Project/Area Number |
23KJ2153
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
諸隈 夕子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ケチュア語 / 示差的項標示 / 体言化 / コーパス言語学 / 通言語パラレルコーパス / 言語類型論 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、ケチュア語諸方言に見られる示差的項標示(DAM , differential argument marking:主語や目的語などを標示する形態にバリエーションが見られる現象)が起きる意味的・形態統語的条件の解明である。この目的のため、ケチュア語の複数の方言で記述された民話と聖書にアノテーション(文法的な分析を伴う逐語訳)を行い、項の特定の標示と前後の文脈をパラメタとして集計可能な通方言コーパスを構築する。これを用いて示差的項標示の頻度とその条件について調査と統計的分析を行う。この調査結果を元に、ケチュア語諸方言における示差的項標示の要因と方言間の共通性・多様性を論じる。
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Outline of Annual Research Achievements |
形態素解析にあたってアクセスできる資料とその正確性を考慮した結果、分析対象とする地域変種をアンカシュ、ランバイェケ (カハマルカと近縁)、インバブーラ (チンボラソと近縁)、アヤクーチョに変更し、聖書「マルコによる福音書」から通言語コーパスの構築を行った。全16章、1変種あたり約11000語分に、自作した自動化ツールを用いて形態素解析およびアノテーションを行った。その上で、本研究のテーマである示差的項標示に注目するため、この現象が起きうる体言化節を抽出し、主語と目的語の標示、語順、動詞の意味クラス、体言化の種類についてアノテーションを行ったコーパスを作成した。 このコーパスを用いた試験的研究として、アヤクーチョ・ケチュア語における主語と目的語それぞれの標示の傾向を名詞化節の時制の観点から分析した。この分析結果を元にした学術発表を「Syntax of the World's Languages IX」(2024/7/23-26) に応募し、採用された。現在は4つの地域のケチュア語を対象に、主語と目的語それぞれの標示の傾向を体言化節の時制と体言化節内の語順に注目して分析を進めている。 またこのコーパスの構築に際して、ケチュア語研究の世界的権威であるペルー・カトリカ大学のRoberto Zariquiey先生および体言化をはじめ言語類型論研究の世界的権威である柴谷方良先生とイキトス (ペルー) での言語調査を通じて研究交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初分析対象として予定していたカハマルカ、チンボラソのケチュア語をアノテーションするための資料を十分に集めることができず、地域変種の選定しなおしによって本研究の基礎となるコーパスの作成が予定よりも遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
地域変種の選定し直し、および自動化ツールの開発によってアノテーションを高速化できたため、アノテーションツールを随時改良しつつ早期の公開に向けてコーパスの整備を急ぐ。
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