Project/Area Number |
23K25441
|
Project/Area Number (Other) |
23H00744 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
|
Research Institution | Professional Institute of International Fashion |
Principal Investigator |
田中 雅一 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 教授 (00188335)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯嶋 秀治 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (60452728)
井上 ゆかり 熊本学園大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10548564)
小田 博志 北海道大学, 文学研究院, 教授 (30333579)
菅原 祥 京都産業大学, 現代社会学部, 准教授 (80739409)
高垣 雅緒 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター, その他部局等, 研究員(移行) (70252533)
直野 章子 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10404013)
根本 雅也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (00707383)
野村 真理 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (20164741)
松嶋 健 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 准教授 (40580882)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
|
Keywords | トラウマ / 戦争 / 災害 / 記憶 / ナショナリズム / 文化的トラウマ / 集合的トラウマ / 追悼 / ダークツーリズム / メモリー / ネクロ・ゾーン / 公害 / 収容施設 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、集合的トラウマと密接に結びついた場所や施設において、いかなる活動がなされているのかを文化人類学的観点から調査し、これを比較することで、人々の苦悩の実態と解決の道筋について考察することである。集合的トラウマと結びついている場所を「トラウマ空間」と名づけ、その記録や記憶の継承に関わり、集合的・治癒的性質を有する当事者の活動をメモリーワークと呼ぶ。これに加えて、自治体や国家主導の復興事業(行政指導、開発、観光、ジェントリフィケーション、記念碑建立、専門家集団の活動など)を分析することで、トラウマ空間における対抗する様々な動きを包括的に捉える。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、集合的トラウマ体験と密接に結びついた場所(トラウマ空間)において、いかなる語りや活動がなされているのかを文化人類学的観点から調査し、これを比較分析することで、人々の苦悩の実態と解決について考察することである。民衆の集合的なトラウマの記憶と結びついている場所を「トラウマ空間」と名づけ、その記憶に関わる実践をメモリーワークと呼ぶ。当事者の語りや活動だけでなく、トラウマ空間における自治体や国家主導の政治、経済、追悼を分析することで、メモリーワークの性格や阻害要因を分析する。本研究は、5つの活動からなる。それらは、文献収集、共同研究会、国内調査、国外調査、成果の発信である。どれも問題なく進んでいるが、特筆すべきは、4回実施した共同研究会である。5月に京都でキックオフ・ミーティングを実施した後、7月-8月に北海道・札幌と白老でアイヌ関連施設の調査を兼ねた研究会を開催した。次に12月に東村山市でハンセン病についての調査を行った。さらに、3月末にはポーランド・アウシュヴィッツの国立博物館から二人のスタッフを招聘し、現代社会におけるホロコーストについての情報発信についてハイブリッドの公開研究会という形をとって協議した。招聘期間中に、広島、京都にある戦争関連の博物館を訪ね、セミナーを開催し、またスタッフとの交流を図った。加えて大阪の博物館を視察した。本研究でトラウマ空間と定義した場所は、多様であるが、それがどのように展示されているのか、という点から共通の問題意識を持つことが可能になった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は国内での共同研究と調査を行うことで、メンバー間での問題の共有を図った。 2023年7月末から8月にかけてには分担者の小田教授に、北海道大学構内のアイヌ関連の遺跡、ノーモアヒバクシャ会館などを案内していただき、白老のウポポイ(民族共生象徴空間)、国立アイヌ民族博物館では佐々木史郎館長と面談し、アイヌ研究やアイヌの人々の現状について意見交換を行い、博物館の展示については、劉高力氏に案内していただいた。 12月には東村山市にある国立ハンセン病資料館とこれに併設する療養施設・多磨全生園を視察した。研究会では以下のような発表を行った。田中雅一「ポスト内戦時代のスリランカにおけるメモリーワーク: ケアの宗教と人類学者の活動」井上ゆかり「水俣の揺れるトラウマ、そして水俣学アーカイブとしてのメモリーワーク」。 2024年3月は、ポーランド、アウシュヴィッツの国立アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館のスタッフ2名を招聘し、特別公開セミナー「現代社会におけるアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館の役割について」と題し、それぞれ「アウシュヴィッツ博物館の現代社会における役割とアーカイヴ実践」と「アウシュヴィッツにおけるガイドの役割と写真の効用」の発表があった。滞在中、広島県立平和記念資料館、立命館大国際平和ミュージアムでセミナーを実施し、大阪コリアタウン歴史資料館とピースおおさか大阪国際平和センターを視察した。以上の実績から、概ね順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍での海外調査の制限もほぼ全廃となり、2年目は、夏休みや春休みを利用して、戦跡地(ベルギー・イープル、インド・インパール)、ゲットーと強制収容所(アウシュヴィッツ他)、収容施設(イタリア・ランペドゥーザ島、オーストラリア・アリススプリングス)などを取り上げる。国内調査については、引き続き、各自これまでの研究に基づき広島や福島、水俣などで調査を行う。 共同研究会と調査については、分担者の高垣氏の案内で、福島の被災地を視察することが決まっていて、分担者の高垣と井上両氏が発表する。 2年目に入ったので、調査だけでなく研究発表に加え、個別論文の投稿も積極的に行う予定である。6月に北海道大学で開催される日本文化人類学会研究大会では、本科研のメンバーが中心になっている分科会「トラウマ空間とアーカイヴ実践」が採択された。プログラムは以下のとおりである。小田博志「脱植民地化のためのポータル サッポロの風景をよみがえらせる」根本雅也「アーカイヴをつくること、アーカイヴになること 広島原爆のアーカイヴ化と実践の力学」田原範子(四天王寺大学)「ハンセン病療養所のアーカイヴ実践: 外島保養院を忘れずに伝えようとする試みをとおして」井上ゆかり「能動的な水俣学アーカイブの構築」田中雅一「ホロコーストのアーカイヴ化とアート作品をめぐって」コメンテータ: 松嶋健/ 岩谷彩子(京都大学)。 2023年度に引き続き、外国から研究者の招聘を行い、特別公開セミナーを開催する予定である。
|