Project/Area Number |
23K25450
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Project/Area Number (Other) |
23H00753 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
村上 裕章 成城大学, 法学部, 教授 (20210015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 大樹 京都大学, 法学研究科, 教授 (90404029)
成原 慧 九州大学, 法学研究院, 准教授 (40647715)
須田 守 京都大学, 法学研究科, 准教授 (70757567)
原島 啓之 関西大学, 法学部, 准教授 (30883508)
田代 滉貴 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (60825686)
瑞慶山 広大 九州産業大学, 地域共創学部, 講師 (50865665)
川端 倖司 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (60910841)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 個人情報保護 / 規制手法 / 基礎理念 / 実効性確保 / 比較法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、個人情報保護制度について、その理念的基礎を明らかにするとともに、法的規制の実効性を確保する方策を探るため、憲法及び行政法の観点から包括的かつ領域横断的に検討し、今後の立法に対する具体的な提言を行おうとするものである。具体的には、この分野に精通した中堅・若手の優れた憲法・行政法研究者を結集し、個人情報保護制度の理念的基礎を明らかにする「理念研究班」と、個人情報保護のための実効性確保手段を検討する「手法研究班」に分け、それぞれの班で研究を行った上で、その成果を全体研究に反映することとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、個人情報保護制度について、その理念的基礎を明らかにするとともに、法的規制の実効性を確保する方策を探るため、憲法及び行政法の観点から包括的かつ領域横断的に検討し、今後の立法に対する具体的な提言を行おうとするものである。具体的には、この分野に精通した中堅・若手の優れた憲法・行政法研究者を結集し、個人情報保護制度の理念的基礎を明らかにする「理念研究班」(村上、成原、田代、瑞慶山、原島)と、個人情報保護のための実効性確保手段を検討する「手法研究班」(村上、原田、須田、田代、瑞慶山、川端)に分け、それぞれの班で研究を行った上で、その成果を全体研究に反映することとする。 初年度である本年度においては、年度当初に研究打合せを行い、研究分担者に本研究の趣旨と内容を改めて周知するとともに、今後の具体的な研究プランを定めた。その後、各研究班において頻繁に討議を行ったほか、全体研究会を2回開催した。まず、8月の研究会では、本科研のメンバーにより、アメリカ・ドイツ・フランスにおける個人情報保護制度の現状を報告し、今後の研究のための共通基盤とした。2月の研究会では、メンバーの一人が出版したばかりの条例論に関する著書の概要を報告し、外部の専門家からコメントをいただいた上で、全員で討論を行った。 また、研究会のメンバーは、後述するとおり、本科研の成果として多数の業績を公表している。そのほか、本科研独自のウェブサイト(https://kaken-personalinfo2023.jimdofree.com/)を立ち上げ、本研究の趣旨や成果について、学界及び社会に向けて、迅速かつ幅広く発信を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な成果として、以下のものを挙げることができる。 まず、研究代表者である村上裕章の「フランスの個人情報保護制度――2018年改正法を中心として」成城法学91号は、8月に実施した本科研の研究会での報告をもとに執筆した論文であり、フランスの現行制度を概観するとともに、基本理念、自主規制、監督機関など、日本にとって参考となると思われる点について、やや詳細な比較法的検討を加えている。そのほか、「宮城県公務災害補償文書提出命令事件」判例評論773号では、文書提出命令に関する裁判例を取り上げ、その意義と課題を明らかにしている。また、高橋滋ほか編『条解行政情報関連三法〔第2版〕』では、個人情報の開示請求等で問題となるインカメラ審理の検討を行っている。 上記研究会の報告をもとにした業績として、原田大樹は、「情報法学の観点から見たプライバシー権と個人情報保護法の関係」(情報ネットワーク学会報告)において、両者の関係について理論的な整理を行っている。「行政のデジタル化の必要性と課題」下水道協会誌61(736)号も、本研究と密接に関連する業績である。瑞慶山広大も、上記研究会での報告を踏まえて、年度をまたぐことになったが、山本龍彦ほか編『個人データ保護のグローバル・マップ』(弘文堂)において、アメリカのデータ保護法の総括的な検討を行っている。そのほか、成原慧は、「マイナンバー制度の合憲性と今後の課題」判例秘書ジャーナルHJI000188号において、この問題に関する最高裁の判例を検討し、プライバシー権にとって当該判決がもつ意義を論じている。川端倖司は、単著『条例の法的性質と地方自治の保障』(弘文堂)を刊行し、ドイツ法を参考にしつつ、日本における条例論にも踏み込んだ検討を行った。本書について検討した本科研の研究会においては、個人情報保護制度の法律への一元化の当否についても議論が行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、本研究はおおむね順調に進展しているが、今後は活動をいっそう充実させたいと考えている。さしあたり、第2年度である令和6年度においては、前年度の成果を踏まえ、より具体的な問題の検討に進む予定である。 まず、本年度においても、全体研究会を2回開催する。8月に予定している第1回研究会においては、外部の専門家も交えて、個人情報保護の監督機関について検討する予定である。具体的には、アメリカ・ドイツ・フランスの状況を比較法的に概観し、日本法への示唆を得ることとしたい。第2回研究会は2月頃に予定しているが、なお詳細を詰めるに至っていない。現時点での構想としては、個人情報の自動的処理について、やはり第一線の専門家を招き、比較法的検討も交えて、具体的な問題点と対応策を明らかにしてはどうかと考えている。 また、研究の第3年目となる令和7年度においては、本研究のこれまでの成果を踏まえて、公開シンポジウムを開催する予定である。具体的なテーマや登壇者等は未定であるが、第一線の研究者を招聘し、最終年度におけるとりまとめに結びつけたいと考えている。令和6年度中にはその詳細を固め、開催に向けて準備を進めることとしたい。 以上のほか、各研究班のメンバー間での意見交換を頻繁に行うとともに、得られた研究成果を学術雑誌や所属機関の紀要等において公表し、あわせて上記のウェブサイトを通して積極的に発信していくこととしたい。
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