Project/Area Number |
23KJ1386
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 43010:Molecular biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂田 凌大 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | コヒーシン / コヒーシン病 / 癌 / クロマチン高次構造 / 姉妹染色分体間接着 |
Outline of Research at the Start |
姉妹染色分体間接着やゲノム高次構造形成に必須な因子として、コヒーシンが知られている。コヒーシンの変異は、白血病などの癌で多く確認されており、四肢形成異常などの重篤な症状を伴う遺伝性疾患の原因となる。一方で、接着に必要なDNAとのトポロジカルな結合や、ゲノム高次構造形成に重要であると考えられているDNAループ形成といったコヒーシンの分子機能的側面と、疾患の発病・進行のメカニズムを直接的に結びつける研究は乏しい。本研究では、一分子レベルの観察を中心としたin vitro実験、及びゲノム高次構造解析を中心としたin vivo実験による多角的な解析から、疾患におけるコヒーシン分子機能の理解を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
高等真核生物において、コヒーシンサブユニットであるSTAGは、STAG1とSTAG2の2種類のアイソフォームが存在している。STAG2はSTAG1に比べ白血病やユーイング肉腫といった疾患で変異頻度が高いことが知られているが、コヒーシン分子機能におけるSTAG1/2の差違は明らかになっていない。これまで研究から、試験管内再構成系と一分子観察系を用いてコヒーシンの代表的な分子機能であるDNAとのトポロジカルな結合とDNAループ形成に関してSTAG1/2コヒーシンの機能を比較解析し、STAG1のDNAループ形成活性がSTAG2と比較して顕著に高いことを明らかにした。また、両者で配列相同性の低いN末端領域に着目した解析から、STAG1のみに存在する、AT-hookとよばれるDNA結合配列が効率的なDNAループ形成に必須であることを明らかにした。さらに、このAT-hookをSTAG2N末端領域へ挿入したSTAG2では、DNAループ押出し活性がSTAG2野生型を持つコヒーシンと比較して有意に増加することが確かめられた。一方で、トポロジカルな結合においてはSTAG1/2で差は見られず、AT-hookがDNAループ押出し依存的に寄与していることが示された。実際に、in vivoにおいて、STAG1およびSTAG2単体での分解では姉妹染色分体間接着に影響は見られなかった。この結果および先行研究からSTAG1/2が重複した機能を有しており、それぞれのみの分解では明確な表現型を得られない可能性を考慮し、オーキシンデグロン法およびdTAGによる標的タンパク質分解法を用いたSTAG1/2のダブルデグロン細胞株をCRISPR-Cas9法により作製した。STAG変異体の細胞機能に対する影響を詳細に検証するため、現在この細胞に対して外来的にSTAG変異体を発現させる細胞株の作製に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの解析においては研究開始時に明らかにしていたSTAG1コヒーシンと比較してSTAG2コヒーシンの持つDNAループ押出し活性が低いという結果に加え、STAG1のN末端領域に存在しているDNA結合領域「AT-hook」が効率的なDNAループ形成に必要であることを明らかした。同様の系を用いて、STAG2変異体に関しても検証中である。in vivo解析に関しては、当初の計画では、CRISPR-Cas9法によりSTAG2疾患関連変異を導入する予定であったが目的の細胞を得ることが出来なかった、一方で代替的に進めていたSTAG1/2ダブルデグロン細胞株の作製は既に完了しており、さらに、内在性コヒーシンサブユニットの分解およびTet-onシステムを用いた変異サブユニットの外来的な発現が可能な細胞系の確立には成功している。現在同様の系を用いたSTAG変異体の安定発現細胞の樹立に取り組んでおり、今年度中には樹立した細胞を用いて、内在性STAG1/2分解時における外来性STAG変異体の影響に関して、RNA-seqやHi-C解析を中心とした網羅的な解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitro解析に関しては、一分子観察系および試験管内再構成系を用いてSTAG2変異体のDNAループ形成能およびDNAとのトポロジカル結合活性に関して検証を行う。また、STAG1/2の差違に関しても、より時間解像度を高めた一分子観察実験を行うことで、DNAループ形成頻度のみではなく、DNAループ形成速度など詳細な活性の違いに関してさらなる検証を行う。 in vivo実験に関しては、既に確立しているSTAG1/2ダブルデグロン細胞株をペアレンタル細胞とし、Tet-onシステムを用いることで外来的にSTAG1AT-hook変異体およびSTAG2疾患変異体を発現する細胞株の樹立に現在取り組んでいる。細胞株樹立後は、Micro-Cによるクロマチン高次構造解析やRNA-seqによる遺伝子発現解析、ChIP-seqを用いたコヒーシン結合部位の解析などを行い、in vitroの結果と結びつけることでSTAGの機能および疾患の発病・進行のメカニズムに関して総合的に評価する。
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