Project/Area Number |
23K26237
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Project/Area Number (Other) |
23H01543 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22060:Environmental systems for civil engineering-related
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山村 寛 中央大学, 理工学部, 教授 (40515334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 貴之 中央大学, 理工学部, 助教 (30963574)
中屋 佑紀 北海道大学, 工学研究院, 助教 (60868735)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
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Keywords | 膜ろ過 / 自律制御 / 励起蛍光スペクトル / SFP-EEM / 浄水処理 / 励起蛍光スペクトル分析 / In-situ分析 / 固体蛍光分析 / 膜ファウリング / 浄水膜 / 蛍光センサー |
Outline of Research at the Start |
3波長に限定した小型・励起光を高感度の固体励起蛍光分析装置を試作し,得られた蛍光スペクトルを使用したクエンチング補正手法,および3種類の制御モデルを組み込んだ自律型運転制御システムを開発する。開発した自律制御システムの効果を,実浄水場や山間集落の小規模水道施設において,パイロット試験により検証・実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
膜ファウリングの制御には,膜面に蓄積した成分の質・量に関する情報を得た上で,その情報に基づいたろ過条件や薬品洗浄条件の最適化が必要となる。本申請課題では,膜面に蓄積したファウリング成分の”質”および”量”を現場で(In-situ)かつ連続的に(On-line)推定しうる「固体-3次元励起蛍光スペクトル(SPF-EEM)」で測定した膜表面のスペクトル情報を元に,人の判断を介さずに物理洗浄や薬品洗浄などの運転条件を最適化しうる,自律制御型浄水膜ろ過システムを開発する。 3波長に限定した小型・励起光を高感度の固体励起蛍光分析装置を試作し,得られた蛍光スペクトルを使用したクエンチング補正手法,および3種類の制御モデルを組み込んだ自律型運転制御システムを開発する。開発した自律制御システムの効果を,実浄水場や山間集落の小規模水道施設において,パイロット試験により検証・実証する。 本研究課題では,小規模水道施設でも導入可能な,小型・高感度の固体励起蛍光分析装置を開発し,膜面の観察結果に応じて物理・化学洗浄の条件を判断する自律型の膜ろ過運転システムの確立を目指す。また,実浄水場や国内の山間集落において,自律型膜ろ過運転システムの実証試験を実施し,エネルギー消費量、薬品消費量から,開発したシステムの効果を検証する。具体的には,以下の4課題に取り組む。 ①ファウリングの観察に特化した3波長の励起光レーザーと,高感度分光用冷却CCD検出器を搭載した小型高感度の蛍光分光光度計の試作、②蛍光レイリー散乱強度から拡散反射率を推定する手法を確立、③SPF-EEM測定結果を元にした膜ろ過制御システムを構築、④実証試験によるシステム導入効果の検証
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30分間隔で洗浄を行なう場合で最もTMPの増加が抑制された一方,全膜ファウリング進行度に占める不可逆的膜ファウリング進行度の割合は,30 分間隔での洗浄時は78.9%であるのに対し,膜表面のSPFEEMに基づいて洗浄開始タイミングを制御し,閾値を20 a.uに設定した場合では63.3%,閾値40 a.uでは65.6%になった.これは,洗浄間隔の制御を行ったことで薬品洗浄効率が向上し,特に不可逆的膜ファウリングの進行抑制に有効だったことを示す.また,NaClOを30分間隔で行う場合と比べ,閾値を20 a.uに設定して洗浄を制御した場合では,水回収率が27.1%上昇し,CT 値は27.6%低減させることが可能だった.これは,ろ過運転中の洗浄回数を減らすことができたためである. 30 分間隔の洗浄を行う条件では,22 時間の運転中に,計40 回の洗浄を行なったのに対し,洗浄制御(閾値20 a.u)条件下では,ろ過運転開始初期に頻繁に洗浄を行い,初期吸着を抑制したことで,徐々に洗浄頻度が減少し,結果として29 回まで洗浄回数を抑えることができた.一方,閾値を40 a.uに設定した場合は,ろ過経過時間が長くなるにつれ洗浄の頻度が高くなり,計50 回の洗浄を行った.これは,ろ過運転初期のタンパク質吸着の残留が,ろ過運転中期以降のファウリングの成長を助長し,低濃度NaClOによる洗浄では除去することができない,高密度なファウリングの形成につながったためと考える. これより,不可逆的膜ファウリングを示す蛍光ピークを閾値以下に保つように洗浄タイミングを決定し,初期吸着が発生してすぐに洗浄を開始することで,水回収率を向上させながら薬品使用量を削減する,効率的な運転を実現可能であることが示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
試作機を取り付けた小型パイロット規模(最大 5.0 m3/日)の膜ろ過装置を使用して,自律型膜ろ過運転システムの実証試験を実施する。比較的汚染レベルが低い河川から取水する埼玉県吉見浄水場(荒川流域),および比較的汚染レベルの高い湖沼から取水する広島県安芸高田市坂上浄水場(佐山川流域)を選定する。吉見浄水場を管理する埼玉県企業局と10年前から共同研究を実施しており,場内に設置した4系列パイロット膜ろ過装置をいつでも使用できる状況にある。また,坂上浄水場は山間部の小規模水道施設であり,クリプトスポリジウム対策として,膜ろ過施設の導入を検討段階にある。安芸高田市での実証試験は,必要に応じて(株)アクアサポーターズ 辻谷氏に協力を要請することで, 安芸高田市上下水道局職員と連携しながら研究を進める。 従来型の制御方法である,30分ろ過毎に逆洗30秒とエアースクラビング60秒を繰り返すシーケンスを対照系として,モデル1から3を組み込んだ新シーケンスを,4系列パイロット膜ろ過装置を用いて同時に運転することで,各モデルの導入効果を検証する。なお,パイロット試験にあたって,ミラーを追加することで,1台の小型蛍光分光機で3台の膜のSPF-EEMを測定できるように分析装置を改造する予定である。パイロット運転中,膜間差圧の変化に加えて,系列毎の水回収率(膜供給水量-逆洗排水量),薬品使用量,予測膜寿命,連続運転継続時間をモニタリングする。自律運転を想定した,運転の安定性,薬品補給頻度の低減,膜交換頻度の低減に関して,新システム導入効果を検証する。
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