| Project/Area Number |
24H00112
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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| Allocation Type | Single-year Grants |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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| Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
近藤 康久 総合地球環境学研究所, 基盤研究部, 教授 (90599226)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒沼 太一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (10847362)
三木 健裕 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (30898309)
近藤 洋平 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (20634140)
相馬 拓也 早稲田大学, 高等研究所, その他(招聘研究員) (60779114)
蔦谷 匠 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 助教 (80758813)
板橋 悠 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80782672)
太田 博樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2029-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2025)
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| Budget Amount *help |
¥47,450,000 (Direct Cost: ¥36,500,000、Indirect Cost: ¥10,950,000)
Fiscal Year 2025: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
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| Keywords | オマーン / 山岳牧民 / 考古地理 / 安定同位体 / 古代DNA |
| Outline of Research at the Start |
南東アラビアのハジャル山脈一帯では、紀元前4千年紀末に遊動的生活からオアシス定住農牧への転換が始まったが、紀元前2千年紀に入ると社会が再び遊動化する。この頃、現代のヤギ牧民シャワーウィに通じる山岳牧民が興ったのではないか。この仮説を検証するために、南東アラビアに位置するオマーン内陸部のタヌーフ地区と北端のハサブ地区を対象に、遺跡のマッピング及び古道の踏査、遺丘と集葬墓の発掘調査及び墓地の記録調査、遺跡出土ヤギ糞石等の理化学分析に基づく古食性・古環境復元、初期イスラームの文献に現れる家畜及び牧民の事例調査、ならびに現代の牧民の牧畜行動・在来知調査を実施する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
考古班の近藤康久と黒沼は、6月27日から29日にパリで国際会議Seminar for Arabian Studiesに参加し、過年度の遺跡調査成果を報告した。12月24日から1月15日にかけて、オマーン内陸部アッダーヒリーヤ行政区タヌーフ地区において、三木も加わって、WTN07遺跡122号墓の玄室半分の発掘調査と、墓・城砦・岩絵等28か所の記録調査を実施した。ハジャル山脈のトレッキング経路の踏査は実施を見送った。また、2月2日から12日にかけて、ムサンダム特別行政区ハサブ・ブハ両地区において、計8遺跡の記録調査を実施した。 民族班(相馬)は考古班のタヌーフ地区調査に同行し、ヤギ放牧と高地農業の現状を、基礎データとなる集落の配置や規模とともに明らかにした。特に峡谷に沿った高地の限定的な農牧生産体制が、低地の社会との関係をより社会的・経済的に強めた可能性が見いだされた。 思想班(近藤洋平)は先行研究を利用して、特にアラビア半島における植物名あるいは動物名を冠した部族名称の種類と分布、古典アラビア語における植物と動物の命名方法について確認した。 古生態班(蔦谷、板橋、太田)は、過去の糞石について効率的にタンパク質を抽出するための方法を検討するとともに、出土ヤギ糞石でアミノ酸窒素同位体分析を実施して食性を復元した。また、糞石10サンプル、堆積土壌2サンプルからDNAを抽出し、日本列島での試料と比較してかなり良好なDNA量を得た。予備解析としてショットガン・シークエンスをおこなった結果、2サンプルの糞石から南東アラビアに生息しているナツメヤシとナツメが検出された。一方、家畜ヤギの参照配列にリードをマッピングしたところ、3サンプルで1000本以上のリードがマッピングされた。これらのサンプルではDNA断片末端の脱アミノ化が確認できたため、古代DNAである可能性が高いことが明らかになった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
考古班によるWTN07遺跡122号墓の発掘調査と遺跡の分布調査は、当初計画通りに進捗している。トレッキング経路の踏査は見送ったが、タヌーフ峡谷において複数の岩絵遺跡を再発見することができたのは、想定以上の成果である。民族班と思想班の研究は、当初計画に沿って順調に進捗している。古生態班では、ヤギ糞石からのタンパク質の抽出は試行錯誤中であるが、古代DNAを抽出できただけでなく、ナツメヤシとナツメを同定できたことは、大きな前進と評価できる。
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| Strategy for Future Research Activity |
2025年5月下旬に考古班(近藤康久、黒沼、三木)・民族班(相馬)・古生態班(蔦谷、板橋、太田)の合同研究会を催し、前年度に得られた成果を検証するとともに、2025年度以降の研究計画を共有する。考古班は、4月から7月にかけて前年度の調査成果を取りまとめた後、8月から11月にかけて調査準備を行い、12月から1月にかけて、オマーン内陸部アッダーヒリーヤ行政区タヌーフ地区において、集葬墓の発掘および記録調査と、岩絵の記録調査を実施する。また、1月から2月にかけて、ムサンダム特別行政区ハサブ地区およびブハ地区において、遺跡の記録調査を実施する。余力があれば、ハジャル山脈のトレッキング経路の踏査も実施する。民族班は、考古班と適宜連携しつつ、遺跡周辺のアフダル山地で生活する牧民(シャワーウィ)の牧畜行動調査を実施する。古生態班は、過年度にタヌーフ峡谷のムガーラトゥルキャフ洞穴遺跡にて採取したヤギ糞石ならびにWTN07墓地遺跡122号墓から出土した骨片の安定同位体・タンパク質・古代DNA分析および放射性炭素年代測定を実施する。思想班(近藤洋平)は過年度から引き続いて初期イスラーム文献から家畜と牧民に関する記述を抽出し、事例集を構築する。
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