Project/Area Number |
23KJ1260
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
皆木 香渚子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 生業戦略 / 土地利用 / 小農 / 環境持続性 / 気候変動 / エビ養殖 / メコンデルタ / ベトナム |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ベトナム・メコンデルタ沿岸省の小規模エビ養殖者が、国際市場への脆弱性や気候変動といったリスクのなかで、自身の生活環境の保全と生計維持を両立させるための生業戦略の構築過程にせまる。特に、世帯ごとの地理的条件、農村開発政策の変遷、副業や世帯内分業を含む生計維持手段の変遷、新たな生計維持手段の判断材料となる、対面型とオンライン両方のインフォーマルな情報交換ネットワークの動態に着目する。臨地調査では、地理的条件の異なる3つの地域に滞在し、参与観察と聞き取り調査を実施する。予測不可能な環境的経済的リスクへの彼らの対応を記述することは、他地域にも応用できる持続的な地域生活を検討する基盤となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境負荷の高いエビ養殖を営むメコンデルタの小農に着目し、グローバル化、気候変動という、社会と自然環境の急激な変容の中で、彼らがデジタル技術を用いて収益性と環境持続性のバランスをどのように調整しながら、長期の安定した生活を確保しているのかを明らかにする。具体的には、まず小農の土地利用や家計状況に注目して生業戦略の実態を把握する(課題Ⅰ)。さらに、SNS上の情報交換ネットワーク(課題Ⅱ)と、アナログなネットワークが生業戦略に影響を与えるプロセス(課題Ⅲ)に着目する。 2023年度はメコンデルタ沿岸各省で現地調査を実施し、キエンザン省アンビーン県を調査地として選定した。キエンザン省農業技術普及センター、アンビーン県農業農村開発局と58世帯の農家への訪問面接型聞き取り調査、参与観察、土地利用観察を実施した。 同県は、メコンデルタの最低標高地域に位置し、最も顕著に気候変動の影響を受ける。2016年以降、塩分浸潤が加速し、水稲二期作から養殖と水稲一期作のローテーションシステムへの転換が進み、現在はほぼ全域に普及していることが分かった。同システムは、気候変動に伴う塩分浸潤にも対応可能で、環境持続性が高いとされる。土地利用や生業体系を、環境持続的かつ収益の見込まれる新たな方法へと転換する実態を明らかにした本知見は課題Ⅰに該当する。課題ⅡのSNS上の情報交換ネットワークについては、農業技術研修等の行事を周知する役割を果たしていた。また、農家は日常的でアナログな情報交換を通して、生業戦略の判断材料を得ていることが分かった。これは課題Ⅲに該当する。 メコンデルタでは、塩分浸潤の影響を受ける地域が内陸側に拡大しており、その影響は今後より広範囲に到達すると予想される。したがって本研究の知見は、気候変動の影響を免れ得ない人―自然関係の動態を検討する上で、未来予測のための基盤となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は調査地をカマウ省チャンバントイ県としていたが、調査許可の取得が困難だったため、調査地の変更を余儀なくされ、キエンザン省アンビーンを新たな調査地として選定した。度重なる調査許可手続きのやり直しのため、本調査に入るまでに、渡航開始から8か月を要した。 しかし、キエンザン省アンビーンでの現地調査や資料収集を通して、研究計画で設定した各小課題に対しての成果を得ることができた。また、2023年度はフィールド調査と並行してエビ養殖者のSNS上の情報交換ネットワークの構造と役割に関する投稿論文の修正にも注力することができた。これは課題Ⅱに該当し、現地調査から分かったオンラインネットワークの役割を考慮しながら、博士論文に含める予定である。 これらのことから、今年度はおおむね順調に進展したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、1年間での滞在を経てキエンザン省アンビーン県の地域住民と良好な関係を築くことができた。そのため、2024年度は、昨年度の現地調査から得られた成果をもとに、6月~9月に4か月間の追加調査を実施予定である。昨年度の調査はスノーボールサンプリングにより、中規模以上の土地を所有する層に母集団が偏っていた。そのため、追加調査では、小規模土地保有層や土地なし層を対象に、生業体系や土地利用の変遷についての質問票調査、インタビュー調査、参与観察を実施し、塩分浸潤に対応するためにどのような生業戦略をとってきたのかを明らかにする必要がある。
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