| Project/Area Number |
24K00601
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 13040:Biophysics, chemical physics and soft matter physics-related
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水野 大介 九州大学, 理学研究院, 教授 (30452741)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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| Keywords | 細胞質粘弾性 / マイクロレオロジー / 非平衡揺らぎ / 代謝 / 実効温度 / ガラス / ジャミング / 細胞質 / 生命力 / 臨界状態 / 非平衡 |
| Outline of Research at the Start |
混み合っているにもかかわらず代謝が活発に行われる細胞質は流動化し、代謝を担う生体高分子機械はそうした非平衡環境に適応している。最近になって、流動化と代謝活動が非熱的な揺らぎを介して互いに促進しあう結果、細胞質は非平衡系に特有の臨界的な揺らぎとレオロジーを示すことが分かって来た。本研究では、培養細胞や独自に開発した細胞質モデルにおいて、熱揺らぎとは異なる統計的な偏りや時空間相関を示す非熱的揺らぎとレオロジーの関係性を詳細に調べる。これにより、何故僅かなエネルギーしか持たない非熱的な揺らぎが系の物性を大幅に変えるのか?近年発展しつつあるアクティブな混み合い系の物理学の観点から明らかにする。
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| Outline of Annual Research Achievements |
1)代謝の活発な細胞質は臨界ジャミング状態にある 光捕捉を用いたアクティブマイクロレオロジー(AMR)とパッシブマイクロレオロジー(PMR)を、高い時空間分解能で同時に実施した。フィードバック追跡法を導入することで、従来法と比較して桁違いに弱いレーザー強度での計測が可能となった。その結果、代謝が活発な細胞内環境が、液体と固体の中間にある臨界ジャミング状態にあることを示唆する知見が得られた。具体的には、6桁にわたる広範な観測周波数全域で、周波数の単一冪で表される粘弾性応答が観測された。 2)代謝の活発な細胞質における実効温度の観測 代謝の活発な細胞内では、約10 Hz以下の低周波数領域において揺動散逸定理の破れが観測され、非平衡揺らぎが低周波数側に集中していることが明らかとなった。さらに、微弱な光捕捉力(<1 pN)を用いて、細胞内の粒子を約1時間にわたり一定方向へ牽引することで、細胞質の直流易動度を測定し、熱揺らぎの大きさを推定した。細胞質が完全に流動化している領域において、熱揺らぎと非平衡揺らぎを比較することで、周波数に依存しない状態量としての実効温度を評価することに成功した。 3)細胞質の超低周波数応答(直流粘性率)と中間周波数域の応答(弾性プラトー) 代謝の活発な細胞質は臨界ジャミング状態にあるが、代謝を抑制すると中間周波数域において弾性的応答が現れ、その後、超低周波数域で流動化が生じた。細胞の直流粘性率は、実効温度に対してアレニウス型の依存性を示した。この結果は、極めて遅い力学応答に関して、細胞質がストロングガラス的に振る舞うことを意味している。他方で、代謝の抑制に伴い、中間周波数域に新たに弾性応答が出現し、その弾性率は実効温度の低下に伴ってゼロから急激に増加した。その増加挙動は臨界的であり、通常の細胞質が臨界ジャミング状態に非常に近い状態にあることが示された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
細胞内のような微小空間における力学特性を評価する手法として、マイクロレオロジーは極めて有用である。中でも光捕捉を用いる手法は、力の印加と応答を高い時間分解能と精度で計測できるため、物理学的アプローチが可能な唯一の選択肢といえる。細胞や細胞質の物理特性は、細胞内に存在する生体分子機械のダイナミクスを根本から規定するため、その計測が強く求められている。 実際、これまでにも細胞内レオロジーを測定したと称する研究が、Science、Nature Physics、PNASといったトップジャーナルに多数報告されてきた。しかしながら、これらの研究では、強力なレーザーを用いて細胞内粒子を無理に光捕捉し、計測を行っていたため、細胞質に多大な損傷を与え、ゲル化を誘導してしまうという問題があった。その結果として得られたレオロジーのデータは系統性や普遍性を欠き、「細胞内環境の力学特性は細胞の状態や部位、条件に応じて極めて多様である」と考えられてきた。 我々はフィードバック追跡技術を導入することで、従来の1/10~1/100のレーザー強度でのマイクロレオロジー計測を実現した。その結果、従来の「計測結果」とされていた知見を覆すような観測結果を次々と得ている。たとえば、細胞内レオロジーは臨界ジャミング状態に近い普遍的な粘弾性挙動を示し、代謝活動の強弱に応じてわずかに固体側または液体側に偏移することが明らかとなった。このほかにも、これまで全く予測されていなかった新たな現象を次々に発見している。 よって当初の計画以上に進展していると言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまで、生体分子機械が試験官内の環境よりも混雑した細胞内で最適に機能することを部分的に説明する仮説、すなわち、1)生体分子機械が非熱揺らぎを生成して細胞質を流動化させ、2)細胞内の非熱揺らぎを利用して稼働する、を単純なモデル系で検証してきた。現実の細胞は外部環境の変化に自律的に適応する複雑系であり、その内部状態を制御することが困難である。そこで今後は、半透膜を介して外部環境とエネルギー物質や代謝生成物の交換を行い、試料中の代謝回転を維持することで、細胞内に類似した非平衡環境を人工的に再現する。この代謝維持装置の性能確認のために体積分率50%を超える高い濃度で大腸菌を封入したところ、活発な代謝活動を伴う遊走状態を維持することに成功した。MR計測の結果、鞭毛の回転が停止した大腸菌の懸濁液が混み合いによりガラス化するのに対して、遊走能を維持した大腸菌の懸濁液は液状化していることを見出した。このアクティブガラスと名付けた試料内では、非平衡系に特有の時空間相関を持つ乱流的・カオス的な揺らぎが生じており、こうした非熱揺らぎにより流動化している。 今後はこの独自の計測系を用いて、細胞から抽出した細胞質に人工的に代謝を導入し、良く代謝制御された人工細胞質を作製して仮説の究明に努める。
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