Project/Area Number |
23KJ2222
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
波々伯部 夏美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 海山 / 無脊椎動物 / 分類学 / 海洋保護区 / 安定同位体 |
Outline of Research at the Start |
海山は,急峻な地形が生み出す複雑な海流の影響から深海域の生物多様性のホットスポットとなっている.本研究では,脆弱な海山生態系の基盤を担う冷水サンゴとその共生性ベントスについて,形態ないし分子情報を用いた分類学的研究に基づく種同定(場合によっては種記載),安定同位体比に基づく共生関係の量的評価,ならびに集団遺伝学的研究によって宿主と共生者の各海山における遺伝的多様性の評価と遺伝子交流の程度の推定をおこなう.これによって,海山ごとの共生系の特徴を把握し脆弱性を評価する.
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Outline of Annual Research Achievements |
海山(海底から1,000 m以上の比高をもつ孤立した海底地形)は、急峻な地形が生み出す複雑な海流の影響から深海域の生物多様性のホットスポットとなっている。同時に豊かな漁場として底曳き網や刺し網漁業、レアアース等の海底資源開発の対象とされてきた。このような重要海域は海洋保護区(MPA, Marine Protected Area)として維持管理することが求められるが、海山性動物の分類学や生態学的研究が十分に進んでいないという問題があった。 上記の問題解決のために、本研究では海山を構成する主要分類群である八放サンゴ類及び共生性ベントスの多様性把握を試みた。第一年度は、①日本沿岸の海山における標本採集と形態・遺伝学的データ収集、及び②共生性ベントス類の多様性把握のための分類学的基盤構築を実施した。①では、深海調査航海(年度内5航海)に参加し、千葉房総・南西諸島沖の5地点の海山から深海性八放サンゴ類及びウロコムシ類をはじめとする共生性ベントスの標本を得た。得られた標本のDNA抽出及び形態観察を順次進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の深海性八放サンゴ類共生性ベントスの分類学的知見は、未だ数少なく形態・遺伝子両方の情報に基づく分類学的整理が必須である。本研究で主に対象としているヒモムシ類及び多毛類は、深海環境全般で知見が限られており、これらの分類体系の整理は自由生活性・共生種両方を含んで実施する必要がある。そこで、①及び過去の採集調査で得た標本のうち、共生性以外の種類についても分類学的研究を実施した。その結果、ヒモムシ類8新種、多毛類1新種を記載し、その成果を筆頭著者論文(3報)、国内(1報)・国際共著論文(1報)として公表した。 次年度以降も継続して海山性動物の標本を採集するために、東京大学大気海洋研究所の研究船共同利用に応募し採択された。次年度以降の航海調査実施に向けた準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
西七島海嶺は複数の海山列が連続し、脆弱で低回復な海山生態系がまとまって存在するため「沖合海底自然環境保全地域」として指定された。2020~2022年に実施された生物相調査から西七島海嶺では多くの新種動物が発見されたが、海山の個体群のソースがどこに存在し、高い生物多様性や集団の遺伝的多様性がどのようなメカニズムで維持されているのかは未だに明らかになっていない。西七島海嶺を南北に縦断する黒潮の流路や黒潮分岐流の影響から、西七島海嶺の集団は黒潮上流域(九州-パラオ海嶺)や熊野沿岸部の集団と遺伝的交流をもつ可能性が高い。今後の研究方針として海山間で遺伝子流動および物質循環に加え、沿岸域の急峻部も調査対象にすることによって脆弱な海山個体群のソースを探りたいと考えている。追加研究内容遂行のため、二年度目には西七島海嶺を通過する黒潮分岐流・反流の流路になっている熊野灘・志摩海脚を対象によこすか「しんかい6500」を使用した生物相調査を企画し実施する予定である。
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