Proposal of G Protein-biased Agonist for Orexin 2 Receptor based on Computational Chemistry and Physics
Project/Area Number |
23KJ1997
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
横井 駿 明治大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | Gタンパク質共役受容体 / 分子動力学シミュレーション / 大規模シミュレーション / 動的解析手法 / 緩和モード解析 / データベース解析 / 計算と実験の協働 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の一種であり、睡眠・覚醒の制御に重要な役割を担っている「オレキシン2受容体」に対するGタンパク質バイアス型ペプチド作動薬の提案である。そのために、構造予測による分子モデリングや大型計算機による分子動力学(MD)シミュレーション、時系列データの時間情報を取り入れた動的解析手法などの計算化学・物理学を駆使して、リガンド選択性やGタンパク質・アレスチンシグナル選択性の動的機能機構を明らかにする。そして、得られた知見に基づきGタンパク質バイアス型ペプチド作動薬を設計・提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
不活性・活性状態のオレキシン2受容体だけでなく、不活性・活性状態を安定化する化合物との複合体などの分子シミュレーションを大規模に実行し、活性化における特徴的な構造変化や中間状態を調べた。複数のシミュレーションデータを一つのビックデータとして扱い、動的解析手法である緩和モード解析を適用することで、活性化におけるTM3の特徴的な構造変化を抽出した。また、シミュレーションの解析結果に基づくデータベース解析により、リガンド選択性に寄与するアミノ酸残基や細胞内シグナル選択性における重要なアミノ酸残基を発見した。さらに、オレキシン2受容体-Gタンパク質複合体のシミュレーションにより、活性化における中間状態として実験によって提唱されているNon-canonical stateがオレキシン2受容体においても生じていることを示唆した。これらの研究成果について、国内外の計8件の研究成果発表を行った。また、情報計算化学生物(CBI)学会と新学術領域「高速分子動画」の若手セミナーにて招待講演を行い、さらに、分子シミュレーション学会誌に記事執筆依頼を受け、研究成果について寄稿した。また、国際的な学術誌に1本の論文(Yokoi S, et al, J Phys Chem B, 2024)を発表し、注目論文としてJournal coverに選出された。さらに、研究成果が高く評価され、CBI学会2023年大会において口頭発表賞、第37回分子シミュレーション討論会において学生発表賞、さらに、IUPAP(International Union of Pure and Applied Physics)が主催する国際会議 34th IUPAP Conference on Computational PhysicsにてTaylor & Francis Molecular Simulation Prizeを受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に記載したように、マイクロ秒スケールの大規模な分子シミュレーションを実行し、緩和モード解析などの動的解析手法を適用することにより、オレキシン2受容体のリガンド選択性に寄与するアミノ酸残基や細胞内シグナル選択性における重要なアミノ酸残基を発見した。さらに、オレキシン2受容体-Gタンパク質複合体のシミュレーションにより、活性化における中間状態であるNon-canonical stateがオレキシン2受容体においても生じていることを示唆した。これらの成果について、国内外の学会にて計8件の発表を行った。また、情報計算化学生物(CBI)学会と新学術領域「高速分子動画」の若手セミナーにて招待講演を行い、さらに、分子シミュレーション学会誌に記事執筆依頼を受け、研究成果について寄稿した。また、国際的な雑誌に1本の学術論文(Yokoi S, et al, J Phys Chem B, 2024)を発表し、注目論文としてJournal coverに選出された。これらの研究成果が高く評価され、CBI学会2023年大会において口頭発表賞、第37回分子シミュレーション討論会において学生発表賞、さらに、IUPAPが主催した国際会議にてTaylor & Francis Molecular Simulation Prizeを受賞した。また、本年度からアメリカ合衆国のStanford Universityや、トルコのKoc Universityとの国際共同研究も開始した。研究に関するアウトリーチ活動なども積極的に行い、分子シミュレーション学会誌から記事執筆依頼を受け、共同研究について寄稿し、さらに、スタンフォード大学医学部、JST、神奈川県などが共催したJapan-US Research Collaboration Weekにて招待講演を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで本研究で得られたリガンドの選択性やシグナル選択性に関する知見を元に、選択的にオレキシン2受容体に作動するGタンパク質バイアス型作動薬の提案を進める。特に、Q134(3.32)の側鎖が細胞外側を向いたコンフォーメーションが活性状態を安定化させるために必要なことがわかったので、リガンド設計の際に注目する。また、現在までに先行研究で得られているオレキシン2受容体の阻害剤や作動薬候補に関する知見をまとめ、作動薬が持つべき重要な構造について検討する。そして、深層学習に基づく構造予測ソフトウェアであるAlphaFold 3.0などの構造予測手法を用いて、オレキシン2受容体-作動薬候補の複合体をモデリングし、マイクロ秒スケールの分子シミュレーションを実行し、複合体のダイナミクスを調べる。熱揺らぎによる構造変化やリガンドの親和性に関する知見も得られると考えられるので、作動薬の改良も行なっていく。可能であれば、研究期間内にin vitroにおけるシグナルアッセイによる作動薬の細胞内シグナル選択性も検証し、計算・実験を統合し、ペプチド作動薬の改良を繰り返すことで、Gタンパク質バイアス型作動薬を提案したいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(17 results)