新規抗MRSA薬ダプトマイシンによる横紋筋融解症発現機構に関する研究
Project/Area Number |
24929002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅳ
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 修平 北海道大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2012: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | ダプトマイシン / 横紋筋融解症 / モノカルボン酸輸送担体(MCT) |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究では、重篤な副作用として横紋筋融解症の発現が報告され、臨床において注意喚起されている、新規抗MRSA治療薬ダプトマイシン(DAP)に着目し、骨格筋細胞毒性発現機構の解明を目的とした。 【研究方法】 骨格筋細胞へのDAPによる直接障害性を評価するため、ヒト横紋筋肉腫由来細胞(RD細胞)を用いて、下記の実験を行った。 (1)DAP単独ならびにDAPとシンバスタチン同時処理による骨格筋細胞毒性の検討 RD細胞を薬物処理した後、MTT assay法を用いて、細胞死を評価した。 (2)DAPの細胞内外濃度の推移 薬物処理したRD細胞の処理液(A:細胞外液)を回収し、残った細胞から破砕液(B:細胞内液)を作成し、サンプル(A)、(B)をHPLCで測定した。 (3)DAPがモノカルボン酸輸送担体(MCT)の発現に与える影響 RD細胞を薬物処理した後、細胞からタンパク質を抽出し、骨格筋細胞内の乳酸量の恒常性に寄与するMCTの発現量をWestern blot法で測定した。 【研究結果】 (1)DAP単独処理は、軽度ではあるが有意な骨格筋細胞への直接障害性を示した(時間依存的な毒性の増強は認められなかった)。また、シンバスタチンの併用はDAPの骨格筋細胞障害を増強させる傾向を示した。 (2)DAPのほとんどは細胞外液から検出され、処理後72時間までその比率は変化せず、細胞内の蓄積性は観察されなかった。 (3)DAPは乳酸の細胞外排泄に寄与するトランスポーターであるMCT-4の発現量を有意に低下させた。 【研究成果】 本研究によってDAPの骨格筋障害は濃度依存的なものであり、時間依存的な障害を示さない可能性が示唆された。また、DAPの濃度が20μg/ml(臨床上、横紋筋融解症の発現リスクの上昇が報告されている濃度域)以上において、シンバスタチンの併用が有意に骨格筋細胞障害を増強することが明らかとなった。さらに、DAPの細胞内蓄積性が認められなかったことから、DAPの骨格筋細胞障害は細胞膜を標的とした機序である可能性があり、DAPが細胞膜上のMCT-4の発現量の低下させることで、細胞内の乳酸蓄積量上昇による酸性化を引き起こすことが、骨格筋障害の機序の一つである可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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