Project/Area Number |
23KJ0977
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
橘 樹 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 新規株式公開 / コーポレートガバナンス / 人的・社会関係資本 / 経営者能力 |
Outline of Research at the Start |
本研究は経営者の「能力」と「意図」という概念を公開情報を用いて定量化することで、新興企業の上場後の業績低迷が生じる因果メカニズムの解明を目指すものである。具体的には、(1)役員経歴情報を用いて経営者が有する「能力」を人的・社会関係資本の観点で測定し、(2)調達資金使途情報を用いて新規株式公開を実施する経営者の「意図」を測定し、最後に(3)経営者の能力と意図が上場後の業績に与える影響を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
IPO後に上場企業の業績が低迷するアンダーパフォーマンスという現象が、株式市場全体で見られ、日本においても観察されている。本研究の目的は、この業績低迷メカニズムをIPO企業の経営者(能力や意図)に着目して明らかにすることである。 2023年度の研究実施状況は以下のとおりである。第一に、実証分析で用いるIPO企業の経営者の経歴・意図、企業の基本特性・株主構成・財務等に関するデータの収集作業を行った。これらのデータの加工作業を行い個別指標について定量化した後に、データの紐づけ作業を行った。この結果、1999年から2019年までに各証券取引所の新興企業向け株式市場に新規上場した企業のデータセット構築に至った。 第二に、IPO企業の経営チームの能力(人的・社会関係資本)に関する実証研究では、経営者交代に注目し、その企業成果に対する影響を調査した。文献調査および実証分析を通じて、経営チーム成員の退出は、人的・社会関係資本の流出や構成員間の社会的関係基盤の弱体化という因果経路を通じて、IPO企業の業績悪化を促すことを明らかにした。この調査に基づく結果は、国内学会(組織学会、アントレプレナーシップ・コンファレンス)および国際学会(AOM)や国際査読誌(AMJ)主催のPDWにて報告を行っており、2023年6月の組織学会では『研究発表大会優秀報告者』として選出された。 第三に、IPO企業の経営者の意図に関する実証研究では、IPO時点の経営者の計画(意図)が企業行動に及ぼす影響を調査した。実証分析の結果、IPO企業はIPO前の計画通りにIPO後に投資資金を配分しているが、ガバナンス構造がその計画と企業行動の関係性に影響を及ぼすことを明らかにした。この調査に基づく結果も、国際学会(BAM)にて報告しており、BAM2023のproceedingsへの掲載に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
元々計画に含めていた研究課題遂行に必要なデータセットの構築を行いながら、複数の定量実証分析を進展させた。それぞれの暫定的な実証結果を国内外の学会で既に報告した点を踏まえれば、計画通りに研究を進めることができていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度では、研究成果の公表を目指し学術査読誌掲載に向けた執筆作業に重点的に取り組む。具体的には、経営者能力に関する研究は、内生性(逆因果)の実証的問題の対処、および仮説構築での理論的一貫性の確保に力点を置く。経営者意図に関する研究は、追加的な文献レビュー調査を通じて使用すべき理論的視座を同定することで、暫定的に導出されている実証的結果を理論的に補完することを目指す。これらの過程で進展した研究成果は、海外学会などで幅広い研究者と議論を深めながら、その後国際査読誌に投稿する予定である。
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