Mechanobiology of metastasis
Project/Area Number |
23KK0143
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (International Collaborative Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 50:Oncology and related fields
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石原 誠一郎 北海道大学, 先端生命科学研究院, 助教 (10719933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 琢郎 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50748754)
石橋 公二朗 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (10847601)
丹下 正一朗 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40571211)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥20,800,000 (Direct Cost: ¥16,000,000、Indirect Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
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Keywords | がん / 転移 / メカノバイオロジー / 硬さ / 物性測定 / 細胞培養 / グリア細胞 / 血管 |
Outline of Research at the Start |
本研究ではメカノバイオロジーの視点から「転移先の共通性」が生じる原因を解明し,その知見をもとに転移を標的としたがん治療法を提案する.転移は特定の臓器(高転移性臓器)で起こりやすい.過去の研究から高転移性臓器の組織の硬さが転移に重要であることが示唆されていたが,それは立証されていない.本研究では,高転移性臓器において組織の硬さが共通しておりそれにより転移が生じるかを検証するとともにその仕組みに迫る.本研究の完成により転移を効率的に抑えることが可能となり,がん治療が格段に改善されることが見込まれる.
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Outline of Annual Research Achievements |
がんによる死因の90%以上は転移によるため、その仕組みを解明し転移を抑制する治療法を開発することが急務である。本研究ではメカノバイオロジー(硬さ等力学的な性質から生物を研究する学問)の視点から「転移先の共通性」が生じる原因の解明を目指している。そのために生体内の硬さの高精度な測定、生体内の硬さの生体外での再現、細胞培養を用いた転移の評価、を軸に異分野融合研究を進めている。今年度は北海道大学にて研究打合せを開催し、研究の進捗を報告するとともに来年度以降の方針を固めた。また、80MHzの超音波振動子を有する高周波数超音波計測システムを構築した。加えて、細胞培養系での安定的な血管シート作製に取り組んだ。そのために、血管内皮細胞をさまざまな成分の基質上で培養するとともに、不死化した血管内皮細胞からクローンを作製し、その運動能の評価を進めた。さらに、硬さの異なるコラーゲンゲル上でのアストロサイトやミクログリアの培養に成功した。その培養系を用いて表現型の評価を行った結果、基質の硬さがグリア細胞の形態と増殖に影響を与えることを示唆するデータが得られている。今後はこれらの成果を発展させ、力学的パラメーターががん転移に与える影響を解明を目指す。また基質の硬さががん細胞や血管内皮細胞、アストロサイトやミクログリアにおけるシグナル伝達に与える寄与を調べるとともに、がん転移に対する新規の治療ターゲットとなるような分子の同定を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物性測定については細胞、組織の計測に必要な環境構築を行っており、予定通り進んでいる。細胞培養については、ゲニピンを添加することでコラーゲンゲルの硬さをおよそ0.02-10 kPaの間で調整することができる方法を確立し、それを用いて細胞を培養することに成功している(Ishihara et al., Gels, 2023)。実際にがん細胞や血管内皮細胞、アストロサイトやミクログリアなどをそのゲル上に播種し観察したところ、問題になるような細胞毒性を示すことなく培養することに成功した。さらに血管内皮細胞を用いて血管を模倣したシートを作製させ、その上にがん細胞を播種し、その相互作用を観察することにも成功している。一方で血管内皮細胞が運動し血管シートが自ら崩壊する現象が観察されているため、現在はそれを防ぐために培養法の改良を行っている。加えて、硬いコラーゲンゲル上で培養したグリア細胞は形態や増殖が変化することを示唆するデータが得られている。さらに、がん細胞は硬さに応答して転写因子ATF5を活性化させて増殖を促進させることも発見した(Ishihara et al., in revision)。今後これらの知見をもとに本研究を発展させ、がん転移におけるメカノバイオロジーの意義を明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
弾性可変ゲルによる超音波計測システムの性能評価および校正を行い、培養細胞の機械的特性の計測へ発展させる。また安定した血管シート作製のために培養法の改良を行う。がん細胞が基質の硬さに応答した際のシグナル経路について、ATF5に着目して詳細を検証していく。さらに、硬さの異なる基質上においてアストロサイトとミクログリアのマーカー遺伝子の発現を解析するとともに、それぞれの細胞において硬さの変化による遺伝子発現の変化をRNA-seqによる網羅的な探索により解析する。これらの成果を通して、基質の硬さががん転移を制御するかを細胞培養系で明らかにするとともに、マウスを用いた実験系でも検証する。加えてそれを制御する分子を同定し、新規がん治療戦略を提案する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)