Title

      福山大学人間文化学部紀要

      Volume: 24 Pages: 1-19

    • Related Report
      2023 Annual Research Report
    • Open Access
  • [Journal Article] 「汚染」された言葉との闘いー福島県の詩人若松丈太郎を通じてー2023

    • Author(s)
      加島 正浩
    • Journal Title

      日本近代文学

      Volume: 109 Pages: 135-149

    • Related Report
      2023 Annual Research Report
    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 公害ドキュメンタリーと漁民の表象2024

    • Author(s)
      洞ヶ瀬 真人
    • Organizer
      公開セミナー「ひとり・がたり―公害の記憶と記録の交差地点から」(熊本大学)
    • Related Report
      2023 Annual Research Report
  • [Presentation] 分断と忖度の外側-大牧広の「社会性俳句」の分析を通じて2024

    • Author(s)
      加島 正浩
    • Organizer
      日本近代文学会東海支部 2023年度シンポジウム
    • Related Report
      2023 Annual Research Report
  • [Presentation] 岩倉政治とイタイイタイ病2024

    • Author(s)
      加島 正浩
    • Organizer
      公開セミナー「ひとり・がたり―公害の記憶と記録の交差地点から」(熊本大学)
    • Related Report
      2023 Annual Research Report
  • [Presentation] 公害映像と動物倫理―1970年前後・日本のテレビドキュメンタリーを中心に2024

    • Author(s)
      林 緑子
    • Organizer
      公開セミナー「ひとり・がたり―公害の記憶と記録の交差地点から」(熊本大学)
    • Related Report
      2023 Annual Research Report
  • [Presentation] 障害者表象としての水俣病ドキュメンタリー2023

    • Author(s)
      洞ヶ瀬 真人
    • Organizer
      日本メディア学会2023年度春季研究発表会
    • Related Report
      2023 Annual Research Report
  • [Presentation] 長時間ドキュメンタリーの倫理―犠牲に向き合う土本映画の体験とレヴィナス的時間倫理2022

    • Author(s)
      洞ヶ瀬真人
    • Organizer
      カルチュラル・スタディーズ学会 Cultural Typhoon 2022
    • Related Report
      2022 Annual Research Report
  • [Presentation] 『ドライブ・マイ・カー』と映画の(ための)倫理2022

    • Author(s)
      洞ヶ瀬真人
    • Organizer
      名古屋大学国語国文学会 令和4年度大会シンポジウム
    • Related Report
      2022 Annual Research Report

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Published: 2022-04-19   Modified: 2024-12-25  

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