Project/Area Number |
24929026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅳ
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 達彦 東京理科大学, 薬学事務課, 嘱託技術員
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Project Period (FY) |
2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2012: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Keywords | 煮散法 / 薬用量 / 調製法 |
Research Abstract |
研究目的:今日では1つ1つの生薬を量って調製する湯液方が漢方薬のスタンダードな調製法だと考えられている。しかし、一方では煮散法が広く用いられていた。両者の違いが如何に薬用量に影響をおよぼし得るかを本研究の目的とした。 研究方法:煮散法を採用した『和剤局方』と湯液方と煮散法の両者を採った李東垣方において、薬用量と調製法の関係について研究した。 研究成果:古来の湯液方では各生薬に分量が示され、それらの総和が処方総量となる。処方総量は直接薬用量に反映され、古代の分量で書かれているため解釈により薬用量に10倍以上の開きが生じる。これに対し、『千金方』の新校正凡例には湯液方によらず、少量を取り出す煮散法があるという見解がある。煮散法の調製法を中心にしたのは『和剤局方』であり、処方総量は膨大でも実際調製する量は一部取り出したもので、しかも現代の薬用量に近いことがわかった。一方、李東垣は湯液方と煮散法の両者を採用した。李東垣の主要4書を集計すると、煮散法は『和剤局方』と同様であり、湯液方は処方総量が少なく、煮散法と同程度に設定された。注目されるのは、この時点で文献上、古来の処方で処方総量が膨大なものと、『和剤局方』のように処方総量は膨大だが調製量はその一部をとり現代の薬用量に近いもの、また、李東垣の湯液方のように煮散法の薬用量に近づけたものの3者が存在することである。李東垣方のような調製法と薬用量を使い分けは、李東垣に近い羅天益以外には見当たらない。後代の叢書や全書の形式をとる医書では、3者の処方をそのまま引用するため、同書の中で薬用量に差異が生じる例が見いだされた。今日における薬用量の検討は、処方総量に目を向けることが多い。『和剤局方』における煮散法による薬用量の設定や、それを応用した李東垣方が明らかになったことで、薬用量の検討には調製法の違いも考慮することが不可欠であることが示唆された。
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