Project/Area Number |
23KJ1514
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石川 萌子 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2025: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 粘り強さ / グリット / 就学前児 / 実行機能 / 乳幼児 / やり抜く力 / 非認知能力 |
Outline of Research at the Start |
たとえ困難であっても、目標を達成するためにやり続ける力である「粘り強さ」は、あらゆる分野での成功を予測するため重要な非認知能力の1つである。しかし、その発達に関しては明らかになっていないことも多い。本研究では、乳児・幼児両方を対象とし、多角的な方法論を用いて発達早期の粘り強さについて包括的に検討する。粘り強さを高める介入研究だけでなく、粘り強さと実行機能との神経科学的な関連を探るなど、子どもの粘り強さについてあらゆる角度から実験的研究を行う。これらの研究を行うことで、子どもの健やかな発達につながる新しい知見を提供することができるようになるだろう。
|
Outline of Annual Research Achievements |
予定していた「戦略の使用とペダゴジカルな質問が就学前児の粘り強さに与える影響」を異なる教示を用いて調べる研究に加え、戦略を実験者が実演することの効果を調べる研究(対象;54名の就学前児)を実施した。これらの研究において、子どもの粘り強さは、開かない木箱を開けようと課題に取り組んだ時間と定義した。教示を用いた実験方法では、子どもを1つの遊び方に固執させることはできたが、複数の戦略を実際に使うことを促進できなかったため、後者の実験を追加した。この実験では、子どもに開けることができない木箱を渡す前に、実験者が木箱の遊び方(箱を振る、引っ張る、机の上で回す、の計3種類)を複数見せた場合と、1種類のみ(3種類のうちどれか1つ)を見せた場合で子どもの粘り強さが変化するかを調べた。以上の実験データは既にコーディング(課題中に子どもがどのような戦略を使っていたのか、課題と関係ない行動をしていなかったか、等を確認した)、分析ともに実施済みである。また、これらの研究成果は複数の国内・国際学会等で報告している。 さらに、本研究の土台となる就学前児の粘り強さと実行機能の関連を調べた論文の出版だけでなく、一連の実験で得られた知見やこれまでに行ってきた粘り強さの研究の成果を踏まえたレビュー論文の出版が完了した。両論文の投稿にあたり、乳幼児の粘り強さの発達について深い議論を重ねることができたため、今後の研究の質も向上すると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
戦略の使用やペダゴジカルな質問が就学前児の粘り強さに与える影響を調べる一連の研究は全てコーディング・分析ともに完了している。特に課題中の子どもの行動のコーディングは課題への取り組みの有無だけでなく、子どもがとった戦略まで詳しく確認する必要があるため時間を要するものであったが、2023年度中に全てのデータについてコーディングを終えることができた。また、複数の実験結果から、子どもの粘り強さを高めるために必要な要素についての結果も得られつつある。仮説通りの結果が得られたわけではないため、本研究の結果が頑強であるかを確認する実験を実施する必要はあるが、2024年度に実験を開始する準備ができている。加えて、追加実験・コーディング・分析が終わり次第、論文化に取り掛かかることができるように、セカンドコーダーへのコーディングの依頼や、共著者とのミーティング、執筆も進めている。 2023年度には国内・国際学会において本研究について発表し、複数の研究者と議論することができた。さらに、就学前児の粘り強さに関する2本の論文の出版も完了することができた。どちらの経験においても、就学前児の粘り強さについて再考したり、本研究につながる様々な意見を得たりと、とても貴重な機会となった。したがって、本研究の論文化の際はより深い議論ができると期待される。 以上から,おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は①戦略の使用とペダゴジカルな質問が就学前児の粘り強さに与える影響を調べる研究の追加実験の実施、②追加実験データのコーディング・分析・論文化、③就学前児の粘り強さと実行機能との関連についての神経科学的な関連を調査する研究、④乳児の粘り強さを調査するための土台作り、を進めていく。同時に、得られた結果は国内学会だけでなく、国際学会においても発表できるよう精力的に取り組む。また、乳幼児の粘り強さについて情報収集を行うために、積極的に研究会や学会に参加するように心がける。 ①に関しては、具体的な研究計画が既にあるため、調査施設とのスケジュールの調整が出来次第実施する予定である。追加実験が完了次第②に取り掛かる。コーディング・分析には時間を要することが想定されるが、2023年度中に論文を投稿することを目指す。③については、これまでに行ったことのない実験手法を用いるため、慎重に実施する必要がある。したがって、より綿密な実験計画を立案し、予備調査を進める予定である。④の乳児を対象とした粘り強さ研究は少なく、明らかになっていないことが多い。そのため、まずは幼児や保護者を対象とした予備調査(質問紙調査等を含む)を行うことで乳児の粘り強さの特徴を明らかにできるように、準備を進めていく。
|