Dynamism of the Indus Civilization: Multidisciplinary research on the craft production
Project/Area Number |
23K21983
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Project/Area Number (Other) |
22H00711 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Tsurumi University (2023-2024) Kanazawa University (2022) |
Principal Investigator |
上杉 彰紀 鶴見大学, 文学部, 准教授 (20455231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 雄治 岡山大学, 文明動態学研究所, 助教 (00632796)
三木 健裕 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (30898309)
長柄 毅一 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (60443420)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | インダス文明 / 工芸品生産 / 工芸品流通 / インダス文明社会のダイナミズム / 工芸品生産・流通 / 地域間交流 / 文明社会のダイナミズム / 工芸品素材研究 / 工芸品技術研究 / 工芸品形態研究 / 工芸品形態分析 / 工芸品技術分析 / 工芸品素材原産地分析 / 考古科学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、工芸品の生産・流通体制の研究を通して、インダス文明社会(前2600-前1900年頃)のダイナミズム(文明社会の時間的変化と空間的変異、人・モノ・情報の移動が織りなす社会変動)を復元することを目的とする。方法としては、インド・パキスタンの研究機関と共同で、土器・石製装身具・印章の素材・形態・技術的分析を行い、その時空間的変化を明らかにすることで、インダス文明社会の変遷過程を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はパキスタンにおける現地調査、先インダス文明時代から文明時代にかけての土器の形態・技術的分析、INAA(機器中性子放射化分析)による同時代の土器胎土産地分析、図像の組み合わせによるインダス印章の編年研究、SEM(走査型電子顕微鏡)によるインダス印章の彫刻技術の分析を実施した。 具体的には、パキスタン、シンド州に所在するシャー・アブドゥル・ラティーフ大学考古学科所蔵のバンドー・クボー遺跡出土土器の記録化を現地において実施し、そこで得た資・試料の形態・技術分析および胎土産地分析を行った。その結果、先文明時代から文明時代にかけての移行期におけるコート・ディジー式土器からハラッパー式土器への複雑な移行過程を明らかにした。また胎土産地分析においては、シンド地方の沖積平野産の胎土とバローチスターン高原中央部産の胎土が鉱物組成上判別できることが明らかとなった。同様の胎土分析をグジャラート地方出土の試料についても実施し、先文明時代から文明時代にかけて消長したさまざまな土器様式群がそれぞれ異なる胎土を用いている可能性を確認することができた。これらの成果により、先文明時代から文明時代の土器様式群が複雑な生産・流通システムを形成しながら展開したことが明らかとなってきた。 インダス印章については、一角獣印章の印面に刻まれた図像要素の組み合わせを多重対応分析した結果、大別4つのグループに分かれることが明らかとなり、それらが時期的な変遷を示している可能性を指摘した。この時期的変遷をもとに彫刻技術を分析すると、彫刻スタイル・技術もまた大きく異なっていることを確認した。このことはこれまでよくわかっていなかったインダス印章の時間的変化の解明に大きく貢献するものである。 このように今年度の研究は、土器と印章における地域間交流とその時間的変遷を明らかにするうえで極めて大きな成果をもたらした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者・上杉彰紀の勤務先での本務の都合上、当初計画していたインド、パキスタンにおける長期の現地調査の実施は難しかったが、スペインのポンペウ・ファブラ大学、パキスタンのシャー・アブドゥル・ラティーフ大学との緊密な研究協力のもと、研究課題に関する多くの一次資料の記録化と分析を行ったことと科研費によって走査型電子顕微鏡を導入したことで、非常に大きな成果を得ることができた。研究実績の概要に記したように、シンド地方における先インダス文明時代からインダス文明時代にかけての土器の形態・技術的変遷を明らかにできたこと、INAA(機器中性子放射化分析)によって土器胎土産地の推定に有意な結果を得たことは、本研究課題の目的とする人・モノ・情報の移動からなる地域間交流と文明社会形成・発展のダイナミズムの解明に大きな成果をもたらすこととなった。 また、印章については、ウィスコンシン=ミルウォーキー大学ワウケシャ校准教授グレッグ・ジャミソンとの共同研究により、インダス印章の編年および彫刻技術の解明に大きな成果を得ることができた。このこともまた、印章というまさに地域間交流のもとで発達した器物の多角的検討を通して、インダス文明社会をかたちづくった複雑な地域間交流ネットワークの形成・発展過程の解明に向けての研究基盤を提供するものであると考えている。 本研究はインド、パキスタン、欧米諸国の研究機関・研究者との共同研究を一つの基礎としているが、2023年度はそうした共同研究が大きくかたちをなすこととなり、2024年度以降の研究の基礎を提示してくれることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降は、2023年度までの研究成果を検証し、深化させていく予定である。具体的にはインド、パキスタンでの現地調査を実施するとともに、土器、印章、石製装身具の素材・形態・技術に関する分析を推進する。 土器については、INAA(機器中性子放射化分析)による胎土産地分析の結果、シンド、バローチスターン、グジャラート各地方で胎土鉱物組成に有意な違いを確認したことから、より多くの試料の胎土分析を進めて、先インダス文明時代からインダス文明時代に消長した土器様式群の生産と流通の解明を試みる。 印章についてはインダス印章の時間的変化をより具体的に明らかにする。文明時代のインダス印章は、広域に展開したインダス文明社会の成立と展開に深く関わる器物であり、その生産と流通は文明社会の統合を担う政治集団によって高度に管理されていた可能性が高い。本研究課題によるこれまでの研究成果が提示したインダス印章の図像・彫刻技術の時間的変化は、まさにそうした文明社会の統合過程を投影したものであり、地域間交流が織りなす文明社会の成立と展開、さらにはその背景にある社会組織の解明の基礎となるものである。インド、パキスタンの研究機関・研究者との共同のもと、より多くの試料の分析を進め、文明社会の核をなす地域間交流ネットワークとその実態の解明へと繋げる。 石製装身具については、素材の産地推定研究の実施に多くの困難があるため、形態・製作(穿孔)技術の分析に注力する。研究代表者・上杉彰紀によるこれまでの研究の結果、硬質石材を用いたインダス文明時代の石製ビーズの穿孔技術には複数の系統があり、それらが先文明時代から文明時代にかけて複雑に変遷している可能性が明らかとなっている。穿孔技術の分析によって、石製ビーズの生産・流通システムを明らかにし、石製装身具としての消費のあり方の解明へと繋げる。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)