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外地経験者による〈聞き書き〉の方法に関する研究──上野英信と森崎和江を中心に

Research Project

Project/Area Number 23KJ0225
Research Category

Grant-in-Aid for JSPS Fellows

Allocation TypeMulti-year Fund
Section国内
Review Section Basic Section 02010:Japanese literature-related
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

奥村 華子  山形大学, 人文社会科学部, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Keywords聞き書き / 外地 / 文化運動 / 森崎和江 / 上野英信 / 井手川泰子
Outline of Research at the Start

本研究は、上野英信、森崎和江、大牟羅良や石井出かず子などを中心に、その〈聞き書き〉の特徴を明らかにすることを企図する。戦前・戦中を、旧満州国や朝鮮等で過ごした「外地経験者」らには、戦後に農民や炭鉱労働者、在日朝鮮人らの語りを〈聞き書き〉という形で記録した者たちがいた。東北や九州、広島などの地方文化運動の中で生じた、1950-80年代における彼ら・彼女らの〈聞き書き〉と、相互交流の検討から、方法や問題意識における相関性を分析し、出発、交流、発展の三期に分けて考察することで、「外地経験者」による〈聞き書き〉の方法と表現を総合的に位置付ける。

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、戦前・戦中を旧満州国や朝鮮等で過ごした「外地経験者」らが、九州、東北、広島等の戦後の地方文化運動において行った〈聞き書き〉について、三つの時期区分において比較検討し、その特徴と戦後日本の社会状況における位置付けを明らかにすることである。2023年度はその第一段階として、主に森崎和江や上野英信、井手川泰子を中心に、九州の「サークル村」や「筑豊文庫」といったサークル運動の拠点において1950-60 年代に生じた〈聞き書き〉について調査や分析を行なった。
福岡県での調査活動は二回に分けて行い、北九州市立文学館、福岡女子大学、福岡市総合図書館、直方市市立図書館等で主に森崎和江、上野英信に関連する資料を閲覧した。自筆原稿や聞き書きの際の取材ノート、メモ、蔵書の書き込みなど等の資料から、聞き書きが成立するまでの改訂過程や東北の文化運動への関心の一端を明らかにすることができた。また、上野英信の息子である上野朱氏との面会が叶い、森崎が生前所蔵し書き込みや修正を施した自作を数点と、上野の聞き書きに関する非公開資料を譲っていただくことができた。森崎、上野に関する資料は近年文学館等に寄贈されたもので、リスト化や整理は未だ途中であり、大部が公開されていない。特に本年は、直方市市立図書館に併設されている「筑豊文庫」資料のうち、現在整理中で公開されていない資料の閲覧が叶わなかったため、来年度以降も、上記資料館での調査は継続して行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2023年度は研究課題の第一年にあたり、資料調査等を計画の主軸としていた。研究実績の概要で述べたように、森崎和江や上野英信を中心とした資料調査において進展があり、次年度の計画を達成していくうえでの基盤を整備することができたと考えている。また、本年に二つの成果報告を行ったことも、評価の理由として挙げられる。
第一の成果報告は北九州文化運動研究会で行ったものである。森崎や井手川が関わった、炭鉱や農村の女性の文化運動の特徴を知る上で、1950-70年代に刊行された、八幡製鉄所女性職員による『青いリボン』、広く九州の女性が参加した『婦人九州』におけるサークル活動を分析した。両誌とも炭鉱や農村女性への取材記事、当事者の投稿が掲載されるが、労働や家庭状況の特殊性は前景化されず、職業婦人の周縁に位置付ける手つきが目立ち、森崎や井手川の論調との差異が明らかになった。
また、第二の成果報告は、山形大学での受入後に、東北の研究者の方々と発足した20世紀開拓文化運動研究会で行った。「外地経験者」という枠組を検討する上で、戦前に女性満洲開拓移民らがどのような言説の中で外地へと渡ったのか、『拓け満蒙』という雑誌を対象に分析した。今後も同研究会での活動は継続する予定であり、「開拓」との関連から人々の外地での経験についての知見をより深めていけるよう努める所存である。
新型コロナウイルス感染症の影響による特例措置を受けたため年度途中に採用が開始し、本年度の研究活動も半年間の成果であることを踏まえると、上記の研究実施状況は、おおむね予定通りに進展しているものと考える。

Strategy for Future Research Activity

2023年度は研究課題の基盤整理を目的とし、1950-60 年代に九州地方で生じた文化運動や〈聞き書き〉に関わる資料調査等を計画の主軸としていた。次年度以降は、戦後の文化運動において、外地経験者による民衆の〈聞き書き〉を位置付けるため、生活記録運動と民話運動との差異を検証しつつ、特に〈聞き書き〉における「方言」表現の特徴を検討したいと考える。そのうえで、「外地経験者」による〈聞き書き〉の特徴と差異を検討し、論究することを予定している。そのためには、その背景にあると考えられる、九州や東北等の地方同士の思想的交流を検証することも必要となるだろう。具体的には、第一に2024年度は大牟羅良や石井出かず子を中心に、東北や広島での資料調査を行い、また第二に2023年度に調査した森崎和江や上野英信の活動との比較検討を行っていく予定である。これによって、地方文化運動と関わりあいながら生起した、「外地経験者」による〈聞き書き〉の布置を描き、また地方文化運動における「外地経験者」の位置付けを探ることが可能になると考える。そのうえで、森崎和江と上野英信を中心としながら、井上光晴が主宰した『辺境』誌面における〈聞き書き〉の検討を行っていく予定である。
また、2023年度は研究計画と直接に関わる研究報告が十分であったとはいえない。そのため、研究報告に関する方針としては、次年度以降はこれまでの調査や研究を、具体的な成果報告へと繋げていくことを目標としたい。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 『青いリボン』にみる女性と製鉄──『婦人九州』との比較を中心に2023

    • Author(s)
      奥村華子
    • Organizer
      北九州文化運動研究会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 『拓け満蒙』にみる「大陸の花嫁」たち2023

    • Author(s)
      奥村華子
    • Organizer
      20世紀開拓文化運動研究会、
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2023-04-26   Modified: 2024-12-25  

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