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前期ドゥルーズ哲学における「存在の一義性」の研究――存在論の歴史の観点から

Research Project

Project/Area Number 23KJ2025
Research Category

Grant-in-Aid for JSPS Fellows

Allocation TypeMulti-year Fund
Section国内
Review Section Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

人見 隼平  早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2023-04-25 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Keywordsドゥルーズ / 存在の一義性 / 永遠回帰 / ニーチェ / プラトン主義の転倒 / 『差異と反復』 / ガンディヤック / 内含(implication)
Outline of Research at the Start

本研究の目的は、現代フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの初期主著『差異と反復』(1968)と『意味の論理学』(1969)で展開される「存在の一義性」の思想と、それを支える伝統的な「強度量=内包量」概念の刷新に着目し、ドゥルーズの存在論の独創性を、古代ギリシアから現代まで連綿と継承されてきた存在論の歴史の中に位置づけて考察することにある。具体的には、アリストテレスの記述を端緒とし、トマス・アクィナスが定式化した「存在の類比」と比較しつつ、スコトゥスやスピノザによって練り上げられ、ニーチェおよびドゥルーズによって完成した「存在の一義性」の思想の革新性を明らかにする。

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、前期ドゥルーズの「存在の一義性」を軸とする議論を、古代ギリシアから連綿と続く存在論史のなかに位置付けることで、ドゥルーズの存在論およびドゥルーズ哲学全体の独創性を明らかにすることにある。
2023年度の研究では、1)まず存在の一義性と存在の類比の哲学史を精緻に分析した。存在の類比はトマス自身が発明した概念というよりも、むしろアリストテレス以後に施された一連の歴史的注解による産物であることが明らかになった。またスコトゥスの存在の一義性は、アヴィセンナの中立無記性の議論を存在概念に適用した結果、少なくともアリストテレス的な存在‐神論の問題圏の外部にあることが分かった。
2)次に1966年の論文「プラトン主義を転倒すること」および主著『差異と反復』におけるプラトン論の箇所の読解を通じて、ドゥルーズがプラトン以後の西洋哲学における、同一性による差異の道徳的統制支配を批判し、むしろ先行する同一性から解放された差異、すなわち差異化の反復運動(永遠回帰)を世界の原理とみていることがわかった。このようなプラトン主義の存在論的な転倒は、力の選別の議論を通じて道徳的な善悪の価値転換をも成し遂げている。
3)さらに『スピノザと表現の問題』で描かれている内在主義の哲学史と『差異と反復』の強度のシステム論を分析した。ドゥルーズは、一と多の関係を指す「共含(complication)」と「外展(explication)」という彼の師ガンディヤックが提示した二項図式を用いて、新プラトン主義以来の内在の歴史的進展を分析しつつ、『差異と反復』において両概念に新たな意義を付与し、さらに「内含(implication)」という第三の概念を導入した。それによって、従来の内在主義が維持してきた多に対する一の優劣関係は転倒し、強度という多数多様なもの同士の相互連繋という水平的関係に重点が置かれることになる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2023年度は、フランスでの研究遂行に伴う様々な事務手続きに追われ、また実際に渡航した9月以降は研究資料の収集に多くの時間を費やしたため、あまり多くの業績をあげることができなかった。しかし実際には、特に年度後半のフランス滞在中に、1)本研究の土台となる存在論の歴史(とりわけ古代中世)に関して、主にフランスの研究文献を用いることで大きく進展させ、2)プラトン主義の転倒の議論の分析を通じて、ドゥルーズ存在論におけるニーチェの永遠回帰解釈の重要性を再確認したのみならず、ドゥルーズの存在論史観と彼自身の議論の位置づけを明らかにし、3)「共含」、「外展」、「内含」という強度の三つの特徴によって、彼の存在論の内実とその独創性を解明するなど、多くの研究成果が得られたため「おおむね順調」とした。

Strategy for Future Research Activity

2023年度に行った一連の研究の成果はいまだ発表できていないため、まずは論文投稿や学会発表を優先的に行うことになる。また今後の研究内容としては、第一にフランスで収集した豊富なスピノザ研究資料を参照しつつ、前期ドゥルーズのスピノザ解釈を検討する。その際、中期後期の議論も分析対象とすることで、ドゥルーズのスピノザ解釈の変遷をたどりつつ、前期の解釈の特徴を逆照射することができるだろう。第二に、ハイデガーの存在論史、とりわけ形而上学の存在‐神論的構成の議論についての分析を行う。こうしたハイデガー独自の哲学史観との比較を通じて、ドゥルーズの描く存在論史の特徴やその意義がより明確になると思われる。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report

URL: 

Published: 2023-04-26   Modified: 2024-12-25  

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