Project/Area Number |
23KJ2077
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 20020:Robotics and intelligent system-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
加藤 大暉 同志社大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2024: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ロボット加工 / ロボット穴あけ加工 / 特異点通過 / 協働ロボット / 強化学習 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,産業用ロボットによる高精度な金属の切削加工の実現を目的としている.産業用ロボットの手先にモータを取り付け,工具を回転させることで金属を切削する.その際に,人工知能の一種である強化学習により,ロボットの姿勢を自律的に決定する.一般的な産業用ロボットには,任意の一つの手先位置に対して八種類の姿勢が存在する.そこで,ロボット内部のモータや手先のモータのサーボ情報をもとに,加工精度が最も良くなる姿勢を強化学習で自律的に選択する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,大型の産業用ロボットによる穴あけ加工に取り組んだ.ロボットの手先に自動工具交換機能付きのスピンドルモータとドリルを取り付け,木材に対して穴あけ加工をおこなった.工作機械でも同様の加工条件で穴あけ加工をおこない,穴の位置精度や直径精度を画像処理で測定して比較した.また,ロボットへの教示のために,MATLABでロボットCAMを作成した.その際に,特異点の存在が障壁となることがわかった.特異点とはいかなる関節角度を与えてもある方向の手先速度を発生することができない姿勢であり,特異点およびその近傍通過時にはいくつかの関節が急回転する.従来までのロボット加工では主軸が鉛直下向きに取り付けられており,特異点は問題にならなかった.しかし,ロボットのワークスペースを最大限活用するためには,主軸を鉛直横向き(地面に対して水平)に取り付ける必要がある.ロボット加工において主軸をこのように取り付けた例はないが,本研究では大型ワークや長尺物の加工を想定して,主軸を鉛直横向きに取り付けた.そして,この際に制御上の最大の課題となる特異点およびその近傍の通過法に関する研究をおこなった.特異点を通過するためには,逆運動学の解の種類を変更すればよい.しかし,特異点近傍通過時には,2つの不連続な解を強引に結ぶために特異点通過時とは別の要因で関節が急回転する.そこで,2つの不連続な解を直線やシグモイド関数で補間することで,安定して特異点近傍を通過させることができた.また,これは協働ロボットでも検証された.協働ロボットは通常の産業用ロボットと異なり,挟まれ防止のために多くのオフセットリンクを持つ.このオフセットは運動学を複雑にし,特異点も可動域内に多く存在する.よって,強化学習により解の種類を自律的に選択し,特異点を通過する方法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,本年度は産業用ロボットによる加工の実現を目標としていた.それは,【研究実績の概要】の通り実現した.また,ロボット加工のための自動教示システムを構築することを目標としたが,MATLABによるロボットCAMの基本的な枠組みは完成した.しかし,当初の目標ではスピンドルモータのサーボ情報の取得とロボットCAMへのフィードバック,ならびに強化学習による自動教示システムの確立を目標としていたが,それは実現することができなかった.はじめに,スピンドルモータのサーボ情報の取得とMATLABへの取り込みは実現した.また,当初の計画にはなかった6軸力覚センサをロボット手先とスピンドルモータとの間に取り付け,切削力を測定した.しかし,それらの情報を用いた強化学習の構築は実現していない.これは,特異点の問題がさらに顕在化したためである.特異点ではある方向の手先速度を発生することができないが,その方向に対して剛性が高くなる.よって,ロボット加工に適した姿勢とは,特異点に近い姿勢であることがわかった.しかし,特異点通過時には制御上の問題から関節が急回転して教示者の意図しない暴走を引き起こす.よって,特異点通過アルゴリズムの確立が急務となった.そこで,特異点通過アルゴリズムの提案に取り組んだ. また,当初の計画にはなかった工作機械との加工精度の比較に取り組んだ.研究室所有のマシニングセンタを用いて,ロボットと同様の加工条件で加工をおこない,ロボットと工作機械の加工精度を比較した.また,MATLABで構築したロボット用の加工パスからGコードを生成するプロセッサも作成した.以上から,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,ロボット加工の実現と工作機械との比較を軸に研究を進めていく.はじめに,力覚センサの測定結果からロボット加工中の振動源を特定する.これは,主軸やワークのハンマリング試験からおこなう.また,ロボットの姿勢に基づく剛性を同定する.次に,ロボット姿勢と剛性との関係を特異点からの距離に基づいてモデル化する.特異点では数学的な不連続性のために関節が急回転して手先の位置精度が低下するが,剛性は大きくなる.これらのトレードオフを最適化問題として,求められる加工精度を達成するようなロボット加工の姿勢の決定法を提案する.これらは常に工作機械と比較する.
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