Project/Area Number |
23KJ1898
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
彌富 泰佑 慶應義塾大学, 医学研究科(信濃町), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ケタミン / 治療抵抗性うつ病 / AMPA受容体PET / 治療効果に関連する脳領域 / AMPA受容体密度とうつ病治療効果の相関 / 機能的結合性密度 / 安静時機能的MRI / グルタミン酸神経系 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、治療抵抗性うつ病患者にケタミンを投与し、その前後で生体脳のAMPA受容体を定量する世界で唯一の技術であるAMPA受容体PET(陽電子放射断層撮影)を用いてAMPA受容体の密度と分布の変化を検証し、ケタミンの作用発現過程及びうつ病の回復過程を明らかにすることである。特に、ケタミンによるうつ病治療に反応した患者群と、同治療に反応しなかった患者群の差に注目し、AMPA受容体PET、安静時機能的MRI、経頭蓋磁気刺激-高精度脳波同時計測システム等を用い、うつ病患者の治療効果に係る領域を抽出する。更に、同定したメカニズムを元に創薬に繋げ、磁気刺激などの標的とすべき脳領域を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、治療抵抗性うつ病患者にケタミンを投与し、その投与前後で生体脳のAMPA受容体を定量する世界で唯一の技術であるAMPA-PETを用いてAMPA受容体の密度と分布の変化を検証し、安静時機能的MRI(rsfMRI)や経頭蓋磁気刺激-高精度脳波同時計測システム(TMS-EEG)を用い、ケタミンの作用発現過程およびうつ病の回復過程をAMPA受容体の観点から明らかにし、グルタミン酸神経系と他の神経系との関係について包括的に評価する事である。治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療研究は、2023年9月迄に試験組み入れを終了し、二重盲検相におけるケタミン投与群におけるうつ病改善度がプラセボ投与群のそれに比し、有意に高かった(t=2.2, p=0.034)。そこで本研究員は、患者群のケタミン投与前後の画像を用いたVoxel-wise解析を行い、有意に前頭葉・頭頂葉・後頭葉・楔部・楔前部を含む領域でケタミン投与のStandard Uptake Value Ratio(SUVR)とうつ病改善度に相関がある領域を見出した(正の相関領域:前頭葉の一部、頭頂葉、後頭葉を含む領域)。一方、治療予後予測因子の解析として、ケタミン治療への部分反応を認めた群においてケタミン投与直前のSUVRとうつ病改善度が相関する領域(膝下部、腹側被蓋野や手綱核の周辺領域等)をも見出した。次に本研究員は、これらの脳領域に関連したケタミン投与前後における神経回路や既知の機能ネットワークの変化につき明らかにする目的で、まず健常者においてAMPA受容体PETと安静時機能的MRIによる機能的結合性密度との関連を調べた結果、ROI-wiseな全脳に渡る解析、Voxel-wise解析において、SUVR(参照領域:白質)と近接領域・遠隔領域の機能的結合性密度との間に、殆どの領域・ネットワークにおいて正の相関が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究員はケタミン治療における治療抵抗性うつ病の回復に関わる領域や予後予測に関わる領域をAMPA受容体PET解析により抽出を行うことができた(The 2024 Society of Biological Psychiatry Annual Meetingにて発表予定)。また、予備的な解析であるが、感情認識において重要な役割を果たすとされる領域等に注目した安静時機能的MRI(rsfMRI)解析により、ケタミンの治療効果に関わる機能的結合性が見られる領域間関係を複数抽出している。ケタミン治療効果に対するTMS-EEGが関わる領域に関しても、前処理に関して進めており、今年度中にrsfMRIなどとの解析結果や、AMPA受容体PET解析結果などと比較考量及び、複数のモダリティを合わせた解析を行う準備を整えることができている。更に、AMPA受容体PETを用いて抽出したケタミン治療効果に関連する脳領域等に関連したケタミン投与前後における神経回路や既知の機能ネットワークの変化につき明らかにするための布石として、健常者において得られたAMPA受容体密度と安静時機能的MRIによる、機能的結合性の密度との間に主として正の相関があることを見出し、国内外の学会で発表を行った。これらの成果は、当初の研究計画に加え、進展があったために発展的な解析を施行した健常者における解析が予定以上に追加されて含まれていることも考慮すると、予想以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究ではこれまでにケタミン治療における治療抵抗性うつ病の回復に関わる領域や予後予測に関わる領域をAMPA受容体PET解析により抽出を行うことに成功し、これらの領域に注目した安静時機能的MRI(rsfMRI)解析やTMS-EEGデータを用いた解析を今後行う予定である。ケタミン治療効果に対するTMS-EEGが関わる領域に関しても、前処理に関して進めており、今年度中にrsfMRIなどとの解析結果や、AMPA受容体PET解析結果、及びうつ病患者におけるAMPA受容体PET画像値と症状スコアの相関領域などとの比較考量、更にAMPA受容体PET・rsfMRI・TMS-EEGの複数のモダリティを統合した解析を行う。また、共同研究先において行われているケタミン関連薬の動物実験における治療効果関連脳領域(未発表データ)とも比較を行う。更に、これらを通して、ケタミンによる治療抵抗体うつ病の治療に関わる神経回路の同定を引き続き精緻に施行し、磁気刺激のターゲットとすべき領域などを明らかにする。
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