Project/Area Number |
23KJ1990
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 23020:Architectural environment and building equipment-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鎌田 智光 法政大学, デザイン工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 住環境 / 健康影響 / 経済影響 / 横断分析 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、住環境改善が居住者にもたらす長期的な健康影響の経済便益換算プログラムの開発を行う。 まず日本全国の住宅の居住者に関する横断データを用いて分析を実施し、住環境の改善により短期的にどの程度の健康影響・経済便益がもたらされるかを推計するプログラムをプロトタイプとして開発する。 その後、パネルデータを用いて時系列分析を実施することで、良好な住環境での長期居住により、生涯にわたってどの程度の疾病予防効果・経済便益がもたらされるかを推計するプログラムを開発する。 プログラムは、ミクロ(個人・世帯)スケールでの推計に加え、マクロ(自治体・全国)スケールでの推計も可能となるように開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、住環境が居住者にもたらす健康影響と、それに伴って生じる経済影響を推計するプログラムの開発を目的としている。昨年度はデータの整備や統計解析、プログラム開発等を行い、日本全国の住宅の居住者約15,000名に関する横断データを用いた分析を実施した。 プログラムでは、まず居住者の年齢や性別、生活習慣、既往歴等を考慮したうえで住環境が居住者個人にもたらす健康影響を推計し、その健康影響を医療費や仕事の病欠による所得損失の観点から経済価値に換算する。その後、年齢別、男女別の人口や住宅タイプ(戸建住宅/共同住宅)別世帯数に応じて居住者個人の健康・経済影響を積算し、日本全国スケールでの健康・経済影響を推計する。 住環境がもたらす健康影響に関する分析では、劣悪な住環境に関連して生じている、10の疾病(糖尿病、脳疾患、結膜炎、高血圧、心疾患、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、皮膚炎、関節炎)の症例数が推計された。特に鼻炎に関しては、日本全国の鼻炎の総症例数の約40%が劣悪な住環境と関連して生じていると推計された。そして、住環境による健康影響を経済換算した結果、日本全国で約7,240億円もの経済損失が生じていると推計された。 昨年度は、住環境の全体的な評価を決定づける主要な評価項目を統計的手法により特定し、プログラムの改良も図った。この分析により、住環境の評価項目が44項目から6項目に削減され、プログラムの計算負荷削減と精度向上の可能性が示された。 今年度はこれらの成果を順次論文化するとともに、時系列データを含めたパネルデータを用いて、上記の知見を活用したさらなる分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画時には昨年度のうちに査読論文化を完了させる予定だったが、プログラムの改良につながる発展的な分析の実施を優先させたために論文化が間に合わなかった。そのため、研究課題の主目的としての進捗は「やや遅れている」という判断に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果を順次論文化するとともに、時系列データを含めたパネルデータを用いた分析を行う。この分析により、居住者の健康面・経済面への短期的な効果だけでなく、長期的な効果を評価することが可能となる。
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