Project/Area Number |
23KJ1794
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大崎 晴菜 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 植物間相互作用 / 動物植物相互作用 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、種間競争に囚われない多種共存機構として植物―植食者系に焦点を当て、以下の2つの仮説を立てた。①植物の群集構造はスペシャリスト植食者の宿主特異的な化学的選好性を進化させる。②宿主特異的な化学物質の変動がスペシャリスト植食者の集中分布を促し、空いた宿主を利用するジェネラリスト植食者との共存を可能にする。これらの仮説を理論と実証の両面から検証し、非競争型の多種共存モデルの概念の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
多種共存機構の解明は群集生態学における最も中心的な課題のひとつである。同所的に存在する2種が競争関係にある場合、競争を避けるような形質置換を介してニッチ分割が生じ、多種が共存できると考えられてきた。しかし、競争に伴う形質置換が共存に貢献したことを実証できた例は思いのほか少なく、種間競争にとらわれない多種共存の解釈が求められている。 本研究では植物―植食者系を対象とし、以下の2つの仮説を提案する。①植物の群集構造がスペシャリスト植食者の宿主特異的な化学物質に対する強い選好性が進化させる。②宿主特異的な化学物質の可塑的な変動はスペシャリスト植食者の集中的な空間分布を促進させ、空いた宿主を利用するジェネラリスト植食者との共存を可能にさせる。これらの仮説を食性幅の異なる2種のハムシ(コガタルリハムシとイチゴハムシ)を用いて、理論と実証の両面から検証し、非競争型の多種共存モデルの概念の確立を目指す。 初年度となる本年は、植物の群集構造がスペシャリスト植食者の嗜好性の強さの進化に与える影響を明らかにするため、進化シミュレーションを構築した。植物群集は、宿主と非宿主植物で構成され、植物間相互作用に応じて化学的形質が変化するものとした。ハムシは資源を選択し、資源競争を経て繁殖する。これらの条件のもと、ハムシの化学物質に対する選好性の進化と空間分布を追跡した。スペシャリスト植食者の化学的選好性が常に正に進化することが確認され、その結果、植食者の空間分布が凝集的になることが明らかになった。これらの結果を野外で確かめるため、植食者の飼育、植物の栽培、メソコスムの構築を実施し、来年度の実験開始に向けた準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、数理モデルによる理論的解析は計画的に進められ、当初の期待以上の成果を得ることができた。具体的には、植物が構築する化学的不均一性な環境が、植食者の化学的選好性の進化的帰結、ひいては、植食者の空間分布や個体群密度などの生態学的帰結にも影響を与えていることがわかり、仮説①を支持する結果が得られた。一連の成果は、国内の学会で発表したほか、国際論文としてまとめており、現在投稿中である。 現在、これらの理論研究の結果をもとに、実証研究として屋外の大規模な実験を計画している。既に準備が進んでおり、次年度春からの実施に向け、使用する植物の栽培、植食者個体群のサンプリング、実験用装置の構築が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究としては、仮説②「宿主特異的な化学物質の可塑的な変動はスペシャリスト植食者の集中的な空間分布を促進させ、空いた宿主を利用するジェネラリスト植食者との共存を可能にさせる」の検証を行う。今年度構築したモデルに、ジェネラリスト植食者を追加し、2種の植食者モデルを構築する。2種の植食者間では利用可能な餌資源に違いがあるものとし、2種の共存条件を導出する。 実証研究としては、今年度理論研究によって明らかになった、スペシャリスト植食者の進化と空間分布の動態について調査する。今年度準備した飼育室、および、栽培中の植物と、系統維持している昆虫を用いて、メソコスム実験を実施する。植物については、群集構造の異なる条件を用意し、ハムシの選好性や空間分布の変化を経時的について追跡する。
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