Project/Area Number |
23KJ2109
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 28010:Nanometer-scale chemistry-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
樋口 雄斗 関西大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 多孔質材料 / ゼオライト / ゲートオープン / 二酸化炭素 / 吸着分離 / ゼオライト結晶転換 / トラップドア |
Outline of Research at the Start |
ナノレベルの規則的な孔を有する無機多孔質材料のゼオライトは、CO2に対して高い吸着能を有することから、CO2吸着剤やCO2分離膜材料として工業的にも利用されている。 ゼオライトは、ガラスと同じ成分で構成されており、硬い骨格構造を有する。しかし、申請者が偶然にも合成したゼオライトは、CO2吸着時に構造が柔軟であるかのように振る舞い、あるCO2圧力でCO2分子を急激に吸着する特異的な挙動を示した。 本研究では、申請者が偶然に合成した「硬い無機骨格でありながらも構造柔軟性を示すゼオライト」を狙って合成するための条件の最適化とそれらのゼオライトが示す特異的CO2吸着挙動のメカニズムの解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
あるガス圧力でゲスト分子を結晶構造内に急激に取り込んで吸着する「ゲートオープン型」とよばれるガス吸着挙動を示す無機多孔質材料「ゼオライト」の合成ならびにその特異なガス吸着メカニズムの解明を目的として研究を行った。これまでの申請者の研究におけるゲートオープン型CO2吸着挙動を示すゼオライトの合成実績をもとに、出発原料にゼオライトを用いて別のゼオライトを合成する「ゼオライト結晶転換法」を利用してゼオライト合成を行った。その結果、原料にH-Y型ゼオライトと水酸化ルビジウムを用いることでY型からCHA型ならびにMER型ゼオライトへ結晶転換することが確認できた。中でも、MER型ゼオライトは結晶構造内のカチオン種がルビジウムの場合に、ゲートオープン型に類似したCO2吸着挙動を示すことが確認できた。一方、ルビジウムを結晶構造内に有するCHA型ゼオライトでは、圧力の増加に伴いCO2の吸着量が単調に増加するという従来のゼオライトで報告されているCO2吸着挙動を示した。これまでの研究で報告されている「トラップドア」とよばれるゼオライト結晶内部のカチオンの移動により生じるガス吸着挙動を考慮すると、CHA型とMER型ゼオライトでのCO2吸着挙動の違いはゼオライト骨格トポロジーとゼオライト結晶構造内部のカチオンサイト種によるものであることが示唆された。次に、申請者がこれまでに合成したゲートオープン型CO2吸着挙動を示すGME型ゼオライトのCO2吸着メカニズムを解明するために、SPring-8のガス吸着その場X線回折装置を使用してCO2吸着下での結晶構造の変化を観察した。その結果、CO2吸着挙動が変化する圧力付近からGMEの結晶構造が一部変化する挙動が確認できた。この結果から、GME型ゼオライトがCO2を吸着する際に結晶構造の変化または結晶構造内でのカチオンの移動が生じていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の目的はゲートオープン型のガス吸着挙動を示すゼオライトの合成とその特異なガス吸着メカニズムの解明であった。本年度は、申請者がこれまでに合成してきたゲートオープン型吸着挙動を示すPHI型ならびにGME型ゼオライトに加えて、新たに類似のガス吸着挙動を示すMER型ゼオライトを合成することができた点、申請者がこれまでに合成したGME型ゼオライトがCO2吸着時に結晶構造の変化または結晶構造内部のカチオンが移動することによってゲートオープン型のCO2吸着挙動を示した点の2点を達成ならびに解明することができたので、現在までの進捗状況は「順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はステップ状にCO2吸着量が増加する挙動を示したMER型ゼオライトの合成に加えて、GME型ゼオライトが結晶構造の変化または結晶構造内部のカチオンの移動によるゲートオープン型CO2吸着挙動を示すことまでを明らかとした。一方で、MER型ゼオライトが示すステップ状のCO2吸着挙動のメカニズムならびにGME型ゼオライトが示すゲートオープン型吸着挙動を引き起こす駆動力などの要因に関してはまだ明らかになっていない。そこで、今後は(1)MER型ゼオライトが示すゲートオープン型CO2吸着挙動のメカニズムの解明(2)GME型ゼオライトが示すゲートオープン型CO2吸着挙動のメカニズムの解明とその制御の2点を中心に検討する。(1)に関しては、まずMER型ゼオライトが示すステップ状のCO2吸着挙動が吸着温度や吸着平衡判断などの条件によってどのような変化を示すのかを確認する。次に、実際にステップ状のCO2吸着挙動がどのようなメカニズムで生じているのかを確認するために、ガス吸着下でのその場X線回折測定などを駆使してCO2吸着時の結晶構造を観察する。(2)に関しては、(1)のMER型ゼオライト同様、吸着温度がゲート開閉圧力にどのような影響を与えるのかを確認する。また、ゼオライト結晶構造内部のカチオンの種類とその含有割合を変化させることによって、ゲートオープン型CO2吸着挙動(ゲート吸着が生じる閾圧力)を制御することができるかを確認する。また、より詳細なゲートオープン型CO2吸着メカニズムに関する情報を獲得するために、GCMCシミュレーションなどを駆使してCO2吸着シミュレーションを行い、実際にGME型ゼオライト内で生じるCO2の吸着挙動を可視化することにも挑戦する。
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