Project/Area Number |
23KJ1068
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 13040:Biophysics, chemical physics and soft matter physics-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 裕太 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | アクティブマター / 密度揺らぎ / 結晶秩序 |
Outline of Research at the Start |
バクテリアの集団や細胞集団のように,自ら動き回る要素の多体系はアクティブマターと総称され,近年活発に議論されている非平衡系の一つである.アクティブマターのような非平衡系は,長波長の揺らぎが発達するなどの,平衡系には存在しない顕著な性質を有している.このような特徴的な非平衡系における揺らぎは,系内に置かれた二物体間に長距離相互作用を及ぼしうる可能性があるが,その理解はまだ十分ではない. 本研究では,単純な粒子モデルを起点に,アクティブマターにおける長波長の特徴的な揺らぎ,およびその揺らぎが誘起する力に関する理論的解析,および数値計算による実証を目指す.
|
Outline of Annual Research Achievements |
アクティブマターにおける密度揺らぎに関連する,以下三つの研究を行った.(1) カイラルアクティブマターと呼ばれる,構成要素の運動が鏡映対称性を破った系における密度揺らぎを,理論的に解析した,二次元系におけるカイラルアクティブマターの一様な流体状態で有効な,揺らぐ流体方程式を構築することで,従来,実験,数値シミュレーションでのみ確認されていたhyperuniformityと呼ばれる密度揺らぎの抑制現象のメカニズムを,理論的に説明することに成功した.この理論は,数値シミュレーションのパラメータ依存性の一部を説明できるが,定量的な一致は完全ではなく,さらなる研究が要求される.(2)高密度な二次元カイラルアクティブマターの結晶化の研究を,数値的,理論的に行った.結果として,結晶状態では,密度揺らぎの抑制メカニズムが,変位場にも働き,二次元であっても長距離並進秩序が保たれることを示した.この結果は,二次元平衡系における結晶が長距離並進秩序を示さないことと対照的である.また,カイラルアクティブ結晶に対する線形弾性理論を構築し,定量的にもシミュレーションの結果を説明することに成功した.(3)三次元系におけるカイラルアクティブ流体の密度揺らぎの解析も行った.数値シミュレーション,理論解析から,三次元系では系の異方性を反映して,密度相関関数に特異性が生じることを示した.数値シミュレーションと理論の結果は定性的に一致している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた非線形解析は完遂できなかった.しかし,線形解析のレベルであってもhyperuniformityや,結晶状態における長距離並進秩序の等の非自明な現象の記述が可能であるなどの知見が得られた.特に,二次元系における長距離並進秩序の観測,理論的記述は,計画当初は予期してなかった結果である.以上を総合して,おおむね順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き,アクティブマターにおける異常な密度揺らぎの性質,および異常揺らぎが物性に及ぼす影響を解析する.特に,非線形項を考慮した定量的な記述や,アクティブ流体中の異常揺らぎが誘起する力の性質を模索したい.
|