Research Abstract |
研究目的 胸部X腺CT検査において乳房への被ばくは軽視できるものではない,近年,体前面120度の出力線量を減少させることによる,臓器に即した被ばく低減機構(以下,X-CARE)が開発され,この機構を用いることにより,胸部CT検査における被検者の乳房線量を劇的に低減することが出来るようになった,これまでの研究により,X-CARE適用時の乳房線量の低減率は30%程度であり,ノイズやアーチファクトの増加などの画像への影響もみられないことを確認してきた.しかし,被写体が異なる場合には動作特性が異なるため,その場合の被ばく低減効果や画像への影響について,さらに検討を行う必要がある,本研究は,X-CAREを適用した場合の被写体厚特性(画質,出力線量など)について詳細に検討することで,臨床的に有用な被ばく低減技術としての普及や更なる開発を促進することを目的とした. 研究方法 1 被写体厚の違いによる出力線量の測定 体厚の異なる被写体厚可変ファントム及び大小の円形ファントムの中心にCTチェンバーを設置し,X-CAREを用いてそれぞれの出力線量を測定することにより,被写体厚が異なる場合の出力線量の変化を調べる. 2 被写体厚の違いによるノイズ特性の変化に関する検討 被写体厚可変ファントムの線量を変えてX-CAREを用いて撮像し、断面内にROIを置いてSD値分布を求め、被写体厚が異なる場合のノイズの変化を調べた, 研究成果 被写体は大きさの違いによって低減率に大きな変化は生じなかったが,位置決め画像で得られた被写体の形の違いにより体前面120度における出力線量の低減率に差が生じた,また小さい被写体に対して少ない線量で撮像した場合,装置の寝台の吸収により,十分な線量が担保できなくなる可能性が示唆された.若年の日本人女性は,世界的に見ても痩せ型が多い傾向がある.よって臨床においてこの機構を用いる場合,線量不足に注意してCT-AECの併用や設定線量の調整など適宜行い使用する必要があることが証明された.
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